病歴/身体所見
・70歳女性
・赤いドラゴンフルーツを食べた翌日からの喀血のためER受診
・既往歴なし、喫煙歴なし、胸痛や膿性喀痰/発熱/長期間の臥床なし
・BT36.3℃, HR104bpm, RR18, BP132/66mmHg
・呼吸音に異常はなし
検査
・血液検査…WBC5000/mcL, Hb12.6g/dL, Plt192000/mcL, PT24.7sec, INR1.05
・CXR
左下肺野と左肺門部にair bronchogramを伴う不透過域を認める
・CT
左下肺に直径2.4cmの低密度結節(中心部はair濃度)とその周囲に微小結節を伴う
診断
結核腫
・トラネキサム酸150mg1日3回に加え、抗結核治療を開始した
・結核腫は、画像上直径0.5-4cm以上の腫瘤陰影として現れる
・80%の症例で散布巣がある
・20-30%の症例では石灰化がある
(Radiol Clin North Am. 2016 May;54(3):453-73./J Comput Assist Tomogr. Sep-Oct 2000;24(5):691-8.)
・同時にtree-in-bud signも認めうる
・臨床的には悪性腫瘍との鑑別が重要になる
◦悪性腫瘍では比較的腫瘍径が大きく、充実性であることが多い
(Transl Lung Cancer Res. 2018 Jun;7(3):288-303.)
う~ん、こういう目くらましのような病歴を引っ提げて登場する患者さんっていますようね…。下手したら全く検査もしないかもしれません。
コロナコロナと目が行きがちですが、結核も忘れずに検索および対策していかないと。
まとめ
・結核腫は画像上での呼称であり、0.5-4cmほどの腫瘍陰影として認められ、散布巣や石灰化、tree-in-bud signを伴いうる。