りんごの街の救急医

青森県弘前市の救急科専門医による日々の学習のまとめブログです!間違いなどありましたら是非ご指摘下さい。Twitterでも医療系のつぶやきをしています@MasayukiToc

review:toxic alcohol

なかなか遭遇しないけど、 ときおりぎょっとするタイミングと検査データで出迎えてくれるtoxic alcohol。 今回はその復習をしてみようと思います。 あまり多くの治療経験がないため実体験に基づいた記載はできていません。。。 主に以下の文献を参考にまとめ…

case 150:低酸素血症、低血圧を呈する80歳男性(J Emerg Med. 2017 May;52(5):741-743.)

病歴/身体所見 ・80歳男性 ・慢性腎臓病/COPD/慢性骨髄性白血病の既往あり ・息切れ/脱力/呼吸困難を訴えて前医受診 →肺塞栓症の初期診断のためERへ紹介受診 ・ここ数日で便秘が強くなり、近医からマグネシウム含有の緩下剤を処方されていた ・BP89/52mmHg, …

SALSA Trial:低ナトリウム血症への高張食塩水急速間欠ボーラス投与の安全性の検討

昨日に引き続き、低ナトリウム血症の話題です。 ガイドラインでの治療方法の推奨は以下を参照してください。 appleqq.hatenablog.com 低ナトリウム血症の過剰な補正はODSのリスクとなることが知られています。 そのため、補正は8-10mEq/L/day(6-8mEq/L程度に…

review:低ナトリウム血症の治療

日常的にはよく遭遇する疾患である「低ナトリウム血症」。 多くの場合には原疾患の治療のみで緊急補正を要しませんが、 神経学的異常が出てくるような場合には緊急補正の適応があります。 緊急補正が必要な場合にどのように動けばよいのか、 ガイドラインを…

case149:殴られてから目が見えなくなった男性(Ann Emerg Med. 2021 Jun;77(6):649-656.)

病歴/身体所見 ・58歳男性 ・既往歴:双極性障害、アルコール使用障害 ・暴行を受けてから両目の視力が低下したことを主訴にER受診 ・右瞳孔は前眼部が濁っており、完全に視力喪失していた 検査 ・POCUSにより左眼球後方に可動性のある楕円形の高エコー域を…

review:そういえばその人、QT延長してない?

QT延長はしばしば問題になります。 特にうちの病院は精神科単科病院が系列にあるので、 某所からの患者さんはほとんど(!?)QT延長しているような気さえします。 何が怖いって、、、致命的な不整脈がでちゃうところです。 QT延長といえばTdP というようにほ…

review:RRT開始のタイミング

腎代替療法(RRT)開始のタイミングについての話題です。 やべー、最近このあたりの話題おろそかにしてたー! まぁ絶対的な基準さえ逃さなきゃとりあえずいんじゃね? 的な理解でよさそうに思っていましたが、少しまとめておきます。 Gaudry S, Hajage D, et…

case148:左大腿部の腫脹と疼痛を訴える57歳男性(Ann Emerg Med. 2021 Jun;77(6):e117-e118.)

コレ自体は救急外来で見たら、 「後日整形外科で精査してもらってください」系の疾患かもしれません。 でも大腿部だけではなくて体のさまざまな部位に発生するようなのでコレを知っておくと汎用性が高いかも⁉ 病歴/身体所見 ・57歳男性 ・2か月前からの左大…

case147:帯状疱疹って感染管理どうするんだっけ?(J Am Coll Emerg Physicians Open. 2021 May 1;2(3):e12442.)

最近は感染対策と言えばもっぱらCOVID-19ですが、 結核、麻疹、水痘といった空気感染対策を要する疾患も忘れてはなりません。 「ケツに麻酔」って覚えるんでしたね。 帯状疱疹で空気感染対策を要する場合ってどんなだっけと思い返すきっかけとして 備忘録が…

case146:特発性細菌性腹膜炎との鑑別を要する疾患(BMC Gastroenterol. 2021 Jun 24;21(1):267.)

病歴/身体所見/検査所見 ・71歳女性 ・3年前にADPKDによる慢性腎臓病と診断/4年前に右中大脳動脈の未破裂動脈瘤に対してクリッピング術を受けている ・飲酒歴なし、喫煙歴なし ・1か月前に突然右季肋部痛を発症し受診 ◦7カ月前のCTでは認めなかった右肝嚢胞…

review:特発性細菌性腹膜炎(spontaneous bacterial peritonitis: SBP)

当地域はアルコール絡みの疾患が多い地域です。 ➀地域性としてもともとの飲酒量が多いと思います。 関東から青森に来てびっくりしたことの1つにスーパーのアルコールコーナーの広さがありました。関東ではアルコールコーナーはせいぜい1列でしたが、青森で…

review:下部消化管出血ガイドライン(European Society of Gastrointestinal Endoscopy)

下部消化管出血のマネジメントについてのガイドラインです。 European Society of Gastrointestinal Endoscopyより発表されていたので 新しい気持ちで読んでみました。 良い復習になりました。当院での対応は大体標準的なんだと確認できました! Triantafyll…

case145:泣き止まない生後8週間男児(BMJ Case Rep. 2017 Nov 1;2017:bcr2017221002.)

病歴/身体所見 ・生後8週男児 ・6時間前に発見された左中足趾の腫脹と発赤 ・外傷歴なし ・痛みを訴えるように泣き続けているという ・左足第3趾は腫脹しておりCRT延長、よく見ると髪の毛と綿が巻き付いていた ・局所麻酔を使用して鉗子と針により除去を試み…

review:高カリウム血症のマネジメント

特に緊急度が高い電解質異常であり、 かつ日常的に遭遇頻度の高い高カリウム血症のマネジメントについて まとめてみます。 具体的にどう動けばよいかスッキリすると思います。

case144:術後に高血圧と頻脈を呈し急変した61歳男性(N Engl J Med. 2021 Jun 3;384(22):2145-2152.)

病歴 ・慢性的な膝痛を自覚しており人工膝関節置換術を受ける予定になっている61歳男性 ・術前の血圧178/92mmHgであり本態性高血圧と判断されhydrochlorothiazideが投与され降圧された ・bupivacaineによる脊椎麻酔とmidazolam+propofolによる鎮静下に上記手…

case143:心窩部痛と左胸部の絞られるような疼痛を訴える68歳女性( Respir Med Case Rep. 2018 Oct 9;25:270-273.)

病歴/身体所見 ・68歳女性 ・2日前からの徐々に増悪する鋭い心窩部痛と左胸部の絞られるような疼痛のため受診 ◦深呼吸により増悪、疼痛が改善する体位はなかった ・外傷歴はなし、最近の旅行歴なし、家族で同様の症状なし ・既往歴:高血圧/脂質異常症/甲状…

review:ERにおける心房細動への対応

心房細動は、ERでも病棟でも遭遇しない日はないと言えるほど頻度の高い疾患です。 高齢者や重症患者ではその有病率が有意に多くなり、もはやcommon diseaseとなりました。 しかし、対応に苦慮することが多いのも心房細動だと思います。 頻脈でバイタルサイン…

case142:陰部にあざができた⁉84歳男性(J Am Coll Emerg Physicians Open. 2021 May 1;2(3):e12431.)

病歴/身体所見 ・84歳男性 ・前日夜に突然発症した痛みを伴わない性器のあざを主訴にER受診 ・腹痛や腹部外傷なし、そのほかに特記すべき既往なし ・腹部はやわらかく圧痛なし、腫瘤は触れなかった ・BP133/88mmHg, HR93bpm ・恥骨上に境界明瞭な斑を認め、…

case141:イヌに咬まれてからショックになった62歳男性(J Am Coll Emerg Physicians Open. 2021 May 1;2(3):e12423)

病歴/身体所見 ・62歳男性 ・5日前にイヌに咬まれた ・発熱と広範囲の紫斑性発疹、意識障害のため救急搬入された ・搬入後に急激に低血圧となり輸液/ノルアドレナリン/cefotaxime→meropenemが投与された 検査 ・血液検査…DICと急性腎不全の所見を認めた ・末…

review:めまい

みなさんはどのようにめまいを診断していますか? 回転性なのか、浮動性なのか、症状を分類してそこから鑑別を進めていますか? 実はそういった従来用いられていたapproachを使うと診断ミスが起きやすいことが知られています。 じゃあ、どんなアルゴリズムで…

case140:1カ月続く発熱と背部痛を訴える89歳女性 (JACEP Open. 2021;2:e12458.)

上記題名だけでもなんとなく想像がつくでしょうか? しかし、今回はその中でもさらに珍しい原因のようです。 病歴/身体所見 ・89歳女性 ・未治療の糖尿病が指摘されている ・4か月前に抜歯 ・1か月前から発熱と背部痛を自覚していた ・BT38.5℃, BP108/56mmHg…

review:気管挿管/抜管

今回はERでしばしば遭遇するけどなかなか難しい手技、 気管挿管についてreviewしたいと思います。 これを読めば、現時点で最新の気道管理についての知識的な部分は全部わかるはず! 以下の文献からまとめています。 ➀ Goto T, Goto Y, Hagiwara Y, Okamoto H…

review:馬尾症候群(cauda equina syndrome:CES)

腰痛を訴える患者では、特に馬尾症候群になっていないかは気になるところです。 いつも馬尾症候群を意識して診療、カルテ記載していますか? 馬尾症候群を極めましょう! Long B, Koyfman A, Gottlieb M. Evaluation and management of cauda equina syndrom…

review:腰椎穿刺後頭痛のリスク因子

腰椎穿刺後頭痛のリスク因子をご存知でしょうか? 実は根拠がないのに巷でリスク因子認定されていたり、 逆にあまり認知されていないものが結構あります。 さて、以下の問題に自信をもって答えられるでしょうか? サイコーなまとめがあったので読んでみます…

review:アナフィラキシー RCUKガイドライン2021年版

Resuscitation Council UK (RCUK)より2021年版ガイドラインが発表されました! Emergency treatment of anaphylactic reactions: Guidelines for healthcare providers | Resuscitation Council UK PDF版が無料で読めます! アナフィラキシーのガイドライン…

case139:全身倦怠感を訴える糖尿病腎症がある87歳男性(Ann Emerg Med. 2021 Apr;77(4):445-448.)

診断自体は容易で題名からすぐに診断と対応が思いつくと思いますが、少し心電図波形からの鑑別を考えてみようと思います。 病歴 ・87歳男性、高血圧/糖尿病腎症/HFpEFで通院 ◦処方薬…atenolol, perindopril, torsemide, amlodipine, atorvastatin, sitaglipt…

review:低血糖補正はブドウ糖が先か、チアミン(ビタミンB1)が先か?

意識障害やけいれんの際に、まず第一に低血糖を除外することは重要です。 ブドウ糖投与により即座に状態が改善しますし、逆に治療されないと不可逆的な脳症を発症しうる可能性があるからです。 さて、研修医に質問されました。 「教科書にはブドウ糖投与に先…

retrospective:ケタミン単独による気管挿管の初回成功率は?

救急外来での気管挿管はRSIを選択することが多いと思います。 しかし、場合によっては(特にdifficult airwayが想定される場合には)RSIを選択せずに上気道と声門に十分な局所麻酔を施して非経口鎮静薬を最小限使用して挿管する方法をとることもあります。 …

case138:11歳男児、突然発症の右上腹部痛(Ann Emerg Med. 2021 Apr;77(4):462-468.)

病歴/身体所見 ・11歳男性 ・突然発症の右上腹部痛と嘔吐のためER受診 ・発熱なし、HR92bpm、右上腹部に圧痛あり ・血液検査は特に異常なし…WBC9670/mm3 (左方移動なし) 検査 診断 嚢胞内出血を伴う腸間膜嚢胞 ・緊急手術となり、9cm*5cmの腸間膜嚢胞が摘出…

review:"造影剤腎症"はあまり考えなくてよい

興味深くて、しかもopen accessのまとめを見つけたので再度読んでみます。 非常によくまとめられていて造影剤と腎障害の関係性、予防方法(腎代替療法含む)、動脈内投与はどうなのかなどが俯瞰できました。もうしばらくこの分野の総説は読まなくてよさそう…