りんごの街の救急医

青森県弘前市の救急科専門医による日々の学習のまとめブログです!間違いなどありましたら是非ご指摘下さい。Twitterでも医療系のつぶやきをしています@MasayukiToc

大出血時の抗凝固薬リバース

抗凝固療法がされていない患者を見ない日はありません。 ワーファリンやDOACを内服している患者さんに致命的な大出血が起きた場合、それらの薬剤の拮抗を考えなくてはいけません。 今回は、抗凝固療法のリバースについて考えていきましょう。

CPRの現場で使ってみたくなるワザとTips~ここ数年の使える知識のまとめ~

CPRなんて型通りにやれば、簡単カンタン♪ なんて思っていませんか!? まずはガイドラインに沿って、型どおりにやれるようになることは大切です。 でも、それだけじゃつまらない! 救命率向上のために、もっといい方法がないのか常に模索しなくてはなりません…

指ブロック、使い分けできてますか?

研修医の頃に上級医から伝授される「指ブロック」。 頻用される手技ではありますが、 意外としっかり勉強することは少ないと思います。 概ね3種類の手技があり、 「どの指」の「どの部位」に効果を出したいかを考えて使い分けます。 「えっ、使い分けなんて…

一酸化炭素中毒 ver.2

一酸化炭素中毒について、本ブログでまとめたのが2019年でした。 もう3年も経っていたんですね。 嬉しいことに、だいぶ読者が増えてきているような実感があるので、 あまり古い情報を置いとくのもアレなのでupdateしておきたいと思います。 青森県にいるとき…

頻脈性不整脈についてつれづれなるままに

頻脈の患者を診るとき、こちらもドキドキしませんか? 特にSVT(PSVTの方が浸透してますかね)に特化した対応について、 医学界新聞の連載記事で紹介しました! 以下について記載しました。 ・頻脈性不整脈の鑑別はどうやってやっているの? ・頻脈がstable…

Refeeding症候群

アルコール使用障害や精神疾患(認知症含む)などを背景に、 何日も食事摂取ができず、まるで屋内行き倒れのような状態で救急搬入される患者さんは非常に多く経験すると思います。 ERは「社会のセーフティネット」としての側面も持つため、 これらの患者さん…

気管支喘息の急性増悪に出会ったら…ケタミンを使えるようになろう!

喘息急性増悪(発作というほうがしっくりきますケド)が増えているような気がします。 季節がそうさせているのか、他になにか原因があるのかはわかりません。 まずは型どおりのマネジメントができることが重要です。 急性増悪患者の8割くらいは、簡単な初期…

ちょっとアダルト向けなPEAの話

週刊医学界新聞での連載がはじまりました! www.igaku-shoin.co.jp 2022年6月の全記事の中で、2番目にアクセスが多かったそうです! まだご覧になっていない方は是非ご覧ください! なにかのお役には立てるかもしれません。 そして、今後とも応援よろしくお…

敗血症へのVitamin C投与

2017年頃から話題になっていた、 敗血症へのVitamin C投与について 議論が終焉を迎えそうなので記事にしました。 結論としてはさらばビタミンCなんですが、 個人的には奥の手として少し期待はしていた部分がありました。

review:高カリウム血症のマネジメント ver.2

特に緊急度が高い電解質異常であり、 かつ日常的に遭遇頻度の高い高カリウム血症のマネジメントについて まとめてみます。 具体的にどう動けばよいかスッキリすると思います。

トラネキサム酸総復習!

トラネキサム酸について総復習しておきましょう! 最近以下のnarrative reviewがでましたので紹介します。 これにさらに私見を入れ込んで、院内抄読会で発表しましたので、 そのスライドの一部を共有します。 Wang K, Santiago R. Tranexamic acid - A narra…

アナフィラキシー EAACI ガイドライン

EAACI : European Academy of Allergy and Clinical Immunology より、 アナフィラキシーガイドラインがAllergy誌に掲載されました。 Muraro A, et al ; European Academy of Allergy and Clinical Immunology, Food Allergy, Anaphylaxis Guidelines Group.…

顎関節脱臼の整復方法

顎関節脱臼は、ERで勤務しているとしばしば遭遇する疾患です。 病棟や在宅診療でも、習慣性脱臼になっていて よく脱臼整復を頼まれるなんてことも多いのではないでしょうか? 力任せにグイッと治してしまうのもなんかカッコいいですが、 何度も何度もトライ…

review:救急医療を行う研修医に送りたい10戒

※リライト記事 これから救急研修に入る研修医や医療従事者に送りたい10戒を記載します。 上級医の先生は概ねご存知で遵守できていると思いますが、ハッとすることもあるかもしれません。 Evans CS, Slovis C. Revisiting the Ten Commandments of Emergency …

"はぐれSTEMI" = STEMIと同等の危ない心電図波形を見逃すな!

STEMI診断に自信はありますか? 知れば知るほど難しいな~と感じる分野ですがいかがでしょう? STEMIなんて見てわかるじゃ~ん、簡単だよ! なんて聞こえてきそうです。 国家試験の問題とか典型例はそこまで迷うことはありませんが、 実臨床ではなかなかそう…

胆嚢胆管炎の不思議:STEMIと鑑別が必要⁉敗血症なのに徐脈になる⁉

胆嚢炎や胆管炎は、色々な病気や病態のmimickerになることが知られています。 胆嚢炎や胆管炎で、虚血を疑う心電図変化が出ることを知っていますか? 黄疸があると、敗血症でも頻脈がマスクされてしまうことを知っていますか? これらを知らないと、胆嚢炎や…

ERで便潜血検査キットの出番はあるか?

個人的にはERで便潜血検査(Fecal occult blood testing : FOBT)を行うことはまずありません。 これによって、治療方針が変わることがないからです。 それについて解説したreviewがありましたので紹介します。 さあ、明日からERでFOBTするのはやめましょう…

外傷性気胸マネジメント(Western Trauma Association ver.)

外傷性気胸のマネジメントに関する推奨が出ていました。 にわかに信じがたい記載と、怪しげな参考文献だったので 個人的には「う~ん」という感じですが、 こういう推奨もあるのか、と勉強になりました。 de Moya M, et al. Evaluation and management of tr…

見逃しやすい失神の原因:交代性脚ブロックと二枝/三枝ブロック

ガイドラインには記載がありますが、 意外と認知度が低い心原性失神の原因について共有したいと思います。 もしかしたら、ERでは「異常なし」として見逃されているかも⁉ ガイドラインを見てみましょう。 不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)では、…

ERにおける鎮痛

救急外来に来る患者さんの多くは、疼痛や苦痛を抱えています。 それをなるべく迅速かつ十分に除去することは最優先事項と言っても過言ではありません。 評価に夢中になるあまり、患者さんの疼痛をほったらかしにしていませんか? 鎮痛手段は複数ありますか?…

鼻腔内異物の除去方法~どれだけ手段を持っていますか?~

鼻腔内異物で困った経験がある方は少なくないはず…! なんで子供ってこんなに穴があると物を入れたくなっちゃうんでしょうか。 トホホだけど、除去できたときの快感はたまらないですね! minor emergencyは手数があると対応も面白くなるので、 今回は鼻腔内…

review:抗菌薬関連脳症(AAE)

一般病床でもICUでも、「せん妄」は日常茶飯事だと思います。 「ハイハイ、またせん妄ね」とだけ暫定診断をつけて、 その背景疾患を探ることを怠ってしまうことはありませんか? 「抗菌薬関連脳症」( Antibiotic-associated encephalopathy :AAE)なんて考え…

review:外傷後のDVT予防

外傷で入院される患者さんのVTE(DVT+PE)発症率はなかなか高率です。 それでいて出血イベントが絡むことがほとんどであるため、 いつ薬理学的予防を開始するかは多くの場合に悩ましい問題となります。 American Association for the Surgery of TraumaとAme…

mini review:急性アルコール中毒(どのくらいで帰せる?輸液は有益?)

またアルコール絡みで搬入する患者が増えてきました。 先日当直に入ったときに研修医から質問されました。 ・どのくらいで帰せるくらいによくなりますか? ・輸液してみたんですけどあまりよくなりません…? 確かにコモンだけど意外と知られていない分野なの…

case 151: 小児卵巣捻転のtips(Clin Pract Cases Emerg Med . 2021 Feb;5(1):109-112.)

症例 ・初経前の9歳女児 ・2日前からの間欠的右下腹部痛のためER受診 ・CT:周囲および内部に複数の卵胞様構造を伴う7cm*7.5cmの造影効果不良の右卵巣を認めた ・CT後に行われた超音波:右卵巣腫大はあるが「卵巣捻転の証拠はない」と判断された →それ以上の…

review : アルコール性ケトアシドーシス(Alcoholic Ketoacidosis:AKA)

コロナ禍でアルコール関連疾患で救急受診する患者が増えたような気がします。 同僚と話をしていても同様の感覚があるようです。 その中でも頻度が高いAKAについてまとめてみます。 もともとアルコールを慢性的に飲みまくってた人が、 嘔吐したりで食事ができ…

造影剤曝露と6か月後のeGFRの関係(JAMA Intern Med. 2021 Jun 1;181(6):767-774.)

いわゆる「造影剤腎症」の話題には完全に飽きています。 造影剤が腎障害の原因になる可能性はありますが、実際にこれを裏付けるデータには乏しいのが現状です。 造影剤以外にもたくさんの要因がAKIに結び付くはずなんですが、造影剤ばかりが悪者扱いされるこ…

ICUの輸液は急速ボーラスはありか?生食かリンゲルか?(BaSICS trial)

現在、「明日のアクションが変わる ICU輸液力の法則」という本を中心に輸液(だけではなくもっと広い概念を学べている)の勉強をしています。 明日のアクションが変わる ICU輸液力の法則 | 川上 大裕 |本 | 通販 | Amazon 特に体液量管理について考えさせら…

小ネタ:postobstructive diuresis, smaller SMV sign, 小児DKAの初期輸液は生食?

postobstructive diuresis(尿閉解除後利尿) ・尿閉解除後に急激な利尿がつくことがある ・尿閉解除後の2時間で200ml以上 or 24時間で3000ml以上出る場合にPODと診断する ・閉塞解除後の患者の0.5-50%で発症すると報告 (Urol Ann . Oct-Dec 2017;9(4):339-…

review: 食道胃静脈瘤破裂への急性期対応

特に新型コロナウイルス感染症が出てきてからアルコール使用障害での救急受診が増えてきているように感じています。 肝硬変+吐血患者の搬入も多くなっているような。 ということで、今回は食道胃静脈瘤破裂の急性期管理についてまとめます。 主に以下を参照…