りんごの街の救急医

青森県弘前市の救急科専門医による日々の学習のまとめブログです!間違いなどありましたら是非ご指摘下さい。

腐食性物質誤飲(N Engl J Med. 2020 Apr 30;382(18):1739-1748.)

caustic substances(腐食性物質)のreviewです。 腐食性物質は、触れた組織と直接的に化学反応を起こして組織を傷害します。 乾燥剤/発泡剤/原形質毒物など、酸性またはアルカリ性の物質を指しますが、 家庭にもあふれている物質であり誤飲の報告は増えてい…

肺塞栓(BMJ. 2020;370:m2177.)

BMJより肺塞栓症のレビューが出ましたので紹介します! killer chest painですが、意外と診断が難しいことがあります。 これを機に、診断~治療までおさらいしましょう。 Duffett L, Castellucci LA, Forgie MA. Pulmonary embolism: update on management a…

風邪の咳にはハチミツ(BMJ Evid Based Med. 2020 Aug 18;bmjebm-2020-111336.)

風邪(上気道炎:URI)につける薬は今のところありません! 特に小児の分野では、URIの際にハチミツを投与することで咳の頻度や重症度を軽減できるという研究が出ていました。 ハチミツすげ~!!! 今回、URIに対するハチミツの効果を全年齢において検討し…

気管切開関連合併症(Tracheostomy-related complications)

あまり多くはありませんが、時々大惨事になることがあります。 気管切開の合併症とその対応方法についてまとめました。 ERで困らないように勉強しておきましょう。 特にEMERGENT LIFE-THLEATENING COMPLICATIONSは重要です。 Bontempo LJ, Manning SL. Trach…

重症喘息発作への対応(Am J Emerg Med. 2020;S0735-6757(20)30171-6.)

気管挿管を要するような喘息発作にはめったに遭遇しませんが、 それなりに重症な患者には遭遇します。 重症患者に対峙したときにどれだけ手持ちの武器があるかで戦い方が変わります。 今回は重症喘息発作への対応について学びます。 SABA吸入、ステロイド投…

コーヒーとカフェインと健康問題(N Engl J Med. 2020;383(4):369-378.)

仕事中に摂取する水分の大半はコーヒーで満たされている今日この頃。 体液量の半分以上はコーヒー成分な気がします。 あんまりコーヒー飲みすぎて大丈夫なのか心配になっていましたが、 ちょうどよいタイトルの論文があったので読んでみました。 …うん、コー…

脳梗塞のreview(N Engl J Med. 2020;383(3):252-260.)

目まぐるしく変わる脳梗塞治療ですが、NEJMにreviewがありました! 非専門医にとって、治療法をまとめてくれるのはとてもありがたいです。 特に、Figure 2はエッセンスが凝縮されているため必見です! Powers WJ. Acute Ischemic Stroke. N Engl J Med. 2020…

消化管出血にトラネキサム酸は有効か?(HALT-IT)

本ブログでも紹介していましたが、 消化管出血に対するトラネキサム酸(TXA)の効果を検証する研究がついに出ました! HALT-IT trialという名称の研究です。 しばしば消化管出血に対してもTXA投与をしていましたが、、、なんと… 消化管出血に対するTXAの効果…

神経性食思不振症(Anorexia nervosa)

NEJMからのreviewです。 最近職を失って引きこもって病状が悪化してしまう人や、 過剰に太る人や逆に過剰に痩せてしまう人の受診が増えたように思います。 神経性食思不振症についてまとめてみました。 Mitchell JE, Peterson CB. Anorexia Nervosa. N Engl …

脳梗塞に対する血管内治療の際にalteplaseは併用するべきか否か?(N Engl J Med. 2020 May 21;382(21):1981-1993.)DIRECT-MT

血栓回収療法は、前方循環系のlarge-vessel occlusion(LVO)による脳梗塞の標準治療となっています。 AHA/ASAによるガイドライン2019年度版における血栓回収療法の推奨(抜粋)は以下です。 ・Mechanical Thrombectomyが考慮されている患者であってもIV altep…

TIA(Transient Ischemic Attack)

NEJMよりTIAのreviewが出ました! いつもそうですが、まとめの図が秀逸でした。 いまやTIAもDAPTの時代なんですね~。 Pierre Amarenco et al.Transient Ischemic Attack N Engl J Med. 2020 May 14;382(20):1933-1941.

アナフィラキシーガイドライン2020

アナフィラキシーガイドラインの最新版が出ました! Marcus S Shaker. et al. Anaphylaxis-a 2020 Practice Parameter Update, Systematic Review, and Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation (GRADE) Analysis J Allergy Cli…

アルコール使用障害患者の酸塩基平衡異常と電解質異常

ERにアルコール使用障害(Alcohol-Use Disorder: AUD)の患者はよく受診します。 それぞれのERにお得意様のような患者さんがいるのではないでしょうか( 一一) 「酒飲みはめんどくさい~」と声が聞こえてきそうですが、 めんどくさがっていると重大な合併症で…

神経ブロック

前回から引き続いて、痛みへのマネジメントです。 今回は、ERにおいて役立つ神経ブロックをまとめておきます。 強い疼痛を除痛するため、処置をするときの鎮痛などで役立つこと間違いなしです。

ERにおける鎮痛

救急外来で必要な鎮痛の知識についてまとめました。 いろいろな鎮痛薬が出回ってますが、それぞれの鎮痛薬の使い分けをできるとよいですね。 今回は以下の文献を参考にしています。 Almehlisi A et al. Emergency department pain management: beyond opioid…

救急外来における医師と看護師のコミュニケーション

救急外来において、スタッフ間でコミュニケーションをとることは 患者の安全性を担保しつつ効果的な対応を行う上で必須です。 あれ、なんでまだこのオーダーやられてないんだろ… こんな重症ならもっと早く声かけてよ… 患者についての情報はカルテに書いてあ…

門脈内ガスと胆道気腫の見分け方

門脈内ガス(hepatic portal venous gas: HPVG) と 胆道気腫(pneumobilia)は見分けがつきづらい 。 頻度としてはそこまで多くないけど遭遇すると非常に悩ましい。 いずれにせよ重度の疾患が隠れていることが多いし…。 今回はこれらの鑑別方法について調べ…

急性膵炎

急性膵炎のレビューを読みましたので紹介します。 NEJMに2016年に掲載されたものでやや古いですが、 最近発表された経腸栄養に関するCochrane reviewや日本発信の疫学調査についても 併せて紹介します。 N Engl J Med. 2016 Nov 17;375(20):1972-1981.Acute …

救急医のHINTSは中枢性めまい除外に有効か?

めまいの患者診療においてHINTSはもはや知らない人がいないくらいに有名になっているかもしれません。 HINTSはAVS(acute vestibular syndrome)に対して行う身体所見です。 ※BPPVを疑う人にやっても意味ありませんよ。 AVSとは以下を満たすめまい患者です。…

上部消化管出血への緊急内視鏡は死亡率を低下させるか?(N Engl J Med. 2020 Apr 2;382(14):1299-1308.)

上部消化管出血を疑う患者が来たときには、 最終的には内視鏡をしてもらって診断→治療につなげます。 日中であれば消化器内科にコンサルトして対応を協議でよいですが、 夜中にはなかなかどうするか悩むところです。 上部消化管出血に対する内視鏡のタイミン…

椎骨動脈解離、頸動脈解離のレビュー

二次性頭痛の重要な鑑別として頸動脈解離や椎骨動脈解離があります。 若年性脳卒中の約20%ほどの原因となっており、見逃しは永続的な神経障害の原因となるため避けたいところですが、比較的まれなこともあり、診断はなかなか難しいです。 個人的には、特発…

よくわからん症状を訴える高齢者へのトロポニン検査は有効か?(Acad Emerg Med. 2020 Jan;27(1):6-14.)

米国のERでは65歳以上の患者が約15%を占めるそうです。 …ふふふ、大したことないですね。当院はその3倍以上は来ていると思います。 それゆえに、(偉い先生は病歴と身体所見だけで大体診断がつくっていってますが) しばしば非特異的な症状を訴え、併存疾患…

心房細動には電気的除細動か、薬物的除細動か?(Lancet. 2020 Feb 1;395(10221):339-349.)

PAFに出会ったときにどのように対応しますか? 患者の背景や心房細動の発症時間によって対応はまちまちですが、 基本的な対応指針は以下のようになります。 ・血行動態不安定なら同期下cardioversion ・血行動態安定している場合ならrate controlでもrhythm …

自然気胸は保存的加療が可能か?(N Engl J Med. 2020 Jan 30;382(5):405-415.)

よく外来でドレナージされる自然気胸に関して、 「そんなにドレナージしなくていいんじゃないの?」という問いかけを行った研究がNEJMより発表されたので紹介します。 N Engl J Med. 2020 Jan 30;382(5):405-415. doi: 10.1056/NEJMoa1910775.Conservative v…

小児版SSCG 推奨77個のまとめ

小児版SSCGが出ました! 小児敗血症は、成人に比較して圧倒的に遭遇頻度が低いですが、 もしものときに対応できるようにガイドラインには目を通しておきます。 まずは推奨のまとめのみ書き出します。 Intensive Care Med. 2020 Feb;46(Suppl 1):10-67. doi: …

救急外来での事例振り返り①

Decrypt U2FsdGVkX1/QUrKHtFl/CZmQJsUxZ3JNqt0qeVhDKzOg/nCUtdHaZXb3TlZED6BbuLG2C0zsiCMiRm19zT+tJu0RSKJxkEH5wGOysxUkbo9JyNuqJW+tghTuya31EDjrUvvhhajuab9zPXfOgxoJSAOOeHpK/ikxw7hVEOgAUFngzJBzEnHkfDZejSwtmjbEmYfGYX9QRisnD1Ff+1CntV+Eg+Czu3p30/pQpkX…

小児DKAガイドライン BSPEDより

2020-2021年にNICEガイドラインも改訂されるようです。 それまでに暫定的な推奨事項を示すために作られたガイドラインみたいです。 BSPED Interim Guideline for the Management of Children and Young People under the age of 18 years with Diabetic Keto…

腎機能障害がある患者への造影剤使用(米国放射線学会と腎臓病学会の合同声明)

造影CTの時に使用するヨード系造影剤についてのまとめになります。 現時点での推奨、わかっていることとわかっていないことが 詳しく記載されていてよかったです。 Use of Intravenous Iodinated Contrast Media in Patients with Kidney Disease: Consensus…

ERからは便潜血検査キットを撤去しよう

個人的にはERで便潜血検査(Fecal occult blood testing : FOBT)を行うことはまずありません。 これによって、治療方針が変わることがまずないからです。 それについて解説したreviewがありましたので紹介します。 さあ、明日からERでFOBTするのはやめまし…

敗血症性ショックへのビタミンC投与 VITAMINS

敗血症性ショックに対するビタミンC投与は、救急分野でかなり注目されています。 metabolic resuscitationとかMarik cocktailとか言われている方法です。 個人的には結構信頼を置いており、何度か使用機会がありました。 実感としては、敗血症性ショックの際…