2017年頃から話題になっていた、 敗血症へのVitamin C投与について 議論が終焉を迎えそうなので記事にしました。 結論としてはさらばビタミンCなんですが、 個人的には奥の手として少し期待はしていた部分がありました。
特に緊急度が高い電解質異常であり、 かつ日常的に遭遇頻度の高い高カリウム血症のマネジメントについて まとめてみます。 具体的にどう動けばよいかスッキリすると思います。
トラネキサム酸について総復習しておきましょう! 最近以下のnarrative reviewがでましたので紹介します。 これにさらに私見を入れ込んで、院内抄読会で発表しましたので、 そのスライドの一部を共有します。 Wang K, Santiago R. Tranexamic acid - A narra…
EAACI : European Academy of Allergy and Clinical Immunology より、 アナフィラキシーガイドラインがAllergy誌に掲載されました。 Muraro A, et al ; European Academy of Allergy and Clinical Immunology, Food Allergy, Anaphylaxis Guidelines Group.…
顎関節脱臼は、ERで勤務しているとしばしば遭遇する疾患です。 病棟や在宅診療でも、習慣性脱臼になっていて よく脱臼整復を頼まれるなんてことも多いのではないでしょうか? 力任せにグイッと治してしまうのもなんかカッコいいですが、 何度も何度もトライ…
※リライト記事 これから救急研修に入る研修医や医療従事者に送りたい10戒を記載します。 上級医の先生は概ねご存知で遵守できていると思いますが、ハッとすることもあるかもしれません。 Evans CS, Slovis C. Revisiting the Ten Commandments of Emergency …
STEMI診断に自信はありますか? 知れば知るほど難しいな~と感じる分野ですがいかがでしょう? STEMIなんて見てわかるじゃ~ん、簡単だよ! なんて聞こえてきそうです。 国家試験の問題とか典型例はそこまで迷うことはありませんが、 実臨床ではなかなかそう…
胆嚢炎や胆管炎は、色々な病気や病態のmimickerになることが知られています。 胆嚢炎や胆管炎で、虚血を疑う心電図変化が出ることを知っていますか? 黄疸があると、敗血症でも頻脈がマスクされてしまうことを知っていますか? これらを知らないと、胆嚢炎や…
個人的にはERで便潜血検査(Fecal occult blood testing : FOBT)を行うことはまずありません。 これによって、治療方針が変わることがないからです。 それについて解説したreviewがありましたので紹介します。 さあ、明日からERでFOBTするのはやめましょう…
外傷性気胸のマネジメントに関する推奨が出ていました。 にわかに信じがたい記載と、怪しげな参考文献だったので 個人的には「う~ん」という感じですが、 こういう推奨もあるのか、と勉強になりました。 de Moya M, et al. Evaluation and management of tr…
ガイドラインには記載がありますが、 意外と認知度が低い心原性失神の原因について共有したいと思います。 もしかしたら、ERでは「異常なし」として見逃されているかも⁉ ガイドラインを見てみましょう。 不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)では、…
救急外来に来る患者さんの多くは、疼痛や苦痛を抱えています。 それをなるべく迅速かつ十分に除去することは最優先事項と言っても過言ではありません。 評価に夢中になるあまり、患者さんの疼痛をほったらかしにしていませんか? 鎮痛手段は複数ありますか?…
鼻腔内異物で困った経験がある方は少なくないはず…! なんで子供ってこんなに穴があると物を入れたくなっちゃうんでしょうか。 トホホだけど、除去できたときの快感はたまらないですね! minor emergencyは手数があると対応も面白くなるので、 今回は鼻腔内…
一般病床でもICUでも、「せん妄」は日常茶飯事だと思います。 「ハイハイ、またせん妄ね」とだけ暫定診断をつけて、 その背景疾患を探ることを怠ってしまうことはありませんか? 「抗菌薬関連脳症」( Antibiotic-associated encephalopathy :AAE)なんて考え…
外傷で入院される患者さんのVTE(DVT+PE)発症率はなかなか高率です。 それでいて出血イベントが絡むことがほとんどであるため、 いつ薬理学的予防を開始するかは多くの場合に悩ましい問題となります。 American Association for the Surgery of TraumaとAme…
またアルコール絡みで搬入する患者が増えてきました。 先日当直に入ったときに研修医から質問されました。 ・どのくらいで帰せるくらいによくなりますか? ・輸液してみたんですけどあまりよくなりません…? 確かにコモンだけど意外と知られていない分野なの…
症例 ・初経前の9歳女児 ・2日前からの間欠的右下腹部痛のためER受診 ・CT:周囲および内部に複数の卵胞様構造を伴う7cm*7.5cmの造影効果不良の右卵巣を認めた ・CT後に行われた超音波:右卵巣腫大はあるが「卵巣捻転の証拠はない」と判断された →それ以上の…
コロナ禍でアルコール関連疾患で救急受診する患者が増えたような気がします。 同僚と話をしていても同様の感覚があるようです。 その中でも頻度が高いAKAについてまとめてみます。 もともとアルコールを慢性的に飲みまくってた人が、 嘔吐したりで食事ができ…
いわゆる「造影剤腎症」の話題には完全に飽きています。 造影剤が腎障害の原因になる可能性はありますが、実際にこれを裏付けるデータには乏しいのが現状です。 造影剤以外にもたくさんの要因がAKIに結び付くはずなんですが、造影剤ばかりが悪者扱いされるこ…
現在、「明日のアクションが変わる ICU輸液力の法則」という本を中心に輸液(だけではなくもっと広い概念を学べている)の勉強をしています。 明日のアクションが変わる ICU輸液力の法則 | 川上 大裕 |本 | 通販 | Amazon 特に体液量管理について考えさせら…
postobstructive diuresis(尿閉解除後利尿) ・尿閉解除後に急激な利尿がつくことがある ・尿閉解除後の2時間で200ml以上 or 24時間で3000ml以上出る場合にPODと診断する ・閉塞解除後の患者の0.5-50%で発症すると報告 (Urol Ann . Oct-Dec 2017;9(4):339-…
特に新型コロナウイルス感染症が出てきてからアルコール使用障害での救急受診が増えてきているように感じています。 肝硬変+吐血患者の搬入も多くなっているような。 ということで、今回は食道胃静脈瘤破裂の急性期管理についてまとめます。 主に以下を参照…
久しぶりの更新になりました。 りんごの街から引っ越しをして、うなぎと餃子の街に研修に来ており、 なんやかや準備とかで忙しかったのでさぼっていました。 ※漁業や料理の研修ではありません※ 新しい環境に慣れるまではたぶんあまり更新しません。 でも、こ…
なかなか遭遇しないけど、 ときおりぎょっとするタイミングと検査データで出迎えてくれるtoxic alcohol。 今回はその復習をしてみようと思います。 あまり多くの治療経験がないため実体験に基づいた記載はできていません。。。 主に以下の文献を参考にまとめ…
病歴/身体所見 ・80歳男性 ・慢性腎臓病/COPD/慢性骨髄性白血病の既往あり ・息切れ/脱力/呼吸困難を訴えて前医受診 →肺塞栓症の初期診断のためERへ紹介受診 ・ここ数日で便秘が強くなり、近医からマグネシウム含有の緩下剤を処方されていた ・BP89/52mmHg, …
昨日に引き続き、低ナトリウム血症の話題です。 ガイドラインでの治療方法の推奨は以下を参照してください。 appleqq.hatenablog.com 低ナトリウム血症の過剰な補正はODSのリスクとなることが知られています。 そのため、補正は8-10mEq/L/day(6-8mEq/L程度に…
日常的にはよく遭遇する疾患である「低ナトリウム血症」。 多くの場合には原疾患の治療のみで緊急補正を要しませんが、 神経学的異常が出てくるような場合には緊急補正の適応があります。 緊急補正が必要な場合にどのように動けばよいのか、 ガイドラインを…
病歴/身体所見 ・58歳男性 ・既往歴:双極性障害、アルコール使用障害 ・暴行を受けてから両目の視力が低下したことを主訴にER受診 ・右瞳孔は前眼部が濁っており、完全に視力喪失していた 検査 ・POCUSにより左眼球後方に可動性のある楕円形の高エコー域を…
QT延長はしばしば問題になります。 特にうちの病院は精神科単科病院が系列にあるので、 某所からの患者さんはほとんど(!?)QT延長しているような気さえします。 何が怖いって、、、致命的な不整脈がでちゃうところです。 QT延長といえばTdP というようにほ…
腎代替療法(RRT)開始のタイミングについての話題です。 やべー、最近このあたりの話題おろそかにしてたー! まぁ絶対的な基準さえ逃さなきゃとりあえずいんじゃね? 的な理解でよさそうに思っていましたが、少しまとめておきます。 Gaudry S, Hajage D, et…