病歴/身体所見
・67歳女性
・13年前に肺カルチノイド腫瘍切除/10年前に子宮全摘および卵巣卵管摘出歴がある
・5日前から持続する腹痛と嘔気、嘔吐のためER受診
・BP156/82mmHg, その他のバイタルサインの異常なし
・血液検査…Na 128mmol/L, 低Cl性代謝性アルカローシス
・腹部は膨満している、反跳痛/筋性防御はなし
検査
・小腸閉塞の可能性を考慮してCTが実施された
診断
腸重積による小腸閉塞
・緊急試験開腹術のために手術室に搬送
・術中所見は腸重積症と一致していた
◦腸管内の狭窄部位は腫瘤がありこれが先進部であった
◦のちに平滑筋肉腫であることが判明した
・腸重積は成人発症の小腸閉塞の原因として1-5%ほどを占める
(World J Gastroenterol. 2009 Jan 28;15(4):407-11.)
・成人発症の腸重積の原因の大部分(93%)は腫瘍であり、これが先進部になる
(Ann Surg. 1997 Aug;226(2):134-8.)
・成人発症の腸重積の根治的治療は外科的切除
小児の腸重積とはマネジメントが異なるため注意です。
腸重積が初発症状となって腫瘍が見つかる人もいます。
今回の症例は腹部手術歴があるのでたぶん癒着性腸閉塞だろうな~と思ってみていましたが、違いましたね。
まとめ
・腸重積は成人発症の腸閉塞の原因としては比較的まれで1-5%ほどを占める
・原因の大部分は腫瘍であり、外科的切除を要する