門脈内ガス(hepatic portal venous gas: HPVG)
と
胆道気腫(pneumobilia)は見分けがつきづらい 。
頻度としてはそこまで多くないけど遭遇すると非常に悩ましい。
いずれにせよ重度の疾患が隠れていることが多いし…。
今回はこれらの鑑別方法について調べてみたので紹介します。
肝内のガスの分布による見分け方
肝内のガスの分布により鑑別が可能です。
・pneumobilia…“centrally located”「中枢性」
胆管内の胆汁の流れの向きを反映して、中枢性にガスを認めます。
ガスが肝被膜から2cm以上離れているのが特徴です。
・HPVG…"peripherally located"「末梢性」
門脈内の血流の向きを反映して、末梢性にガスを認めます。
ガスが肝被膜から2cm以内の枝分かれした陰影を呈しているのが特徴です。
併せて、壁在気腫を伴う腸管や造影不良な腸管、SMA/SMV塞栓症を鑑別する必要がありますのでご注意ください。
(J Comput Assist Tomogr. 1982 Jun;6(3):633-4./Liver Transpl. 2007 Oct;13(10):1476; author reply 1477./World J Radiol. 2016 Jun 28;8(6):556-70./Ultraschall Med. 2014 Dec;35(6):495-496.)
いつもお世話になっているradiopediaでは、以下の覚え方が載っていました!
なるほど!!!
- portal venous gas: peripheral
- common bile duct gas: central
では、たくさん症例を見ていきましょう!
HPVG(Ulster Med J. 2018 Oct;87(3):198-199.)
A:SMA塞栓症(黒矢印)により壁在気腫(白矢印)が発生
B:HPVG(白矢印)
(Clin Imaging. 2018 Nov - Dec;52:70-78.)
※HPVGをみたときには消化管虚血がないかは必ず調べること
HPVG(Clin Case Rep. 2015 Jun;3(6):518-9.)
a:HPVGとfree air
b:SMA塞栓
c:壁在気腫
(Int J Surg Case Rep. 2017;30:177-182.)
これはpneumobilia(胆道気腫)。中枢性です。
(Gastroenterology. 2019 Aug;157(2):e8-e9.)
気腫を伴う肝膿瘍、それによるpneumobilia。
(Diagnostic Imaging for the Emergency Physician)
pneumobiliaです。末梢にairがあることもあり、このときには鑑別が難しくなります。
(Diagn Interv Imaging. 2013 Jul-Aug;94(7-8):757-70.)
A:HPVG
B:pneumobilia
(Grainger & Allison's Diagnostic Radiology)