病歴/身体所見
・36歳女性、妊娠37週
・突然発症の腹痛と性器出血のためER受診
・分娩前健診で羊水過少症の診断がされていた
・意識は清明、HR76bpm, BP87/52mmHg
・胎児心拍197bpm
検査
・POCUS
高エコーな巨大なmass(*)が胎盤(短矢印)と子宮(矢頭)の間に認められる
胎児は長矢印で示されている
診断
常位胎盤早期剥離
・緊急帝王切開が行われた
・患者と乳児は6日後に無事に退院した
・周産期死亡率が14倍高くなる
(Obstet Gynecol. 2006 Oct;108(4):1005-16.)
・リスク因子として薬物中毒/子癇前症/高血圧/羊水過少症などが挙げられる
・超音波は非常に特異的な診断手段である
◦通常の胎盤に比較して高エコーを呈しうる
◦等エコーであることもあり常に特定できるとは限らないことに注意
(J Clin Diagn Res. 2016 Aug;10(8):QC04-7.)
緊急帝王切開になりうる可能性があることを念頭に動かなければなりません。
超音波を当てつつもあまり悩みすぎずすぐに産婦人科コールが吉な疾患と思います。
以下に妊娠第2-3期のemergencyについてまとめてあります。
まとめ
・妊娠後期の妊婦の性器出血/下腹部痛では常位胎盤早期剥離を疑うが、性器出血がない症例も見られることに注意する
・腹部外傷の妊婦では常位胎盤早期剥離の存在を疑い、胎児心拍モニタリングを行うこと