りんごの街の救急医

救急科専門医によるER診療のまとめブログです!教科書やAIでは学びにくい現場目線のpitfallがたくさん!Twitterでも医療系のつぶやきをしています@MasayukiToc

外傷・熱傷

Real ER Round No.27:眼科がいない救急外来で何ができるか?~角膜異物除去・眼洗浄はしっかり、そしてopen globe injuryを見逃さない~

「目に何か入った」「薬品が目に入った」「ボールが当たって見えにくい」 救急外来にはこんな主訴の患者がそこそこの頻度でやってきます。 そして多くの施設では、夜間や休日に眼科医がその場にいないことが普通です。 そんなときに、 「とりあえず眼科にコ…

救急医のEvidenceブックマーク Weekly #17(20260321-20260403)

今週は、3本立てです。 ①脳震盪:ちゃんと患者教育をする!運動への復帰だけではなく、受傷早期はスクリーンタイムを減らすことも指導する! ②発熱性好中球減少症:どこで抗菌薬を変更するか、切るかを考えてマネジメントする。抗菌薬変更を考えるのは、96時…

Real ER Round No.23:顎が外れちゃったんですけど、整復してもらえませんか?

顎関節脱臼は、ERで勤務しているとしばしば遭遇する疾患です。 なぜか専門家のいない夜中に限って来院するんですよね…。 なんででしょうか。 病棟や在宅診療でも、習慣性脱臼になっていて よく脱臼整復を頼まれるなんてことも多いのではないでしょうか? 力…

Real ER Round No.17:その高齢者、頭部CTやっとく?それともやらない?

最近、研修医と議論になったことがあります。 「この高齢者、転倒して頭をぶつけたそうだけどすごいなんともなさそうだよね」 「CTって撮った方がいいですか…?」 さて、どうすればいいんでしょうか。 路上で倒れていた60歳代男性に対して、 初期対応の際に…

指ブロック、使い分けできてますか?

研修医の頃に上級医から伝授される「指ブロック」。 頻用される手技ではありますが、 意外としっかり勉強することは少ないと思います。 概ね3種類の手技があり、 「どの指」の「どの部位」に効果を出したいかを考えて使い分けます。 「えっ、使い分けなんて…

トラネキサム酸総復習!

トラネキサム酸について総復習しておきましょう! 最近以下のnarrative reviewがでましたので紹介します。 これにさらに私見を入れ込んで、院内抄読会で発表しましたので、 そのスライドの一部を共有します。 Wang K, Santiago R. Tranexamic acid - A narra…

顎関節脱臼の整復方法

顎関節脱臼は、ERで勤務しているとしばしば遭遇する疾患です。 病棟や在宅診療でも、習慣性脱臼になっていて よく脱臼整復を頼まれるなんてことも多いのではないでしょうか? 力任せにグイッと治してしまうのもなんかカッコいいですが、 何度も何度もトライ…

外傷性気胸マネジメント(Western Trauma Association ver.)

外傷性気胸のマネジメントに関する推奨が出ていました。 にわかに信じがたい記載と、怪しげな参考文献だったので 個人的には「う~ん」という感じですが、 こういう推奨もあるのか、と勉強になりました。 de Moya M, et al. Evaluation and management of tr…

鼻腔内異物の除去方法~どれだけ手段を持っていますか?~

鼻腔内異物で困った経験がある方は少なくないはず…! なんで子供ってこんなに穴があると物を入れたくなっちゃうんでしょうか。 トホホだけど、除去できたときの快感はたまらないですね! minor emergencyは手数があると対応も面白くなるので、 今回は鼻腔内…

review:外傷後のDVT予防

外傷で入院される患者さんのVTE(DVT+PE)発症率はなかなか高率です。 それでいて出血イベントが絡むことがほとんどであるため、 いつ薬理学的予防を開始するかは多くの場合に悩ましい問題となります。 American Association for the Surgery of TraumaとAme…

case149:殴られてから目が見えなくなった男性(Ann Emerg Med. 2021 Jun;77(6):649-656.)

病歴/身体所見 ・58歳男性 ・既往歴:双極性障害、アルコール使用障害 ・暴行を受けてから両目の視力が低下したことを主訴にER受診 ・右瞳孔は前眼部が濁っており、完全に視力喪失していた 検査 ・POCUSにより左眼球後方に可動性のある楕円形の高エコー域を…

case148:左大腿部の腫脹と疼痛を訴える57歳男性(Ann Emerg Med. 2021 Jun;77(6):e117-e118.)

コレ自体は救急外来で見たら、 「後日整形外科で精査してもらってください」系の疾患かもしれません。 でも大腿部だけではなくて体のさまざまな部位に発生するようなのでコレを知っておくと汎用性が高いかも⁉ 病歴/身体所見 ・57歳男性 ・2か月前からの左大…

case145:泣き止まない生後8週間男児(BMJ Case Rep. 2017 Nov 1;2017:bcr2017221002.)

病歴/身体所見 ・生後8週男児 ・6時間前に発見された左中足趾の腫脹と発赤 ・外傷歴なし ・痛みを訴えるように泣き続けているという ・左足第3趾は腫脹しておりCRT延長、よく見ると髪の毛と綿が巻き付いていた ・局所麻酔を使用して鉗子と針により除去を試み…

review:馬尾症候群(cauda equina syndrome:CES)

腰痛を訴える患者では、特に馬尾症候群になっていないかは気になるところです。 いつも馬尾症候群を意識して診療、カルテ記載していますか? 馬尾症候群を極めましょう! Long B, Koyfman A, Gottlieb M. Evaluation and management of cauda equina syndrom…

case137:ウエイトリフティング後に霧視と飛蚊症を発症した30歳男性(Ann Emerg Med. 2021 Feb;77(2):269-283.)

症例 ・30歳男性 ・4日前にウエイトリフティングをした際に左目の霧視と飛蚊症を自覚 ・視力…正常/0.5 ・左目の下方の視野欠損を認めた ・ベッドサイドで眼球超音波を実施 ポイントは「息こらえ後に発症した視力障害」です。 診断 Valsalva網膜症 ・1週間後…

症例128:陰部の傷が治らない男性(Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):e87-e88.)

今回言いたいことは、 ・陰茎異物も超音波が有用である ・pearlingという用語がある という2点です。個人的にはどちらも今後使っていきたい手技やワードになります。 病歴/身体所見/検査 ・25歳男性 ・陰茎背側の創治癒が悪いとしてER受診 ・2週間前に皮下に…

症例126:2週間前から増悪する皮疹と倦怠感のため受診した55歳女性(Ann Emerg Med. 2015 Feb;65(2):146, 161.)

病歴/身体所見 ・55歳女性 ・2週間前からの掻痒感を伴う発疹と増悪する倦怠感のためER受診 ・腹部より発疹が出現し、それはvancomycinとcefepime投与から9日が経過していた ・全身の浮腫性紅斑性局面を認め、膿疱や水疱により覆われていた ・BT38.4度, HR160…

症例125:口唇へのヒアルロン酸注入後に口唇腫脹と皮疹が出現した37歳女性(Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):315-337.)

病歴/身体所見 ・37歳女性 ・4日前にヒアルロン酸注入を受けてから左下口唇痛と腫脹、皮疹が出現したとしてER受診 ・左下口唇の内外に垂直分布性の多発性膿疱と変色を認めた 診断 ヒアルロン酸注入後の血管閉塞 ・形成外科医にコンサルト、診察の上、血管閉…

review:鼻出血

NEJMより鼻出血のreviewが出ていました。 普段の診療を振り返ってみます。 Seikaly H. Epistaxis. N Engl J Med. 2021 Mar 11;384(10):944-951.PMID: 33704939.

症例123:感電してから喀血した23歳男性(J Emerg Med . 2021 Feb;60(2):e33-e37.)

病歴/身体所見 ・23歳男性 ・工場で勤務中に低電圧(110V)の電流に感電した ・同僚によれば、びしょ濡れの布で作業しており、突然倒れて地面で痙攣したところを目撃したという ◦近くに露出したワイヤーも見つかった ・数分後に意識を取り戻し、救急隊接触時…

review:凍傷

そろそろ冬も終わりますが、まだまだ冷え込みます。 凍傷について対応方法を振り返っておこうと思います。 なんだか今年はいつもより凍傷自体は受診が少なかったような…。 参考文献: Emerg Med Clin North Am. 2017 May;35(2):281-299. Emergency Medicine …

RCT:鼻出血へのトラネキサム酸局所投与はnasal packingを減らさない(NoPAC trial)

さてさて、またトラネキサム酸(TXA)の話題です。 これまでにも鼻出血に対するTXA局所投与は研究されてきましたが、 小規模な研究ばかりでエビデンスとしては限定的でした。 (Am J Emerg Med. 2013 Sep;31(9):1389-92.) ・鼻出血に対して、トラネキサム酸…

症例99:顔面骨折後に複視を呈した36歳男性(Ann Emerg Med. 2021 Feb;77(2):179-220.)

病歴/身体所見 ・36歳男性 ・複視のためER受診 ・4週間前に顔面を殴られ、下顎骨骨折の固定術を受けた ・視力は正常だが、右動眼神経麻痺(内方視や上方視の喪失/眼瞼下垂/瞳孔不同)が認められた ◦左方向視での右内転障害と右眼瞼下垂を認める ・右眼上で血…

症例96:左眼窩を打撲した82歳女性(J Am Coll Emerg Physicians Open. 2020 Oct 19;1(6):1757-1758.)

病歴/身体所見 ・82歳女性 ・特に既往歴なし ・転倒して眼窩付近を打撲したためER受診 ・意識消失なし、眼痛なし、視覚異常なし ・眼窩周囲の斑状出血、眼球突出、結膜下気腫があり、眼窩内外側の圧痛と捻髪音を認めた ・外眼筋は問題なし、瞳孔不同なく対光…

症例94:バイク事故で胸部打撲した19歳男性(Ann Emerg Med. 2021 Jan;77(1):e66-e67.)

病歴/身体所見 ・19歳男性 ・バイクの衝突事故により胸部打撲しERへ搬入 ・病着時、HR131bpm, BP137/59mmHg, SpO2 70% ・右呼吸音減弱があったため右胸腔ドレナージを行い、気管挿管した 検査 ・CXR…両側肺挫傷を疑う陰影 ・POCUS…FASTは陰性、大動脈基部外…

症例91:スキューバダイビング中にけいれんした27歳男性(Ann Emerg Med. 2021 Jan;77(1):124-137.)

病歴/身体所見 ・27歳男性 ・特に既往歴はない ・スキューバダイビング中、深度60mで痙攣を発症した ・normoxic trimix (18/40 lt)を使用しており、減圧時には100%酸素投与可能ではあったが、制御不能な上昇をしてしまった(これに関しては特別な情報はなし…

症例87:突然の左踵部痛を自覚した37歳男性(J Am Coll Emerg Physicians Open. 2020 Oct 12;1(6):1752.)

病歴/身体所見 ・37歳男性 ・突然発症の左踵部痛のためER受診 ・テニスをしているときに左足関節後部にぱちんと音がするような感覚を自覚した ・既往歴なし、抗菌薬投与歴なし ・アキレス腱部に陥凹があり、下腿を圧迫しても足関節底屈が生じなかった 診断 …

retrospective:病院前~病着後の頸椎カラーはやわらかいのではダメ?

今回はオーストラリアからの報告を紹介します。 頸椎カラーは頸部外傷が疑われる全ての患者に実施されています。 JATECの教科書には、 「一般に汎用されるソフトカラーは固定性が弱い。頸椎損傷が否定できない段階では、フィラデルフィアネックカラーなど顎…

RCT:角膜損傷に対して局所点眼麻酔薬を24時間使用することは有効かつ安全か?

角膜損傷(びらんや潰瘍など)はERの眼外傷で最も多いとされています。 雪国では電気性眼炎で受診する人がこの季節は多くなります。 かなり痛いようで目を開けることができず、付き添いの方に手を引かれながら受診ということもあります。 さて、局所点眼麻酔…

症例74:2日間にわたり舌からの出血が止まらない67歳男性(Am J Emerg Med. 2021 Jan;39:252.e1-252.e2.)

病歴/身体所見 ・67歳男性 ・2日間持続する舌からの出血のためER受診 ・食事の際に誤って舌の左側を噛んでから発症した ・高血圧/脂質異常症/糖尿病/脳梗塞/心房細動既往があり、ワルファリン内服している ・バイタルサインは安定していた ・舌左側背側に潰…