りんごの街の救急医

救急科専門医によるER診療のまとめブログです!教科書やAIでは学びにくい現場目線のpitfallがたくさん!Twitterでも医療系のつぶやきをしています@MasayukiToc

代謝・内分泌

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case 166:けいれんと低血糖を繰り返す44歳女性~治療域でも見逃せないバルプロ酸の有害事象~

てんかんの患者さんが、けいれんして運ばれてきました。 意識障害・発作といえば、 まずは心停止を除外してから、血糖値・電解質を測定することと思います。 結果、低血糖があることがわかりました。ブドウ糖を投与し、抗発作薬も追加しました。 ところが、…

Real ER Round No.38:見抜く!そして病態生理から深く理解する!ケトアシドーシスの見つけ方・7つの原因の考え方

ERでケトアシドーシスと聞くと、多くの人はまず糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)を思い浮かべると思います。 しかしご存じのとおり、ケトアシドーシスはDKAだけではありません。 飢餓、アルコール、妊娠、サリチル酸中毒、SGLT2阻害薬、CKRT…と、思いのほか…

case 160:高血圧になったり低血圧になったり、多臓器不全になったり敗血症みたいになったり。。。

褐色細胞腫クリーゼを3つの病型に分けて、 それぞれに対応しそうな症例報告を3本並べてみてみようと思います。 というのも、教科書的には「高血圧で暴れる病気」という顔で覚えている先生が多いと思うのですが、実際の症例を見てみると、 高血圧で来る人もい…

case 158:「単純性紫斑」と帰された3年前…何を見逃したのか(Am J Emerg Med . 2026 May 7:106:129-130. )

"Tell me how you eat, and I'll tell you what you have." これがキーセンテンスになる疾患です。 この疾患は古典的な疾患というイメージがありますが、現代の先進国でもちゃんと忘れた頃にやってきます。 今回は「単純性紫斑」として初診医に見送られ、し…

Real ER Round No.28:「メトホルミン飲んでます」のひと言で身構える!メトホルミン関連乳酸アシドーシスのPitfall

救急外来で糖尿病既往の患者が運ばれてきた。 原因不明のアシドーシスがひどく、乳酸も高い… そして常用薬に「メトホルミン」の文字。 「これってMALA(メトホルミン関連乳酸アシドーシス)では?」 「いや、敗血症からの乳酸アシドーシスかも?」 「で、結…

case 154: sickdayなのにメトホルミンだけは欠かさず飲んじゃってた…(Clin Case Rep. 2026;14(3):e72197.)

糖尿病治療薬の中でも一番使われているといってもよいメトホルミン。 腎機能のあやしい高齢者では、もともと飲んでいたメトホルミンが致命的になることもあります。 今回は備忘録がてらメトホルミン関連乳酸アシドーシス(MALA)の重症例をまとめます。 病歴…

Real ER Round No.26:DKAだと思ったら実はHHSも混ざってた…診断も治療もちょっとコツがいる「mixed DKA/HHS」

ERで高血糖緊急症をみたとき、DKA vs HHSの2軸で判断していませんか? 「血糖800、pH 7.15、ケトン陽性…よし、重症DKAだな!」 「いつものDKAプロトコルを回し始めよう!」 …でよいでしょうか?? ちょっと待ってください。 その患者さん、浸透圧もかなり高…

救急医のEvidenceブックマーク Weekly #18(20260404-20260417)

今回は、「甲状腺クリーゼ」と「カフェイン中毒」について。 両者は臨床像が似ていることもあり、 初療時には事前情報がなければ少し鑑別が難しく感じることがあります。 発熱・頻脈があってなんだか敗血症みたいだし、 振戦やせん妄みたいな興奮、嘔吐なん…

救急医のEvidenceブックマーク Weekly #16(20260307-20260320)

先週号は風邪を引いてしまいお休みしました。 今週号は、 ・混合性ショック: 単なる心原性ショックでは説明できないショックをどう診断して、どうマネジメントするか ・副腎不全: 特に救急医としては外来フォローするときに、どのくらいのステロイド常用量…

Real ER Round No.25:原因不明のショックに、経験的ビタミンB1!!!

ER診療において、ショックにはよく遭遇します。 鑑別とマネジメントを同時並行で進めなければならないので大忙しになります。 今回はそんなショックを呈する疾患のなかでも想起されにくい チアミン欠乏症 (特にShoshin beriberi:重症型の脚気) を見ていき…

Real ER Round No.24:この冬眠しているように見える患者さんに隠れる疾患は?

ER診療においては、 どちらかといえばHighな患者に遭遇することが多いと思います。 その代表的な疾患は敗血症で、 体温が高くて、脈が速くて、呼吸も速い! (血圧は低くなりがちですけど) 一方で、「冬眠してるのか?」 と思わせるような状態で搬入される…

case144:術後に高血圧と頻脈を呈し急変した61歳男性(N Engl J Med. 2021 Jun 3;384(22):2145-2152.)

病歴 ・慢性的な膝痛を自覚しており人工膝関節置換術を受ける予定になっている61歳男性 ・術前の血圧178/92mmHgであり本態性高血圧と判断されhydrochlorothiazideが投与され降圧された ・bupivacaineによる脊椎麻酔とmidazolam+propofolによる鎮静下に上記手…

review:低血糖補正はブドウ糖が先か、チアミン(ビタミンB1)が先か?

意識障害やけいれんの際に、まず第一に低血糖を除外することは重要です。 ブドウ糖投与により即座に状態が改善しますし、逆に治療されないと不可逆的な脳症を発症しうる可能性があるからです。 さて、研修医に質問されました。 「教科書にはブドウ糖投与に先…

review:血管性浮腫(angioedema)

血管性浮腫のreviewが出ていましたので紹介します。 Pines JM, et al. Recognition and Differential Diagnosis of Hereditary Angioedema in the Emergency Department. J Emerg Med. 2021 Jan;60(1):35-43.PMID: 33218838. ※上記はopen accessなので無料で…

review:非代償性甲状腺機能低下症(decompensated hypothyroidism)

非代償性甲状腺機能低下症のreviewです。 これはこれまでには粘液水腫性昏睡と言われていましたが、 必ずしも粘液水腫や昏睡を伴わないことから、 非代償性甲状腺機能低下症 (decompensated hypothyroidism) と言われるようになってきているそうです。 Bri…

症例61:COVID-19により誘発されたDKA5症例(J Emerg Med. 2020 Nov;59(5):e193-e197.)

これまでに2型糖尿病とCOVID-19感染を持つ患者に、DKAが新規発症した報告はされていないそうです。 今回はCOVID-19によって誘発された可能性が高いDKA症例を5つ提示します。 症例1 ・アフリカ系アメリカ人55歳男性 ・2型糖尿病既往あり ・意識障害と低酸素…

SGLT2阻害薬によるDKA(BMJ. 2020 Nov 12;371:m4147.)

SGLT2阻害薬は、DKAを引き起こすことが知られています。 DKA自体はまれではありますが、致命的な疾患なので見逃せません。 FDAとEMA(欧州医薬品庁)からは、SGLT2阻害薬によるDKAの「非典型的な」臨床像について警告が出ています。 特にSGLT2阻害薬使用中に…

症例5:高齢者の右肘痛(Ann Emerg Med. 2017 Aug;70(2):142-160.)

病歴/身体所見 ・66歳女性 ・10日間持続する右肘痛のためER受診 ・最近、痛風発作のため治療を受けていた ・アロプリノールが処方されていたが、24時間のうちに疼痛と腫脹が悪化した ・発熱なし ・肘は腫脹し圧痛あり、疼痛のため関節可動域制限あり ・滑液…

コーヒーとカフェインと健康問題(N Engl J Med. 2020;383(4):369-378.)

仕事中に摂取する水分の大半はコーヒーで満たされている今日この頃。 体液量の半分以上はコーヒー成分な気がします。 あんまりコーヒー飲みすぎて大丈夫なのか心配になっていましたが、 ちょうどよいタイトルの論文があったので読んでみました。 …うん、コー…

神経性食思不振症(Anorexia nervosa)

NEJMからのreviewです。 最近職を失って引きこもって病状が悪化してしまう人や、 過剰に太る人や逆に過剰に痩せてしまう人の受診が増えたように思います。 神経性食思不振症についてまとめてみました。 Mitchell JE, Peterson CB. Anorexia Nervosa. N Engl …

アルコール使用障害患者の酸塩基平衡異常と電解質異常

ERにアルコール使用障害(Alcohol-Use Disorder: AUD)の患者はよく受診します。 それぞれのERにお得意様のような患者さんがいるのではないでしょうか( 一一) 「酒飲みはめんどくさい~」と声が聞こえてきそうですが、 めんどくさがっていると重大な合併症で…

小児DKAガイドライン BSPEDより

2020-2021年にNICEガイドラインも改訂されるようです。 それまでに暫定的な推奨事項を示すために作られたガイドラインみたいです。 BSPED Interim Guideline for the Management of Children and Young People under the age of 18 years with Diabetic Keto…

高カリウム血症のGI療法 低血糖を起こさずに安全に行う方法

高カリウム血症に対するGI療法はERや病棟においてよく行われる治療法です。 投与方法としてはグルコース25g+インスリン10単位が標準的治療として教科書には載っていますが、これって結構低血糖を起こしますよね。 文献的には最大75%の症例で低血糖を起こす…

ステロイドカバー

なんだか多いインフルエンザ+細菌性肺炎の患者。 またか~と思いながら診療していましたが、なぞにプレドニン40mgも内服していました。いつから内服しているか不明ですが、少なくとも月の単位で内服しているようです。。。 これってステロイドカバーの適応じ…