りんごの街の救急医

青森県弘前市の救急科専門医による日々の学習のまとめブログです!間違いなどありましたら是非ご指摘下さい。Twitterでも医療系のつぶやきをしています@MasayukiToc

case148:左大腿部の腫脹と疼痛を訴える57歳男性(Ann Emerg Med. 2021 Jun;77(6):e117-e118.)

コレ自体は救急外来で見たら、 「後日整形外科で精査してもらってください」系の疾患かもしれません。 でも大腿部だけではなくて体のさまざまな部位に発生するようなのでコレを知っておくと汎用性が高いかも⁉ 病歴/身体所見 ・57歳男性 ・2か月前からの左大…

case147:帯状疱疹って感染管理どうするんだっけ?(J Am Coll Emerg Physicians Open. 2021 May 1;2(3):e12442.)

最近は感染対策と言えばもっぱらCOVID-19ですが、 結核、麻疹、水痘といった空気感染対策を要する疾患も忘れてはなりません。 「ケツに麻酔」って覚えるんでしたね。 帯状疱疹で空気感染対策を要する場合ってどんなだっけと思い返すきっかけとして 備忘録が…

case146:特発性細菌性腹膜炎との鑑別を要する疾患(BMC Gastroenterol. 2021 Jun 24;21(1):267.)

病歴/身体所見/検査所見 ・71歳女性 ・3年前にADPKDによる慢性腎臓病と診断/4年前に右中大脳動脈の未破裂動脈瘤に対してクリッピング術を受けている ・飲酒歴なし、喫煙歴なし ・1か月前に突然右季肋部痛を発症し受診 ◦7カ月前のCTでは認めなかった右肝嚢胞…

review:特発性細菌性腹膜炎(spontaneous bacterial peritonitis: SBP)

当地域はアルコール絡みの疾患が多い地域です。 ➀地域性としてもともとの飲酒量が多いと思います。 関東から青森に来てびっくりしたことの1つにスーパーのアルコールコーナーの広さがありました。関東ではアルコールコーナーはせいぜい1列でしたが、青森で…

review:下部消化管出血ガイドライン(European Society of Gastrointestinal Endoscopy)

下部消化管出血のマネジメントについてのガイドラインです。 European Society of Gastrointestinal Endoscopyより発表されていたので 新しい気持ちで読んでみました。 良い復習になりました。当院での対応は大体標準的なんだと確認できました! Triantafyll…

case145:泣き止まない生後8週間男児(BMJ Case Rep. 2017 Nov 1;2017:bcr2017221002.)

病歴/身体所見 ・生後8週男児 ・6時間前に発見された左中足趾の腫脹と発赤 ・外傷歴なし ・痛みを訴えるように泣き続けているという ・左足第3趾は腫脹しておりCRT延長、よく見ると髪の毛と綿が巻き付いていた ・局所麻酔を使用して鉗子と針により除去を試み…

review:高カリウム血症のマネジメント

特に緊急度が高い電解質異常であり、 かつ日常的に遭遇頻度の高い高カリウム血症のマネジメントについて まとめてみます。 具体的にどう動けばよいかスッキリすると思います。

case144:術後に高血圧と頻脈を呈し急変した61歳男性(N Engl J Med. 2021 Jun 3;384(22):2145-2152.)

病歴 ・慢性的な膝痛を自覚しており人工膝関節置換術を受ける予定になっている61歳男性 ・術前の血圧178/92mmHgであり本態性高血圧と判断されhydrochlorothiazideが投与され降圧された ・bupivacaineによる脊椎麻酔とmidazolam+propofolによる鎮静下に上記手…

case143:心窩部痛と左胸部の絞られるような疼痛を訴える68歳女性( Respir Med Case Rep. 2018 Oct 9;25:270-273.)

病歴/身体所見 ・68歳女性 ・2日前からの徐々に増悪する鋭い心窩部痛と左胸部の絞られるような疼痛のため受診 ◦深呼吸により増悪、疼痛が改善する体位はなかった ・外傷歴はなし、最近の旅行歴なし、家族で同様の症状なし ・既往歴:高血圧/脂質異常症/甲状…

review:ERにおける心房細動への対応

心房細動は、ERでも病棟でも遭遇しない日はないと言えるほど頻度の高い疾患です。 高齢者や重症患者ではその有病率が有意に多くなり、もはやcommon diseaseとなりました。 しかし、対応に苦慮することが多いのも心房細動だと思います。 頻脈でバイタルサイン…