病歴/身体所見
・60歳男性
・刺身を食べてから8時間後に重度の上腹部痛を発症してER受診
・バイタルサインには異常なし
検査
・血液検査でも特記すべき異常は認めなかった
・腹部超音波では、胃壁の腫脹と胃内に高エコーのlineを認めた
※本case reportには超音波画像は掲載されていませんでしたが、
以下のような画像だと思います。
腫脹した胃壁18.2mm(矢印)と、その周囲の腹水(矢頭)を認める
(Clin Imaging. Jul-Aug 2018;50:286-288.)
診断
内視鏡で胃粘膜に頭を突っ込んでいるアニサキスを認め診断確定された
・アニサキスのライフサイクルの一部に魚類が含まれる
・線虫を含む生の魚を摂取すると寄生虫が腸管を通過する
…この状態をアニサキス症と呼ぶ
(Ann Parasitol. 2019;65(4):303-314.)
・摂取前に魚を冷凍することでアニサキス症を予防することができる
釣ってきた魚をそのまま生で食べた、なんて人がくると強く疑います。
通常は一度冷凍されているため大丈夫なハズです。
インパクトのある画像が得られやすいので貼っておきます。
※以下、 Clin Imaging. Jul-Aug 2018;50:286-288. より
胃壁の著明な腫脹と肝周囲に腹水を認める
胃壁の腫脹と周囲の脂肪織濃度上昇(小矢印)を認める
※追記
ホタルイカ摂食後の腹痛では旋尾線虫が鑑別になり、腸閉塞に至ることがあることを教えてもらいました。
まとめ
・生の魚を食べて1-12時間後の腹痛ではアニサキス症を鑑別にあげる