病歴/身体所見
・20歳女性
・15日前からの右頸部の腫脹と疼痛のためER受診
・外傷歴なし
・特に既往歴なし
・3か月前より経口避妊薬内服を開始した
・バイタルサインは異常なし
・右前外側頸部に圧痛を伴う腫瘤を触知した
◦紅斑なし、軟部組織の腫脹なし、顔面浮腫なし
検査
・血液検査には異常を指摘できず(凝固機能異常なし)、妊娠反応陰性
・超音波…右内頸静脈内血栓を認めた
・造影CT…慢性血栓症を示唆する側副血行路を伴う、完全な内頸静脈閉塞を認めた
診断
右内頸静脈血栓症
・患者は3日間入院し、apixabanが投与された
・抗凝固療法は6か月間行われた
(QJM. 2011 Mar;104(3):209-19.)
(Cochrane Database Syst Rev. 2014 Mar 3;(3):CD010813.)
(Clin Otolaryngol. 2015 Apr;40(2):79-85./Forensic Sci Med Pathol. 2015 Mar;11(1):88-91.)
・診断はPOCUSにより迅速に可能
・治療は抗凝固療法を行い、治療期間は血液内科と協議して決定する
(Clin Otolaryngol. 2015 Apr;40(2):79-85./Chest. 2016 Feb;149(2):315-352.)
昨日に引き続き、静脈もしっかり見ようシリーズでした。
リスク因子がある場合には積極的に血栓症を疑って検査を行うべし。
まとめ
・内頸静脈血栓症はDVTの1.5%ほどに見られる、まれな血栓症
・経口避妊薬は静脈血栓症のリスク因子であり、特に6-12カ月に注意
・内頸静脈血栓症は抗凝固療法により治療を行う、治療期間は議論があるが半年ほど