りんごの街の救急医

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症例24:腹部膨満感と間欠的な腹痛を訴える49歳女性(J Emerg Med. 2020 Oct;59(4):e149-e151.)

病歴/身体所見

・49歳女性
4日前からの吃逆、腹部膨満感、間欠的な腹痛のためER受診
BP96/70mmHg, HR114bpm
右下腹部に圧痛/反跳痛/筋性防御を認めた
 

検査

・腹部単純レントゲン
 ◦小腸拡張と骨盤内に石灰化した腫瘤を認めた

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・超音波検査では、小腸の拡張とto-and-fro、whirlpoolの所見を認めた

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診断 

小腸軸捻転(Small Bowel Volvulus: SBV)
 
患者は小腸軸捻転疑いとして緊急試験開腹術が実施された
→骨盤内腫瘍とともに、虚血性変化を伴う腸間膜捻転した小腸を認めた

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骨盤腫瘍の病理学的所見
ヒアリン化線維硬化性組織と異栄養性石灰化がある低細胞性腫瘍の所見であった
手術後の経過は良好であった
 
 
小腸軸捻転(SBV)はあまりcommonな疾患ではない
 
・診断と手術介入の遅れにより、小腸の虚血が進行し合併症発症率や死亡率が上昇する
(J Clin Gastroenterol. 1987 Apr;9(2):212-6.)
 
・SBVには分類がある
 ◦primary SBV…基礎疾患なし、腸間膜からの小腸の捻転
 ◦secondary SBV先天性回転異常症/解剖学的異常/術後の癒着/バンド形成/腫脹/妊娠/憩室性疾患などにより発症
Eur J Surg. 1998 Jan;164(1):51-5./West J Emerg Med. 2014 Jul;15(4):359-60.)
 
・SBVの臨床症状はしばしば非特異的
 
・CTは診断能に優れる
 
POCUSにも特徴的な所見があり、ERでの診断には有効
(Emerg Med Int. 2018 Apr 4;2018:3684081./PLoS One. 2017 Apr 20;12(4):e0175866.)
 
 
小腸の拡張を見たら、「イレウスです」で終わらないこと!
イレウスと腸閉塞は別物です。
閉塞起点がないか、今回のような捻転などの所見がないか探しに行きましょう。
 
 
ちなみに、CTだと以下のように所見を認めます。
whirlpool signがないか眼を凝らしましょう。
 

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A)雪だるまのようにみえる物質が腹腔内を占めている
B)whirlpool signを認め、SMA/SMVが巻き込まれている
C)小腸軸捻転解除のためにトライツ靭帯から肛門側30cmほどの小腸が切除され、腸間膜リンパ管腫が原因であった
(Clin Gastroenterol Hepatol. 2020 Aug;18(9):e102.)
 

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whirlpool signがみられる
(Vis J Emerg Med. 2020 Oct 21:100823.)
 

まとめ

・小腸の拡張を認めたら、どうして拡張しているのか探そう

 ◦閉塞起点を探せ!

・もしかしたら小腸軸捻転かも。whirlpool signを探せ

・小腸軸捻転は超音波でも診断可能