病歴/身体所見
・49歳女性
・4日前からの吃逆、腹部膨満感、間欠的な腹痛のためER受診
・BP96/70mmHg, HR114bpm
・右下腹部に圧痛/反跳痛/筋性防御を認めた
検査
・腹部単純レントゲン
◦小腸拡張と骨盤内に石灰化した腫瘤を認めた
・超音波検査では、小腸の拡張とto-and-fro、whirlpoolの所見を認めた
診断
小腸軸捻転(Small Bowel Volvulus: SBV)
患者は小腸軸捻転疑いとして緊急試験開腹術が実施された
→骨盤内腫瘍とともに、虚血性変化を伴う腸間膜捻転した小腸を認めた
・小腸軸捻転(SBV)はあまりcommonな疾患ではない
・診断と手術介入の遅れにより、小腸の虚血が進行し合併症発症率や死亡率が上昇する
(J Clin Gastroenterol. 1987 Apr;9(2):212-6.)
・SBVには分類がある
◦primary SBV…基礎疾患なし、腸間膜からの小腸の捻転
◦secondary SBV…先天性回転異常症/解剖学的異常/術後の癒着/バンド形成/腫脹/妊娠/憩室性疾患などにより発症
(Eur J Surg. 1998 Jan;164(1):51-5./West J Emerg Med. 2014 Jul;15(4):359-60.)
・SBVの臨床症状はしばしば非特異的
・CTは診断能に優れる
・POCUSにも特徴的な所見があり、ERでの診断には有効
小腸の拡張を見たら、「イレウスです」で終わらないこと!
イレウスと腸閉塞は別物です。
閉塞起点がないか、今回のような捻転などの所見がないか探しに行きましょう。
ちなみに、CTだと以下のように所見を認めます。