病歴/身体所見
・27歳男性
・注射薬物使用歴がある
・4日前から続く左胸部痛を自覚してER受診
・38.2度, HR130bpm, 121/71mmHg, SpO2 98%
・中等度の疼痛を訴え、ぐったりしている
検査
・血液検査…WBC25500, CRP37.1, Lac 2.2mmol/L
・救急医により肺超音波が実施され、胸部レントゲンにより診断された
矢印:胸膜
★:さまざまな輝度を示す液体貯留
*高輝度な垂直に伸びるアーチファクト
診断
肺膿瘍
胸腔ドレナージにより200mlの排膿を認めた
5日間の抗菌薬点滴投与の後、3週間分の経口抗菌薬処方して退院となった
・肺超音波で肺膿瘍が診断されることはあまりcommonではない
◦通常は肋骨や肺胞内の空気により肺内を観察することはできない
◦肺内に液体貯留があると固形物として可視化できる
(Eur Heart J Cardiovasc Imaging. 2018 Sep 1;19(9):974./J Bronchology Interv Pulmonol. 2017 Jul;24(3):34-35./J Ultrasound Med. 2013 Jan;32(1):165-71.)
肺膿瘍はいろんな見え方をします。
以下にも例示しておきます。
肺超音波に関しては以下のまとめもどうぞ!
まとめ
・胸痛には肺超音波をしてみよう。肺内に液体貯留があれば可視化できる
・違法薬物使用者の発熱/胸痛では、肺膿瘍を疑う