病歴/身体所見
・4歳女児
・既往歴なし
・9日間持続する発熱/間欠的頭痛/前頭部腫脹のためER受診
・母親によれば、「悪い風邪」に数週間前にかかり、5日前に前頭部打撲したという
・身体所見では前頭部の腫脹と眼窩周囲浮腫を認めた
検査
・CTが実施された
診断
Pott’s puffy tumor
患者は緊急ドレナージ術を受け、広域抗菌薬投与を受け、完全に治癒した
・Pott’s puffy tumor…前頭部の骨髄炎を伴う骨膜下膿瘍
・小児ではまれ
◦小児で発症する場合には全年齢で起きるが、思春期で比較的多い
・多くの場合には急性細菌性副鼻腔炎の合併症として発症する
◦その他、外傷/手術/薬物使用/乳様突起炎/歯性感染症など
(Laryngoscope. 2020 Jan;130(1):225-231.)
・発熱、頭痛、前頭部や頭皮の腫脹と圧痛を認める
◦頭蓋内病変進行により嘔吐/全身倦怠感/意識障害なども発症しうる
(Childs Nerv Syst. 2010 Jan;26(1):53-60.)
・診断はCTおよびMRIにてなされる
・外科的ドレナージと抗菌薬投与(streptococcal, staphylococcal, 嫌気性菌)を行う
(Childs Nerv Syst. 2010 Jan;26(1):53-60.)
副鼻腔炎の病歴がある患者に発症した前頭部腫脹ではPott's puffy tumorを疑わないといけません。
感染性アテロームとして切開しておわり~では済まなそうです。
以下、Childs Nerv Syst. 2010 Jan;26(1):53-60.より症例を貼っておきます。
(a)前頭部腫脹
(b)造影CT:帽状腱膜下に膿瘍を認める
まとめ
・特に、急性副鼻腔炎の病歴がある患者に発症した前頭部腫脹/疼痛ではPott's puffy tumorを疑おう。
・Pott's puffy tumorではドレナージと広域抗菌薬投与が治療となる。