りんごの街の救急医

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症例8:下腹部の増悪する皮疹を呈する78歳男性(Ann Emerg Med. 2016 Oct;68(4):520-30.)

 

病歴/身体所見

・78歳男性
・糖尿病と慢性腎臓病のため通院している
・下腹部と左鼠径部の皮疹の増悪のためER受診
・当初外来では、corticosteroids+clotrimazole軟膏とcephalexin+sulfamethoxazole/trimethoprim内服10日間で治療された
・全身状態は良好であり、発熱は認めず
・下腹部と左鼠径部には紅斑および水疱/膿疱/びらんの集簇を認めた

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診断

HSV(Herpes simplex virus)による皮膚炎
 
ベッドサイドの直接蛍光抗体検査ではHSV-2が陽性であった
 
 
HSV皮膚炎最もcommonな皮膚感染症の1つだが、誤診されることが多い
(Lancet. 2001 May 12;357(9267):1513-8./Antiviral Res. 2004 Feb;61(2):73-81./Sex Transm Dis. Apr-Jun 1990;17(2):90-4.)
・典型的には発赤調の丘疹の集簇から紅斑を伴う水疱/膿疱形成へと進行し、最終的にはびらんを形成する
 ◦“punched-out” appearanceを呈する
・免疫不全においては、皮膚炎は口腔内や陰部に発症することが多いが、他のどの部位にも発症しうる
抗菌薬や抗真菌薬に効果がない皮疹を見たら鑑別に挙げるべし
・ベッドサイドでの直接蛍光抗体検査は、HSV-1/2の鑑別を1-2時間ほどでできる
 ◦感度85%/特異度100%
(J Clin Microbiol. 2013 Nov;51(11):3765-9.)
 
 
診断にはあまり自信がないので、他の症例も見ておきます。。。
 
 
以下、 Zitelli and Davis' Atlas of Pediatric Physical Diagnosis, Seventh Editionより抜粋
 

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このへんは、ある程度典型的で、これなら自信をもって診断できそう。
 

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確かにpunched-out appearanceで、びらんも生じている。

 

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びらん+水疱でしょうか。いろいろなパターンがあります。

 

 

まとめ

HSV皮膚炎は最もcommonな皮膚感染症の1つだが、誤診されることが多い

・抗菌薬や抗真菌薬に効果がない皮疹を見たらHSV皮膚炎を鑑別に挙げるべし

・皮疹は水疱/膿疱/びらんなどを呈し、 “punched-out” appearanceが典型的