病歴/身体所見
・10歳男児
・サッカーボールをキャッチしようとして親指を「つき指」してER受診
・爪の基部に疼痛があると訴えている
・右母指は5度ほど屈曲変形しており、爪基部からの出血と後爪郭からの爪脱臼を伴っていた
検査
・レントゲンが撮影された
診断
Seymour fracture
(J Bone Joint Surg Br. 1966 May;48(2):347-9.)
・DIP関節の過屈曲/爪上皮の剥離/爪下血腫/爪基部の破損などが所見として特徴
◦これらの所見は開放骨折を示しているが見逃されやすい
(J Bone Joint Surg Br. 1966 May;48(2):347-9.)
・レントゲンを撮ることで骨折が判明し、伸筋腱損傷との鑑別に有用
・治療は洗浄/デブリドマン、抗菌薬投与、外科的整復が含まれる
◦固定と閉鎖療法でもしばしば治療可能だが、症例によっては手術を要する
(J Hand Surg Am. 2013 Feb;38(2):258-64./J Bone Joint Surg Br. 1966 May;48(2):347-9.)
・合併症としてmallet変形/指の成長障害/爪の変形/骨髄炎などが挙げられる
◦多くの症例で臨床的予後は良好
(J Hand Surg Am. 2013 Feb;38(2):258-64.)
「サッカーボールをキャッチしたときの外傷」と言えば、
"keeper's thumb" もしくは "skiier's thumb" とか "break dancer's thumb"
なんて称される母指基節骨剥離骨折/母指MP関節ULC損傷かな⁉と思いましたが、
末節骨の所も剥離骨折しちゃうんですね。。。
でもシーモア骨折の名前は覚えられないと思います
(整形の骨折って人の名前?がついてて覚えられない)
腱損傷と骨折の鑑別目的にレントゲンは必須でしょう。
まとめ
・「つき指」では、骨折や腱損傷の可能性を考える、鑑別にはレントゲンを要する
・Seymour fracture(シーモア骨折)は、後爪郭からの爪の剥離を伴う末節骨開放骨折を指す。爪脱臼、だけで終わらせないよう注意が必要
・合併症としてmallet変形/指の成長障害/爪の変形/骨髄炎などが挙げられる