American Journal of Emergency Medicineより、
カフェイン中毒の症例が掲載されていたため勉強してみたいと思います。
聞いた話だと風邪薬を大量に内服すると眠気がなくなるとかで中高生の間で噂になっており、テスト期間に大量内服して受診…というパターンはよく見かけます。確かに市販の風邪薬の中にはカフェインが含まれていますし、ある程度ほんとかもしれませんが絶対にやってはいけません。
もう少し本気の製剤になるとエ〇タロ〇モカなどカフェインそのものの薬剤も販売しています。
カフェインは身近にあるものなのであまり怖い印象がないかもしれませんが、PCPSつけないとダメなほどの心室性不整脈が起きたこともあり、めっちゃ怖いです。。。
症例
・自殺企図で「カフェインパウダー」を内服したらしい
◦摂取時刻や量などは不明
・胸痛や動悸感を訴えたため家族により救急要請
・6時57分:HR112、RR18、126/72mmHg、36.4度、SpO2 99%
◦興奮状態で振戦+、発汗+、不安感があるように見えた
→モニタリング開始
◦診察できる状態ではなかったためlorazepam 2mgで鎮静した
・鎮静後にルート確保と血液検査/心電図検査実施、嘔気に対してondansetron投与
この時点では心電図に大きな異常はなさそうです。
・9時30分:HR190まで上昇、血圧95/60mmHg。
こうなってくると涙目です…どうしましょうか。何か作戦は思いつきますか?
・9時41分:adenosine 6mg静注したがSVTに効果なし。続いてadenosine 12mg静注により一過性の改善がみられたがすぐに頻脈に戻ってしまった。
カフェイン中毒のことを知らないと、PSVT→ATPってな感じで治療が進んでしまって雲行きは怪しくなります。
知っていればアレを使えばいいのにな…と思います。
・9時53分:さらにadenosine 12mg静注とmetoprolol 5mgを静注したところで洞調律化した。metoprolol 50mgを経口投与した。
そう!アレの正体はβ-blockerでした!カフェイン中毒の特異的治療とも言えます。
・10時00分:SVT再発。adenosine12mg+metoprolol5mgを投与。それ以降はSVT出現することなく経過。
・家族が持ってきてくれたのはカフェインパウダー(カフェイン50gを含有)。
→活性炭投与を行った。
・最終的には精神病院に転院となった。
Learning Point
カフェインの構造、作用
・methylxanthine、theobromineから構成される
◦それぞれ喘息治療に用いられるtheophylline/チョコレートやココアに含まれている。
・内因性カテコラミン放出による交感神経刺激作用が知られれている
・Methylxanthineはadenosineと構造的に類似しており、adenosine antagonistとして作用
カフェイン中毒による頻脈治療
・カフェイン中毒によるSVTに対してはβ-blocker(metoprolol)は効果的である可能性あり
◦ただし、RCTがなく症例報告ベースの知見に基づいている
◦さらに、多くの症例報告はβ-blocker以外の薬剤も投与されているため個々の薬剤の評価は限定的
・Benzodiazepine…興奮状態とSVTに対して推奨される
・ショックに対してはα-agonists+β-antagonistsが推奨
・adenosineはカフェイン中毒におけるSVTでは有効性が低い
◦日常的にカフェイン摂取している人もadenosine耐性になりうる
症例のdiscussionでも、アデノシンは不要だったかもと記載されています。
まとめ
カフェイン中毒のSVTにはβ-blocker!