小児軽症頭部外傷のときには「PECARN Pediatric Head CT Rule」を使う人も多いと思います。わたしもよく使用しています。
でも、コレって受傷後24時間経過した患者は除外されています。
では、受傷後24時間経過してから受診した患者ではどのくらいの重大な頭部外傷が含まれているのでしょうか?
それについて調べたのが以下の論文になります。
結果はどうだったのでしょうか?
・受傷後24時間してから受診した患者群におけるTBIの有病率とその要因を調査した
※後述のcTBI(clinically-important traumatic brain injury)の定義は以下
・Australian Paediatric Head Injury Study cohortの二次解析
◦3.5年間のうちにオーストラリア/ニュージーランドの10の小児ERを受診した頭部外傷の小児
・受傷から24時間以内受診群と24時間以降受診群で分析(GCS≺14は除外)
◦受傷から24時間以降受診群は5%(981人/19765人)
◦≺24時間群…意識消失、健忘が多かった
◦>24時間群(≺24時間群との比較)…前頭部以外の皮下血腫(18.1% vs 20.8%)、頭痛(19.9% vs 31.6%)、嘔吐(16.3% vs 30.0%)、虐待(0.4% vs 1.4%)が多かった
・CTを撮影した割合…7.9% vs 20.6%(203人)
・CTでTBIありの割合…1.2% vs 3.8%(37人)/OR3.1 (95%CI 2.2-4.4)
◦内訳…陥没骨折、頭蓋内出血、脳挫傷が多かった
◦前頭部以外の皮下血腫…OR19.0; 95%CI 8.2-43.9
・cTBIの割合…0.8% vs 0.8%(8人)/OR1.0(95%CI 0.5-2.0)
◦1m未満の高さからの落下…5人
◦高速物質による打撲…1人
◦スポーツ中にバットで殴られた…1人
◦2日以上前にベッドから落ちた…1人
◦前頭部以外の皮下血腫…OR11.7; 95%CI 2.4-58.6
◦陥没骨折の疑い…OR19.7; 95%CI 2.1-182.1
・特に注目に価する結果
◦健忘のある患者ではCTではTBIが認められなかった
◦陥没骨折疑いや前頭部以外の皮下血腫はcTBIと有意に関連あり
◦意識消失があった患者でcTBIであった患者はいない
まとめ
・受傷後24時間以降に受診するGCS15の小児患者はTBIリスクが高い
・陥没骨折や前頭部以外での皮下血腫がみられる場合には要注意!
ということで受傷後24時間以上経過してから受診した場合にはより慎重な対応が必要になるようです。
「昨日のことだから大丈夫っしょ♪」などとタカをくくってるとやられそうです。
注意( 一一)
より強く虐待の可能性を考えることはお忘れなく。