病歴/身体所見
・80歳男性
・息切れ/脱力/呼吸困難を訴えて前医受診
→肺塞栓症の初期診断のためERへ紹介受診
・ここ数日で便秘が強くなり、近医からマグネシウム含有の緩下剤を処方されていた
・BP89/52mmHg, HR50bpm, RR12, SpO2 96%(FiO2 100%:人工呼吸器装着)
検査
・血液検査
◦Cre 2.77mg/dL
◦BUN 85mg/dL
◦Na 136mEq/L, K 5.5mEq/L, Ca 8.3mg/dL
・血液ガス PaCO2 67mmHg, PaO2 75mmHg(FiO2 100%)
・ECGは以下のように徐脈と新規に発症した脚ブロックを呈していた
診断
高マグネシウム血症
・追加の血液検査でMg 13.8mg/dL(基準値1.8-2.4mg/dL)が判明
・急性腎不全と高マグネシウム血症として腎臓内科コンサルト
・血液透析を開始、4時間でMg 4.8mg/dLまで低下
・集中治療を行ったが心肺停止状態に陥った
・特に腎機能障害がある場合にはその影響が強くなる
・慢性便秘では、マグネシウムを多量に含有する腸溶製剤が継続的に吸収され、"rebound hypermagnesemia"のリスクが高まる