上記題名だけでもなんとなく想像がつくでしょうか?
しかし、今回はその中でもさらに珍しい原因のようです。
病歴/身体所見
・89歳女性
・未治療の糖尿病が指摘されている
・4か月前に抜歯
・1か月前から発熱と背部痛を自覚していた
・BT38.5℃, BP108/56mmHg, HR114bpm, SpO2 92%
・胸椎の叩打痛を認めた
検査
・血液検査…WBC上昇, CRP51.4mg/dL, Glu392mg/dL, HbA1c11.6%
・CT…骨髄内と胸椎周囲に気腫性病変を認めた
・MRI…Th11病変(右:T1WI, 左T2WI)
診断
気腫性化膿性脊椎炎
・気腫性化膿性脊椎炎はまれではあるが、ガス産生菌による骨内ガスを特徴とする致命的な感染症
(Intern Med. 2018 Jul 15;57(14):2081-2087.)
・リスク因子として以下
◦糖尿病
◦悪性腫瘍
・Streptococcus intermediusは口腔/消化管の正常な細菌叢であるが、全身感染症/膿瘍/壊死性筋膜炎/ガス壊疽などの原因ともなる
(J Am Acad Dermatol. 1999 Feb;40(2 Pt 2):347-9.)
この菌による上記診断は2例目だそうです。
ガス産生されている脊椎炎には遭遇したことがありませんでした。
病歴からは明らかに脊椎炎が疑われるのに、どうしても確定診断がつかないことがあります。
以下のようなパターンは難しいです…。
・腰痛はあるけど発熱がないパターン(もともと腰痛もあって解熱鎮痛薬内服)
・脊椎の叩打痛がない(初期には20%程度にしか所見がでない)
・血液培養が陽性にならない(陽性率は30-78%程度とばらつき)
・MRIも早期には確定的な所見が出ないこともある
以下の症状には要注意!です。
・新規または悪化する腰痛/頚部痛とCRP/ESRの上昇
・新規または悪化する腰痛/頚部痛と発熱or菌血症or感染性心内膜炎
・発熱+神経学的異常所見(背部痛はあってもなくてもよい)
・黄色ブドウ球菌菌血症フォロー中の新規局在性の背部痛
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まとめ
・リスク因子を持つ患者の持続する発熱+背部痛では脊椎炎を鑑別にあげる
・ガス産生菌による気腫性化膿性脊椎炎という疾患もある
・脊椎炎の診断は困難であることも多い