病歴/身体所見
・11歳男児
・2週間前から増大する無痛性口腔内腫瘍のためER受診
・口腔内に違和感はあるが、会話/嚥下/呼吸には問題なし
・口腔底に青みがかった楕円形の2.5*1cmの舌下腫瘍を認めた
◦やわらかく圧痛はなかった
検査
・POCUSにより診断された
診断
舌下ガマ腫
・耳鼻咽喉科に紹介された
・ガマ腫は10代までの年齢層に比較的よくみられる疾患
(J Clin Diagn Res. 2017 Sep;11(9):ZE06-ZE09.)
・口腔内外傷または舌下腺の炎症後に発生し、唾液が口腔底に滲出する仮性嚢胞性病変である
・治療せずに放置すると、会話や嚥下が困難となり、気道閉塞にまで至ることがある
(J Clin Diagn Res. 2017 Sep;11(9):ZE06-ZE09.)
・診断は臨床所見と画像所見よりなされる
・超音波検査はアクセスのしやすさ、被曝がないこと、検査の信頼性が高いことから第一選択の画像検査である
◦低~無エコーの卵形の嚢胞、内部に血管分布なし、周囲の充血に乏しいのが特長
(Pediatr Radiol. 2013 Mar;43(5):523-35./Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2013 Sep;77(9):1489-94./J Med Imaging Radiat Oncol. 2008 Apr;52(2):101-8.)
・診断が難しい場合にはCTやMRIも使用可能
(Pediatr Radiol. 2013 Mar;43(5):523-35./Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg. 2014 Dec;22(6):525-9.)
・治療方針については議論が残る分野
◦開窓術、ガマ腫摘出術、舌下腺摘出など
(J Clin Diagn Res. 2017 Sep;11(9):ZE06-ZE09./Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2010 Feb;74(2):202-5.)
これって放置すると気道閉塞に至ることもあるんですね…。
小児なんでCT使いづらいですがCT画像も見ておきます。
舌下領域に嚢胞性病変を認め、周囲には炎症の所見がないことが特徴
(Pediatr Radiol. 2013 Mar;43(5):523-35.)
まとめ
・ガマ腫は10代までの小児に比較的よくみられる嚢胞性病変
・診断は超音波が第一選択
・無治療では会話/嚥下困難や、場合によっては気道閉塞に至ることもある