りんごの街の救急医

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症例122:11歳男児、2週間前から増大する無痛性口腔内腫瘍(Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):e83-e84.)

病歴/身体所見

・11歳男児
2週間前から増大する無痛性口腔内腫瘍のためER受診
・口腔内に違和感はあるが、会話/嚥下/呼吸には問題なし
口腔底に青みがかった楕円形の2.5*1cmの舌下腫瘍を認めた
 ◦やわらかく圧痛はなかった

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検査

・POCUSにより診断された

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診断

舌下ガマ腫
耳鼻咽喉科に紹介された
 
 
ガマ腫は10代までの年齢層に比較的よくみられる疾患
(J Clin Diagn Res. 2017 Sep;11(9):ZE06-ZE09.)
 
口腔内外傷または舌下腺の炎症後に発生し、唾液が口腔底に滲出する仮性嚢胞性病変である
 
・治療せずに放置すると、会話や嚥下が困難となり、気道閉塞にまで至ることがある
(J Clin Diagn Res. 2017 Sep;11(9):ZE06-ZE09.)
 
・診断は臨床所見と画像所見よりなされる
 
超音波検査はアクセスのしやすさ、被曝がないこと、検査の信頼性が高いことから第一選択の画像検査である
 ◦低~無エコーの卵形の嚢胞、内部に血管分布なし、周囲の充血に乏しいのが特長
(Pediatr Radiol. 2013 Mar;43(5):523-35./Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2013 Sep;77(9):1489-94./J Med Imaging Radiat Oncol. 2008 Apr;52(2):101-8.)
 
・診断が難しい場合にはCTやMRIも使用可能
(Pediatr Radiol. 2013 Mar;43(5):523-35./Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg. 2014 Dec;22(6):525-9.)
 
・治療方針については議論が残る分野
 ◦開窓術、ガマ腫摘出術、舌下腺摘出など
(J Clin Diagn Res. 2017 Sep;11(9):ZE06-ZE09./Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2010 Feb;74(2):202-5.)

 

これって放置すると気道閉塞に至ることもあるんですね…。

 

 

小児なんでCT使いづらいですがCT画像も見ておきます。

 

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舌下領域に嚢胞性病変を認め、周囲には炎症の所見がないことが特徴
(Pediatr Radiol. 2013 Mar;43(5):523-35.)

 

 

まとめ

・ガマ腫は10代までの小児に比較的よくみられる嚢胞性病変

・診断は超音波が第一選択

・無治療では会話/嚥下困難や、場合によっては気道閉塞に至ることもある