病歴/身体所見
・66歳女性
・10日間持続する右肘痛のためER受診
・最近、痛風発作のため治療を受けていた
・アロプリノールが処方されていたが、24時間のうちに疼痛と腫脹が悪化した
・発熱なし
・肘は腫脹し圧痛あり、疼痛のため関節可動域制限あり
・滑液包をneedle aspirationしたところ、乳白色の液体が引けた
診断
urate milkを伴う痛風滑液包炎
顕微鏡で尿酸結晶を多量に認めた
コルヒチンとステロイド投与により改善した
・尿酸結晶を大量に含んだ乳白色になった滑液/関節液のことをurate milkという
(J Rheumatol. 1997 Dec;24(12):2389-93.)
◦ただし、細胞数が少なくとも化膿性関節炎は否定できないことに注意
◦痛風性関節炎と化膿性関節炎は同時発症の可能性もある
(J Rheumatol. 1990 May;17(5):712-4./Am J Emerg Med. 2007 Sep;25(7):749-52./J Rheumatol. 2012 Jan;39(1):157-60.)
関節穿刺を行うときは、通常黄色か赤色かくらいにしか想定していないけど、乳白色のものが引ければ痛風発作の可能性があがります。
結晶誘発性関節炎かな?と思っても、バイタルサインや患者の背景などによっては化膿性関節炎の可能性も考えておかねばなりません。
まとめ
・尿酸血症を大量に含んだ乳白色の関節液をurate milkと呼び、痛風関節炎に特徴的
・化膿性関節炎と鑑別を要するが、細胞数が少なくとも化膿性関節炎は否定できないことと、両者が同時発症しうることに注意を要する