りんごの街の救急医

青森県弘前市の救急科専門医による日々の学習のまとめブログです!間違いなどありましたら是非ご指摘下さい。Twitterでも医療系のつぶやきをしています@MasayukiToc

症例6:1か月持続する頭痛を訴える73歳男性(Ann Emerg Med. 2020 Nov;76(5):e121-e122.)

 

病歴/身体所見

・73歳男性
1か月持続する頭痛のためER受診
・血圧127/65mmHg, 体温36.7度
・神経学的異常は認めず
 

検査

・血液検査ではCRP8.7mg/dLと上昇していた
・Color Doppler ultrasonographyでは、右内頸/外頸動脈の内腔周囲に低エコーのhalo signを認めた

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診断

巨細胞性動脈炎

 

・中~大血管の動脈炎
・側頭動脈生検は診断基準に含まれている
以下の5項目の3項目を満たす場合に巨細胞性動脈炎と分類される
 ◦年齢50歳以上
 ◦新規発症の頭痛
 ◦側頭動脈の異常:側頭動脈圧痛/頸動脈拍動の低下
 ◦ESR≧50mm/hr
 ◦動脈生検組織の異常
(Arthritis Rheum. 1990 Aug;33(8):1122-8.)
Glucocorticosteroidsが治療の第一選択
(Lancet. 2008 Jul 19;372(9634):234-45.)
 
特にPMRとの合併症として重要な疾患ですが、頭痛のある高齢者では必ずGCAも疑う必要があります。
 
特に、以下の3つのシーンではその存在を強く疑います。
・60歳以上の新規発症の頭痛
・PMRの診断がされている
・頭皮の圧痛/顎跛行/複視などの存在
 
また、ESR≧100mm/hrの疾患はある程度絞られます。
・リウマチ性多発筋痛症
・血管炎
・感染性心内膜炎
・亜急性甲状腺
・骨髄炎/脊椎炎など
 

まとめ

・高齢者の頭痛では、巨細胞性動脈炎を鑑別に挙げ、血液検査で炎症反応の上昇がないか検索せよ

・60歳以上の新規発症の頭痛、PMRの診断、頭皮の圧痛/顎跛行/複視などの所見は、特に巨細胞性動脈炎を疑うきっかけとなる

・赤沈が著明に上昇する疾患は限られている