病歴/身体所見
・73歳男性
・1か月持続する頭痛のためER受診
・血圧127/65mmHg, 体温36.7度
・神経学的異常は認めず
検査
・血液検査ではCRP8.7mg/dLと上昇していた
・Color Doppler ultrasonographyでは、右内頸/外頸動脈の内腔周囲に低エコーのhalo signを認めた
診断
巨細胞性動脈炎
・中~大血管の動脈炎
・側頭動脈生検は診断基準に含まれている
・以下の5項目の3項目を満たす場合に巨細胞性動脈炎と分類される
◦年齢50歳以上
◦新規発症の頭痛
◦側頭動脈の異常:側頭動脈圧痛/頸動脈拍動の低下
◦ESR≧50mm/hr
◦動脈生検組織の異常
(Arthritis Rheum. 1990 Aug;33(8):1122-8.)
・Glucocorticosteroidsが治療の第一選択
(Lancet. 2008 Jul 19;372(9634):234-45.)
特にPMRとの合併症として重要な疾患ですが、頭痛のある高齢者では必ずGCAも疑う必要があります。
特に、以下の3つのシーンではその存在を強く疑います。
・60歳以上の新規発症の頭痛
・PMRの診断がされている
・頭皮の圧痛/顎跛行/複視などの存在
また、ESR≧100mm/hrの疾患はある程度絞られます。
・リウマチ性多発筋痛症
・血管炎
・感染性心内膜炎
・結核
・亜急性甲状腺炎
・骨髄炎/脊椎炎など
まとめ
・高齢者の頭痛では、巨細胞性動脈炎を鑑別に挙げ、血液検査で炎症反応の上昇がないか検索せよ
・60歳以上の新規発症の頭痛、PMRの診断、頭皮の圧痛/顎跛行/複視などの所見は、特に巨細胞性動脈炎を疑うきっかけとなる
・赤沈が著明に上昇する疾患は限られている