風邪（上気道炎：URI）につける薬は今のところありません！
特に小児の分野では、URIの際にハチミツを投与することで咳の頻度や重症度を軽減できるという研究が出ていました。
ハチミツすげ～！！！
今回、URIに対するハチミツの効果を全年齢において検討したsystematic review & meta-analysisが発表されましたので紹介します。
Abuelgasim H, Albury C, Lee J. Effectiveness of honey for symptomatic relief in upper respiratory tract infections: a systematic review and meta-analysis [published online ahead of print, 2020 Aug 18].
BMJ Evid Based Med. 2020;bmjebm-2020-111336.
URIに対する抗菌薬投与は効果がないばかりか耐性菌リスクとなることが知られてはいますが、処方されているケースがいまだに多くみられます。
耐性菌リスクを増大させないためには抗菌薬投与に代わる選択肢が必要であり、その他の効果に乏しい薬剤処方も避けたいところです。
現在ではハチミツはURIの一般的な治療方法となっており、特に咳の頻度と重症度を軽減させるというevidenceがある、安全かつ安価でできる対応方法です。
特に、小児の咳に対する投与はガイドラインでは推奨されています。
飲ませ方は、「ハチミツ2.5-5ml（ティースプーンに半分～1杯）をそのまま、またはお茶やジュースで割って内服」でよいようです（研究によってばらつきはあります）。
では、systematic review & meta-analysisのまとめについて見ていきましょう。
・14の研究が対象となり、全てRCTであった
◦9つが小児のみに対する研究
◦9つの研究では純ハチミツが使用されたが、残りの研究では化合物も含まれていた
‣ハチミツ+コーヒー/牛乳としている研究も含む
・biasのリスクは中等度
・ハチミツ vs placeboでは複合症状の改善効果あり
◦複合症状…SMD −1.03, 95% CI −1.32 to −0.75
※純ハチミツ以外の形態のものを除く
・ハチミツ vs 通常ケアでは以下の効果が認められた
◦複合症状スコア…mean difference −3.96, 95% CI −5.42 to −2.51, I2=0%
◦咳嗽頻度…SMD −0.36, 95% CI −0.50 to −0.21, I2=0%
◦咳嗽重症度…SMD −0.44, 95% CI −0.64 to −0.25, I2=20%
・個別の治療法で比較すると…
◦diphenhydramine（レスタミン）よりも有意に効果があり
◦ dextromethorphanとは同等であった
・placeboとの比較試験は少なく、より多くの研究が必要である
レスタミンよりもハチミツなんですね！choosing wisely！
これからは不必要な鎮咳薬や抗菌薬を処方しないように、さらに患者さんと話し合っていきたいと思います。
