病歴/身体所見
・35歳男性、軍人
・1週間にわたる間欠的な呼吸困難のためER受診
◦労作により呼吸困難は悪化した
・3週間前に左下肢の有痛性筋痙攣があり、1週間前に抜歯したことを思い出した
・既往歴なし
検査
・CXR
・Hampton's hump(緑)…右下肺末梢に楔形の浸潤影
・Westermark sign(青)…右中肺野に透過性亢進域
・Fleischner sign(橙)…右肺動脈の拡張
・knuckle sign(黒)…右肺動脈の急激な途絶
・造影CT
肺動脈拡張(橙:Fleischner sign)と急激な狭小化(青:knuckle sign)を認める
saddle thromboembolim(橙)
診断
・血栓溶解療法と抗凝固療法により、24時間後には臨床症状の改善を認めた
・肺塞栓は既知のリスク因子がなくとも、多数の血栓形成促進状態の結果として発症する可能性がある
(J Am Coll Cardiol. 2016 Mar 1;67(8):976-990.)
・肺塞栓発症後の合併症による死亡率は以下のようになる
◦再発性肺塞栓…最初の1年に8%
◦慢性肺高血圧症…2年時点で4%
(N Engl J Med. 2004 May 27;350(22):2257-64.)
・単純レントゲンでも特徴的な所見を認めることがある
◦knuckle sign…肺動脈の突然の途絶/狭小化
◦Hampton’s hump…肋横角部に好発する浸潤影
(Insights Imaging. 2019 Dec 4;10(1):114./Clin Chest Med. 2008 Mar;29(1):107-16, vi)
今日は温故知新というか、研修医的な知識というか(逆に放射線科の玄人の先生向きというか)そんな知識でした。
単純レントゲンで肺塞栓を特定しようとは思いませんが、ここまで深くみていなかったので昔を思い出しました。
まとめ
・肺塞栓症は単純レントゲン写真でも特徴的な所見を認めることがある
◦knuckle sign…肺動脈の突然の途絶/狭小化
◦Hampton’s hump…肋横角部に好発する浸潤影