りんごの街の救急医

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症例129:複数回の気管挿管失敗後に咽頭痛を発症した30歳男性(Ann Emerg Med. 2021 Apr;77(4):414-461.)

気管挿管による合併症の症例報告です。

 

これまでにもこわ~い症例を扱ってきました。

appleqq.hatenablog.com

複数回の気管挿管失敗により肺圧外傷や皮下気腫を来した症例でした。

 

 

さて、では今回はどこに合併症が出てしまったんでしょうか?

 

 

・30歳男性
数時間前からの咽頭痛により経口摂取不能となりER受診
・同日これより前に、外来手術のために手術室で気管挿管が何度か失敗に終わり、外来手術が中止された経緯がある

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画像の白矢印のところ、わかるでしょうか?

椎体前面にfree airが出現しています。

 

 

診断は、食道穿孔でした。

 

・食道穿孔の大部分は、上部消化管内視鏡検査などの医原性の原因による
 ◦医原性がおよそ70%
 
・そのほかに外傷、異物、激しい嘔吐による
 
気管挿管もまれだが、食道損傷の報告がある
 
・診断はCT、内視鏡、嚥下造影などによって行われる
 
・食道穿孔により腸管内容物が漏出し、急速に敗血症→死につながる可能性がある
 
発症から治療まで24時間経過すると、それ以前に比較して死亡率が2倍になる
 
・初期診療では積極的な輸液蘇生、広域抗菌薬、外科コンサルトを要する

 

 

通常はこのあと手術になるのかな~と思ってみていましたが…

 

なんと、患者は広域抗菌薬投与による保存的加療が行われました。

これって結構普通なんでしょうか。

術前術後で胃内容物もないしってことで手術は不要と考えられたのでしょうか。

 
そして、5日後の食道造影検査で漏出がないことを確認されて退院となりました。
 
 
最近は喉頭鏡もとい骨董鏡での挿管が減ってきていて、
ビデオ喉頭鏡での挿管が増えているため研修医がやっても初回通過が多くなった実感がありますが、再度気を引き締めて合併症を起こさないようにしないといけません。