病歴
・42歳男性・失神と頭痛のためER受診・BP90/60mmHg、他バイタルサインに異常なし・ERでも強直間代性痙攣を発症し、自然に停止した
次の一手をどうしましょうか。
痙攣の原因検索として血液検査、心電図検査なんかを行いつつ、CTでしょうか?
・POCUSによりvolume status把握も兼ねて内頸静脈が検査された◦右内頸静脈(矢印)は圧迫によりつぶれず、内部の血流もなし・CT:頭蓋内出血除外のために施行◦右横静脈洞がhighになっている(左)◦右内側静脈径が増大(右)
ここまで所見が揃えば次の一手が見えてきます。
もしERで痙攣を起こしていなかったら、頸静脈に超音波を当てなかったら、CTで静脈洞の所見がはっきりしなかったら…というシチュエーションを考えると、診断の難易度が上がり見逃されちゃうかもしれません。
頭部CTでの静脈洞の所見が有名かもしれませんが、30%くらいにしか出ないんですよねぇ。
最終診断
・患者にCVTのリスク因子はなかった・抗凝固療法が迅速に開始された
(Lancet Neurol. 2007 Feb;6(2):162-70.)
・発症から診断までに平均7日間ほど要する
◦つまり、治療までに遅延があることが多い疾患
(Stroke. 2011 Oct;42(10):2825-31.)
◦ERでのCVT検索にはPOCUSが有用であることもある
(N Engl J Med. 2005 Apr 28;352(17):1791-8./Clin Exp Emerg Med. 2018 Sep;5(3):199-203.)
男性での症例は妊娠/経口避妊薬内服している患者よりも予後が悪いとされます。
男性という時点でまずなかなか思いつきにくいかもしれません。
頭痛やけいれんを発症したときにCVTが鑑別に浮かべば頸静脈を検索してみるのは強力な一手になりそうです。過信してはいけませんが、これから使ってみたいと思います。
まとめ
・頭痛の鑑別としてCVTを鑑別に挙げる