頭痛患者がくると、一番の焦点はSAHか否かというところだとおもいます。
Clinical decision ruleとしてOttawa SAH ruleが有名ですが、それについての外的妥当性の検証が出ていたので紹介します。
また、発症6時間以内であればCTのSAHに対する感度はほぼ100%とされていますが、これについても検証されています。
この論文中に紹介されているOttawa SAH ruleのfigureがかっこよすぎます!(笑)
(Stroke. 2020 Feb;51(2):424-430.)
研究の概要
・prospective multicenter before-after controlled study
・6つのカナダの病院のERにおける研究で、2期間でのoutcomeを比較した
◦control phase…2010年1月~2013年6月
◦intervention phase…2013年6月~2016年1月
・対象は16歳以上で意識清明な患者かつ以下の症状がある患者
◦14日以内の非外傷性頭痛、1時間以内に最大となる急性発症の頭痛、頭痛を伴う失神
・除外項目は以下。
◦同様の頭痛が過去6か月以上にわたり3回以上認められた…片頭痛
◦ER到着前にSAH診断がされていた
◦以前にも同様の頭痛でCTや腰椎穿刺がされた
◦乳頭浮腫
◦新規発症の神経学的異常
◦頭蓋内動脈瘤やSAHの既往
◦既知の脳腫瘍
◦脳室シャント
◦腰椎穿刺後72時間以内の頭痛
・control phaseでは、医師はdecision ruleを使用しないように教育され、自己の裁量でCTや腰椎穿刺を行った
・intervension phaseでは、Ottawa SAH ruleと6-hour-CT ruleを積極的に使用するよう教育された。
・組み込まれた3672人のうち、188人(5.1%)にSAHが認められた
◦control phase…1743人
◦intervention phase…1929人
・outcome
◦CTを受けた割合…88.0% vs 87.5%, p=0.643
◦腰椎穿刺を受けた割合…38.9% vs 25.9%, p<0.0001
‣6時間以内であれば31.3% vs 15.1%, p<0.0001
◦CT後の追加検査(腰椎穿刺またはCTA)を受けた割合…51.3% vs 42.2%, p<0.0001
‣6時間以内であれば46.6% vs 31.8%, p<0.0001
◦入院率…9.8% vs 7.4%, p=0.011
◦ER滞在時間…6.3±4.0 vs 6.4±4.2hrs, p=0.685
◦Ottawa SAH rule感度…100%, 95% CI 98.1%-100%
◦6-hour-CT rule感度…95.5%, 95% CI 89.8-98.5
‣5例のSAH見逃しあり
②未破裂動脈瘤…2例
③動脈瘤以外の原因(硬膜静脈瘻)による…1例
④重度の貧血…1例
まとめ
clinical decision ruleを使ってもCT使用率は減りませんでした。そりゃそうですね。
結構制限厳しいruleだし。
でも、腰椎穿刺を含めた追加検査を減らすことができました、特に発症6時間以内ではその傾向が顕著です。
そして、肝心のOttawa SAH ruleの感度は100%でした!やっぱりすごい!
6-hour-CT ruleの感度は95.5%と優秀ですが、特に重度の貧血の患者では見逃しが起こりえるので注意が必要と思います。
最後に、かっこいいfigureを貼り付けておきます。