りんごの街の救急医

救急科専門医によるER診療のまとめブログです!教科書やAIでは学びにくい現場目線のpitfallがたくさん!Twitterでも医療系のつぶやきをしています@MasayukiToc

Real ER Round No.40:よく考えるとよくわかっていない⁉ 蘇生現場のエビデンス

心停止に対するACLSはもう何度もやってきた処置で、体は勝手に動きます。

 

でも、いざ落ち着いて聞かれると、

「あれ、これって何回目のショックとして数えるんだっけ?」

「なんでここでアドレナリンなんだっけ?」

と答えに詰まる場面、けっこう多くないですか?

 

自分は詰まります。何度も詰まってきました。

そして、さっきも看護師との振り返りで詰まりました。

ノリでいってしまっていることも実はあるような。

 

最近JRCのガイドラインを入手できたので読んでいるところなので、

2025年に改訂されたERCとAHAのガイドラインを中心にまとめておきましょう。

 

これを機に「動きは覚えているけど、根拠があいまいなまま流していたところ」を総ざらいしてみましょう。

 

除細動の数え方から低体温性心停止まで、ERで実際に迷うポイントだけを集めています。

 

 

 

 

ショックの「数え方」でつまずいていませんか?

アドレナリンとアミオダロンの投与タイミングは、「ショック何回目か」で決まります。

ERCガイドライン2025では、

✅ ショック適応リズムでは3回目のショック後にアドレナリン1mg

✅ 3回のショック後にアミオダロン300mg

✅ 5回のショック後にアミオダロン150mg

とされています。

 

つまり、「ショックを何回打ったか」を間違えると、薬のタイミングもまるごとズレます。

ここが意外とあいまいなまま流れていく現場、多いと思うんですよね。

 

非ショック適応リズムを挟んでも、ショック回数はリセットしない

まず、地味に迷うところ。

 

VF→ショック→PEA→また VF…と行ったり来たりすると、

「あれ、いったんVFが消えたから、ショックの数え直し?」となりがちです。

 

ERCガイドライン2025は、ここをはっきり書いています。

アミオダロンは3回目のショック後に1回目、5回目のショック後に2回目を投与する。

これはショック適応リズムが連続している(refractory VF/pVT)場合でも、断続的に出現している(recurrent VF/pVT)場合でも変わらない。

 

つまり、間に別のリズムを挟もうが、ショックのカウントはリセットせずに通算していきます。

 

リーダーがこれを口に出して数え続けるだけで、薬のタイミングはかなり明確になります。

「今、通算3回目のショックです」と誰かが言えるチームは強いですね。

 

最初の「3連続ショック」は1回目と数える

ちょっとここはERの初療とは関連が乏しいかもしれませんが、一応。

 

目撃されたモニター下の心停止で、除細動器がすぐ手元にある状況(心臓カテーテル室や高度モニタリング下など)であれば、最大3回のstacked shock(胸骨圧迫を挟まずに連続でショックすること)を考慮してもよいとされています。

 

ここで問題になるのが数え方です。

 

アドレナリンとアミオダロンの投与に関しては、この最初の3連続ショックを「1回目のショック」として数えます。

 

3連発したから「もう3回打った、アドレナリンだ!」ではありません。

ここから通常のALSアルゴリズムに戻って、2分サイクルを回していくことになります。

 

🚨 ここがPitfall!

ショック適応リズムが断続的でも、ショック回数はリセットしない。

 ・「通算何回目か」を声に出して共有すると、薬のタイミングがズレにくい。

最初のstacked shock(3連続)は、薬剤投与のカウント上は「1回目のショック」。

 ・3連発した直後にアドレナリン・アミオダロンへ飛ばない。

 

「難治性VF」の正体は、たいてい再発性VF

3回ショックしてもまだVF…。

「難治性VFだ、次の手を!」となりますよね。

 

ここで一度立ち止まりたいところです。

 

ERCガイドライン2025では、難治性VF(3回以上の連続ショック後も持続するVF)について、こう述べています。

 

当初はVF症例の約20%で生じるとされていたが、最近の研究では実際の発生率は5%程度に低い可能性がある。多くの患者ではいったん除細動に成功しており、そのあとの2分間の胸骨圧迫中に再細動している。

したがって、これらの再細動例が「難治性VF」の大部分を占めている可能性がある。

 

AHAガイドライン2025はさらに踏み込んで、

リズムチェックで再びVF/pVTが見えるケースのうち約80%は、ショック失敗ではなく「いったん停止したVF/pVTの再発」である

という趣旨の記載をしています。

 

そのうえでAHAは、

機序が確定できない状態では"shock-refractory"ではなく"persisting VF/pVT"(3回以上の連続ショック後もVF/pVTが続く状態)と呼ぶ

ことを提案しています。

 

これは、けっこう大事な視点だと思います。

 

「ショックが効いていない」のか「効いたけど戻ってきている」のかで、次の一手が変わるからです。

 

前者ならショックそのものの最適化(パッド位置、エネルギー、ベクター変更)

後者ならショック後のリズム安定化(抗不整脈薬や原因検索)

に重心が移るからです。

 

ショックのリズム安定化に使うアミオダロンの投与タイミングは上述のとおりですが、

このように考えると合点がいく対応になります。

 

さて、ここからはショックそのものの最適化について見ていきます。

 

「心尖部パッド」が前すぎる問題

ERCガイドライン2025で特に強調されるようになったのが、パッドの位置です。

「初回はantero-lateral(前側方)」は変わっていませんが、心尖部(側方)パッドが正しい位置にあることを確認せよ、という点が前面に出てきました。

 

正しい位置とは、

✅ 腋窩のすぐ下、中腋窩線上

です。

 

もうひとつのパッドは、右鎖骨下・胸骨上縁のすぐ右側に置きます。

 

現場で貼られているパッドの位置を思い出してみてください。

「左前胸部のちょっと外側」くらいで止まっていることがよくありませんか?

もしその位置で運用されているなら、ルーチンを見直すチャンスだと思います。

 

心筋を電流が通り抜けてくれないと除細動は成功しませんので、ここは意識してもっと外側・もっと下に貼りましょう。

 

ERCが2025年版でわざわざ強調しているということは、それだけ現場でズレているということなんだと思います。

 

DSEDの前に、やることがある

DSED(dual/double sequential external defibrillation)は話題の手技ですが、ERCもAHAもルーチン使用は推奨していません。

 

個人的にはよく使います。

JRCも考慮してよいと書いてあったような。

 

ERC 2025:2台の除細動器を使う実務的な困難さと有効性のエビデンスの限界から、ルーチンでの導入は推奨しない。

AHA 2025:3回以上の連続ショック後も持続するVF/pVTに対するDSEDおよびベクター変更の有用性は確立していない(Class 2b)。

 

ERCが難治性VFに対して推奨しているのは、以下の順番です。

✅ 可逆的原因を積極的に探して補正する

✅ 除細動出力が最大設定になっているか確認する

✅ パッド位置、とくに心尖部パッドが正しいか確認する

✅ ショックエネルギーの上げ方(escalating)を検討する

✅ 3回目のショックが不成功なら、次のリズムチェックのタイミングで新しいパッドを前後(antero-posterior)に貼り直す(ベクター変更)

✅ 必要なら貼付予定部位の除毛を行い、経胸壁インピーダンスを下げる(これはやったことない!)

 

前後パッドの位置は、前は胸骨の左側(乳房組織をできるだけ避ける)、後ろは同じ高さで左肩甲骨のすぐ内側です。

 

派手な新手技より先に、地味な最適化をまずは見直してみましょう。

 

🚨 ここがPitfall!

「3回打ってもVF」=ショック失敗、とは限らない。多くは再発性VF。

心尖部パッドが前すぎるかも。正しくは腋窩の下・中腋窩線上。

DSEDはERC・AHAともにルーチン推奨ではない。

 ・その前に、可逆的原因・最大出力・パッド位置・エネルギー漸増・前後へのベクター変更を済ませる。

 

電気ショックとその前後にあるあやふや対応

Fine VFも除細動する

モニターに、細かくて頼りない波形が出ている…。

「これ、asystoleに近いよなぁ…胸骨圧迫を続けるか…」と迷う場面です。

 

ERCガイドライン2025は明確です。

どんな振幅のVFであっても(fine VFであっても)、ただちに除細動を試みるべきである

と記載があります。

 

2015年版では「asystoleか極めて細かいVFか判断に迷う場合は除細動せず胸骨圧迫と換気を続ける」という記載でしたが、2025年版では「明らかにVFと判断できるならショックを打つ」方向に整理されました。

 

ERCは、VFにショックを打たないリスクと、asystoleにショックを打ってしまうリスク、そして術者間の判断のばらつきを比較したうえでこの推奨を出しています。

 

fine VFはモニターでの検出が難しいこともあるので、

個人的には超音波で検出するようにしています。

 

ショック直後に「止まったかな?」とリズムを確認しない

ショックを打った直後、モニターをちらっと見て「戻ったかな?」と確認したくなる気持ち、めちゃくちゃわかります。

 

でも、これはやってはいけません。

 

ERCは、ショック後はただちに胸骨圧迫を再開し、直後のリズム再解析や脈拍チェックのためにCPRを遅らせないとしています。

 

理由がまた説得力を持ちます。

✅ 除細動が成功しても、灌流のある循環が確立するまでには時間がかかり、直後に脈が触れることは非常にまれ

✅ 患者は2分以上無脈のままであり得る

✅ 除細動成功例の最大25%で、ROSCまでのasystoleの持続が2分を超える

 

つまり、ショック直後の「無脈・asystole」は、失敗ではなく想定の範囲内ということです。

ここで手を止めた分だけ、冠灌流圧が失われます。

 

ではいつ止めるのか。

ERCでは、意識の回復・目的のある動き・動脈圧波形・ETCO₂の急峻な上昇といった臨床的および生理学的なROSCの徴候が組み合わさったときに、リズム解析(必要なら脈拍チェック)のために胸骨圧迫の中断を考慮する

としています。

 

「なんとなく気になるから」ではなく、複数のサインがそろったら止めるのが適切です。

 

🚨 ここがPitfall!

Fine VFは「asystoleっぽいから様子見」ではなく、除細動する。

 ・モニターだけではなく、超音波でも検出せよ。

ショック直後のリズム確認・脈拍チェックはしない。すぐ胸骨圧迫を再開する。

 ・ショック成功例でも直後は無脈のことが多く、25%ではROSCまでのasystoleが2分を超える。

 

薬の話:アドレナリン、投与経路、「とりあえず」の3点セット

アドレナリンの投与タイミングはAHAとERCで異なる

ここは意外と知られていない&意識していないかもしれないところです。

 

非ショック適応リズム(PEA/asystole)では両者とも一致していて、「できるだけ早く」アドレナリン1mgを投与します。

 

違うのはショック適応リズムのときです。

 

ERCガイドライン2025:3回のショック後もVF/pVTが持続する場合にアドレナリン1mgを投与する。

AHAガイドライン2025:初回の除細動の試みが不成功に終わった後に投与することが妥当(Class 2a, LOE B-NR)。回数の指定はない。

(※成人心停止アルゴリズム上は、2回目のショック後のCPRサイクルにアドレナリン)

 

ILCORの推奨自体は「ショック適応リズムでは、初回の除細動の試みが不成功であった後に投与することを提案する(弱い推奨)」であり、「3回後」という具体的な回数はERCが自らの判断で示している数字です。

 

ん~、ERCはわかりやすくて現場にはとってもいいですね!

 

ERCはこの根拠として、PARAMEDIC2試験がERC ALS 2015ガイドライン(=非ショック適応ではルート確保後ただちに、ショック適応では3回の除細動不成功後)に沿って実施されたことを挙げています。

 

AHAは、ショック適応リズムでは迅速な除細動を優先し、CPRと除細動の初期の試みが不成功だった後にアドレナリンを投与するという考え方を支持しています。

院内心停止の観察研究で、初回除細動より前にアドレナリンを投与する割合が高い施設ほど、リスク調整後の生存率が10%低かったというデータも挙げられています。

 

どちらに従うかは施設のプロトコルによりますが、

「どの組織の推奨で動いているのか」をチームで共有しておかないと、投与タイミングを悩みます。

自分の施設がどちらベースなのか、確認しておくとよいと思います。

 

薬剤投与経路は「IVでもIOでも同じ」ではなくなった

「ルートが取れないから、とりあえず骨髄針でいこう」

この判断、2024年までは「まぁどっちでも一緒でしょ」という空気がありました。

 

2024年に成人心停止でIO firstとIV firstを比較した大規模RCTが3つ出て、状況が変わりました。

 

ILCOR ALSタスクフォースによるメタ解析(9,332例)の結果は以下のとおりです。

✅ 30日生存または良好な神経学的転帰での退院:改善しない(OR 1.07, 95%CI 0.88–1.30、低い確実性)

✅ 30日生存:改善しない(OR 0.99, 95%CI 0.84–1.17、中程度の確実性)

✅ 持続的ROSC:IO firstで低下する可能性(OR 0.89, 95%CI 0.80–0.99、中程度の確実性)

 

これを受けて、ERC 2025は「成人心停止では静脈路(IV)を第一選択とする」と明記しました。

そして、IVを2回試みても速やかに確保できない場合に、IOを代替として考慮するという順序になっています。

 

AHA 2025も同様で、IVの確保をまず試みることを推奨(Class 1, LOE A)、初回のIVの試みが不成功または実行不可能な場合にIOが妥当(Class 2a, LOE A)としています。

 

「同等の選択肢」から「第一選択と代替」に変わったという理解でよさそうです。

 

長引く心停止に「とりあえずCa、メイロン、Mg」は推奨されない

蘇生が長引いてくると、なんとなく出てくるこの3点セット。

どうでしょうか?

 

ERC 2025:心停止中にカルシウム、炭酸水素ナトリウム、コルチコステロイドをルーチンに投与してはならない。

AHA 2025:カルシウム、炭酸水素ナトリウム、マグネシウムのルーチン投与はいずれも推奨されない(Class 3: No Benefit, LOE B-R)。

 

カルシウムについては、院外心停止391例のRCT(カルシウム vs プラセボ)が中間解析で害の可能性が示唆されて早期中止になっています。

ROSCや30日時点の神経学的転帰に有意差はなかったものの、カルシウム投与群では90日および1年時点の良好な神経学的転帰の割合が低く、複数のアウトカムで害のシグナルが見られました。

 

ただし、特異的な適応があるときは別です。

具体的に名指しされているのは、以下の2つです。

 

【高K血症性心停止】(ERC Special Circumstances 2025)

✅ 塩化カルシウム10%を10mL静注、および炭酸水素ナトリウム50mmolを静注(別ルートで、または間にフラッシュを挟んで)

 

一方でAHAは、高K血症が疑われる心停止に対するカルシウム・炭酸水素ナトリウム・インスリン+ブドウ糖について、いずれも「有効性は十分に確立していない(Class 2b)」という、より慎重な書きぶりです。

同じ病態でも、どちらの学会の推奨を見ているかで温度差があります。

 

【Naチャネル遮断薬中毒】(AHA 2025 Part 10/2023 poisoning focused update)

✅ 三環系・四環系抗うつ薬中毒による生命を脅かす心毒性の治療に、炭酸水素ナトリウムを使用することを推奨する

✅ 三環系・四環系以外のNaチャネル遮断薬(コカインなど)中毒による生命を脅かす心毒性に対しても、炭酸水素ナトリウムを使用することは妥当である

 

ここで注意したいのは、これは「心停止だから入れる」のではなく、「Naチャネル遮断による心毒性という機序があるから入れる」薬だということです。

QRS延長や致死的不整脈といった、ターゲットになる所見があるかどうかで判断が変わります。

 

逆に言えば、「20分蘇生しても戻らないからそろそろメイロン」という使い方は、どのガイドラインからも支持されていません。

(やっかいがちなんですけど)

 

炭酸水素ナトリウムの適応と用量、中毒での使いどころはこちらに詳しく書いています👇

appleqq.hatenablog.com

 

「多形性VT=マグネシウム」ではない

多形性VTを見た瞬間に「マグネシウム!」と反射する人は多いのではないでしょうか。

 

AHAガイドライン2025は、QT間隔で分けて考えることを明確にしています。

確かに診断基準的にはそうですもんね。

 

✅ 持続性の多形性VT → ただちに非同期ショック(Class 1, LOE B-NR)

✅ QT延長を伴う多形性VT(torsades de pointes)の再発 → マグネシウムを考慮してもよい(Class 2b, LOE C-LD)

✅ QT延長を伴わない多形性VTの再発 → リドカイン、アミオダロン、および心筋虚血の治療を考慮してもよい(Class 2b, LOE C-LD)

✅ QT間隔が正常な多形性VTに対するマグネシウムのルーチン使用は推奨されない(Class 3: No Benefit, LOE C-LD)

 

AHAは、「多形性VTの診断と治療で最も重要なのは波形の形態ではなく、患者の背景にあるQT間隔について何がわかっているか(あるいは疑われるか)である」と述べています。

 

また、QT延長を伴わない多形性VTの最も多い原因は急性心筋虚血とされています。

マグネシウムを打つ前に、「この人のQTはどうだったか」「虚血ではないか」を考える順番ですね。

 

なお、torsadesに対するマグネシウムの用量は、ERCの表では8mmolを10分かけて静注、必要なら1回反復可とされています。

ERCの補足として、マグネシウムは血清マグネシウム濃度が正常であっても、必ずしもQTを短縮させずにtorsadesのエピソードを抑制しうると記載されています。なので、Mg値を確認する必要はありません。

 

🚨 ここがPitfall!

ショック適応リズムでのアドレナリンのタイミングは、ERC=3回のショック後、AHA=初回の除細動が不成功の後、と表現が異なる。

 ・自施設がどちらのプロトコル(または異なるのか)で動いているかを確認しておく。

IOは「IVと同じ」ではない。IVが第一選択、IVが2回で確保できないときの代替。

Ca・メイロン・Mgのルーチン投与は推奨されない。特異的適応があるときだけ。

多形性VTでまず見るのはQT。QTが正常ならマグネシウムのルーチン使用は推奨されない。

 

気道と換気:挿管は蘇生の「必須タスク」ではない

心停止=挿管という反射でうごいてしまいがちですが、ここも要注意です。

 

ERC 2025が示しているのは段階的アプローチ(stepwise approach)で、基本的な気道管理から始めて、術者のスキルに応じて有効な換気が得られるまで段階的に進めるという考え方です。

 

そして、気管挿管について明確な条件がついています。

気管挿管は、高い成功率をもつ術者が、連続波形カプノグラフィを使用できる状況でのみ試みるべきである。

高い成功率とは、2回までの試行で95%を超えることであるという専門家のコンセンサスが示されています。

 

さらに、気管挿管による胸骨圧迫の中断は5秒未満を目指すとされています。

 

AHA 2025はもっと踏み込んでいて、

「高度な気道確保が胸骨圧迫を中断させることになるなら、初期のCPRと除細動に反応しないか、ROSCが得られるまで、気道デバイスの挿入を延期すべきである(Class 1, LOE C-LD)」としています。

 

ショック適応リズムであればなおさらで、AHAはCPRと除細動を優先すべきと明記しています。

逆に非ショック適応リズムでは、CPRの質とアドレナリン投与がすでに最適化されている蘇生であれば、早期の気道管理も可能であるという書き方です。

 

ERCも「基本的な気道確保で有効な換気ができているなら、ROSC後まで高度な気道確保に進む必要はないかもしれない」としています。

 

挿管は「やるべきこと」ではなく「有効な換気が得られていないときの手段のひとつ」。

ここは意識を切り替えたいところです。

 

ちなみに、ビデオ喉頭鏡がすぐに使える環境では、直接喉頭鏡よりビデオ喉頭鏡を使うことが望ましいとERCは述べています。

チューブ位置の確認は、連続波形カプノグラフィで持続するETCO₂波形を確認することが必須です。

 

心停止中の人工呼吸器設定は、通常の肺保護換気と少し違う

挿管できたら、換気を人工呼吸器に任せるのはアリです。

BVMに1人取られなくなるので、蘇生に割ける人手が増えます。

 

ERCガイドライン2025が示している設定は以下のとおりです。

✅ モード:胸骨圧迫中は量規定(volume-controlled)モード

✅ 1回換気量:予測体重あたり6-8mL/kg、または明らかな胸郭挙上が得られる量

✅ FiO₂:最大

✅ 換気回数:10回/分

✅ 吸気時間:1-2秒

✅ PEEP:0-5cmH₂O

✅ 気道内圧上限アラーム:60-70cmH₂O

✅ フロートリガー:オフ

 

ポイントは、ARDSの肺保護換気とは目的が違うということです。

 

PEEPは低め(0-5)、アラームはかなり高め(60-70)、トリガーはオフ。

これは胸骨圧迫による胸腔内圧の変動があっても、確実に換気を入れきるための設定と理解しています。

アラームで換気が中断されてしまうと、低換気になってしまいますからね。

 

ERCは、人工呼吸器による換気が有効でない場合には、手動換気に切り替えることとしています。

入れっぱなしで安心せず、胸郭とカプノグラムを見ましょう。

 

この話は過去に詳しく書いています。実際の設定や小ワザはこちら👇

appleqq.hatenablog.com

 

なお、除細動の際は呼吸器回路や自己膨張式バッグは気管チューブ・声門上気道デバイスに接続したままにしておき、酸素の排気が胸郭側に向かないようにしておけばいいです

 

🚨 ここがPitfall!

心停止=挿管ではない。有効な換気が得られているなら、ROSC後まで待ってよい。

 ・挿管は「2回までの試行で95%超」の成功率をもつ術者が、波形カプノグラフィのもとで行う。

 ・AHAは「胸骨圧迫を中断するなら、高度気道確保は延期すべき」とClass 1で記載。

心停止中の呼吸器設定は肺保護換気とは別物。PEEPは低め、圧アラームは高め、トリガーはオフ。

ショック時に呼吸器回路は外す必要はない。

 

モニタリング:エコーとETCO₂に頼りすぎない

CPR中の右室拡大だけで肺塞栓と診断しない

心停止のエコーで右室が張っている。

「PEだ! 血栓溶解だ!」

 

…その前に一呼吸おきましょう。

 

ERCガイドライン2025:心停止中の右室拡大単独を、肺塞栓の診断に用いてはならない。

 

ERCが挙げている根拠が興味深いです。

心停止発症から数分後には、圧較差に従って血液が体循環から右心へ移動するため、右室拡大が生じる。

これは、低容量血症・高K血症・一次性不整脈による心停止のブタモデルにおいて一貫して観察されており、院外心停止患者では原因によらず経食道心エコーでよく見られる所見である。

 

つまり、右室拡大は「心停止という状態そのもの」でも起こるということですね。

 

ERCは同様の誤読の例として、

✅ 片側のlung slidingの消失 → 緊張性気胸ではなく、小さな気胸や片肺挿管かもしれない

✅ 腹腔内液体貯留 → 急性出血ではなく、腹水かもしれない

✅ 心嚢液貯留 → タンポナーデを伴わないこともある

を挙げています。

 

そのうえでERCは、POCUSは熟練した術者のみが行うこと、胸骨圧迫の追加的・延長的な中断を生じさせてはならないことを強調しています。

タンポナーデや緊張性気胸といった治療可能な原因の同定には役立ちうるという位置づけです。

 

実務的なコツとしてERCが挙げているのは、

✅ 計画されたリズムチェックの直前にプローブを当てておく

✅ 脈拍/リズムチェック中に10秒未満の短い動画クリップを記録し、胸骨圧迫再開後に見返す

✅ 可能なら、エコーをする人がチームリーダーやリズムチェック担当を兼ねない

あたり。

 

これは明日から使えますね。

でも実際は人員不足でエコーやりながらチームリーダーはよくあるんですよね。。。

 

ETCO₂だけでROSC確認や蘇生中止を決めない

ETCO₂は蘇生の強力な武器ですが、単独で判断材料にするには弱いです。

 

【ROSCの判断】

ERCは、CPR中のETCO₂上昇はROSCを示唆しうるが、この徴候のみに基づいて胸骨圧迫を中断すべきではないとしています。

意識・目的のある動き・動脈圧波形・ETCO₂上昇といった臨床的および生理学的サインを組み合わせて判断します。

 

ERCの補足によると、ROSC時にETCO₂はCPR中の値の3倍まで上昇しうる一方で、ROSCの診断基準となる一定の上昇幅は同定されておらず、ETCO₂の上昇は即時ではなく、脈が触知できるようになる10分以上前から始まることもあるとされています。

 

【蘇生中止の判断】

ERC:低いETCO₂値のみを用いて蘇生の中止を判断してはならない。

 

ERCが挙げている数字が印象的です。

ショック非適応リズムの難治性院外心停止617例(うち615例=99.3%が退院前に死亡)の研究で、非生存者の88%は30分時点でもETCO₂が10mmHgを超えていました。

そして2例の生存者のうち1例は、30分時点のETCO₂が10mmHg未満でした。

 

AHA 2025はもう少し実務的に整理しています。

✅ 挿管されている成人で、ALS蘇生20分後に波形カプノグラフィでETCO₂>10mmHgを達成できないことは、蘇生終了を判断する多角的アプローチの一要素として考慮してもよい(Class 2b, LOE C-LD)

✅ 挿管されていない成人では、CPR中のいかなる時点においても、特定のETCO₂カットオフ値を蘇生終了の指標として用いるべきではない(Class 3: Harm, LOE C-EO)

 

BVMや声門上気道デバイスでのETCO₂を根拠に中止を判断するのは、AHAでは明確に「Harm」に分類されているという点は覚えておきたいところです。

 

🚨 ここがPitfall!

CPR中の右室拡大は、心停止そのものでも起こる。単独でPEと診断しない。

 ・lung slidingの消失、腹腔内液体、心嚢液も同様に読み違えやすい。

POCUSで胸骨圧迫を止めない。リズムチェック直前にプローブを当て、10秒未満のクリップを撮って後で見返す。

ETCO₂の上昇だけで胸骨圧迫を止めない。複数のROSC徴候をそろえる。

低いETCO₂だけで蘇生中止を決めない。とくに非挿管例でのカットオフ使用は、AHAではClass 3: Harm。

 

輸液とAライン:あるものが違えば、蘇生も変わる

心停止だからといって輸液をルーチン投与しない

心停止=全開で輸液としていませんか。

 

ERCガイドライン2025:CPR中の輸液は、心停止が低容量血症によって引き起こされた場合にのみ行う。

輸液製剤は等張性生理食塩水または緩衝晶質液のいずれかを使用する。

 

ERCは、心停止に対するルーチンの輸液投与vs非投与を評価したRCTは存在しないとしたうえで、低体温誘導を目的に冷却輸液を用いた2つの大規模RCTからの間接的なエビデンスを挙げています。

そこではVF患者でのROSC減少、再心停止の増加、肺水腫の高率化が報告されました。

ただしERCは、これらの有害な影響が輸液量によるものか、注入速度によるものか、注入された輸液の温度によるものかは、これらの研究からは判断できないと注釈をつけています。

 

したがって、大量輸液の急速投与は、心停止の原因として低容量血症のエビデンスまたは疑いがある場合を除き、避けるべきという結論になっています。

 

なお、CPR中に投与した薬剤をフラッシュする目的での少量ボーラス(例:20mL)や緩徐な輸液は使ってよいとされています。

「薬を流すための輸液」と「蘇生輸液」は分けて考えましょう。

 

動脈ラインがある心停止では、通常と異なる蘇生も考えられる

ICU、手術室、カテ室など、

Aラインが入っていてリアルタイムに血圧が見える環境では、蘇生の中身が変わってきます。

 

ERCガイドライン2025の記載は以下のとおりです。

 

✅ 介入にもかかわらず収縮期血圧が50mmHg未満に低下したまま持続する場合、胸骨圧迫の開始を考慮する

脈が触れなくても動脈圧波形は見えていることがあるので、開始のトリガーが「脈なし」から「血圧」に変わるわけですね。

 

✅ 持続的な観血的動脈圧モニタリングを行っている成人では、アドレナリンを1mgボーラスではなく、まず少量ずつ(例:50-100μg IV)投与することを提案する

✅ 合計1mgを投与しても反応がない場合は、血管外漏出がないことを確認したうえで、通常どおり3-5分ごとに1mgの追加投与を考慮する

 

ERCがこの提案をする理由も書かれています。

持続モニタリング下では心停止を即座に診断でき、迅速に治療できるため、自己心拍が非常に速やかに再開する可能性がある。このような状況で1mgのボーラス投与を行うと、重度の高血圧や頻脈性不整脈を招く可能性がある。

 

✅ 生理学的指標に基づくCPRでは、実務的なアプローチとして拡張期血圧30mmHg以上(観血的動脈圧モニタリング使用時)およびETCO₂ 3.3kPa(25mmHg)以上を目標とする

 

ERCは、これは非常に専門的なセッティングで熟練した蘇生チームがいる場合にのみ実行可能であり、リアルタイムでの拡張期血圧の評価は患者によっては困難でありうるとも述べています。

すべてのERで真似できる話ではありませんが、「Aラインがあるなら、そこから得られる情報で蘇生を調整できる」という発想は持っておいてもいいでしょう。

 

CPR中に患者が覚醒したら

質の高いCPRを続けていると、患者さんが目を開けたり、手を動かしたり、こちらの腕をつかんできたりすることがあります。

 

ROSCしていないのに意識が戻る、CPR-induced consciousness(CPRIC)という現象です。

ERCによると、患者を対象とした観察研究での発生率は0.23-0.90%、一方で経験豊富な医療従事者の48-57%が「CPR中に意識のある患者を見たことがある」と報告しています。

 

ERCガイドライン2025の推奨は以下のとおりです。

✅ CPR中に意識のある患者の疼痛と苦痛を防ぐため、少量の鎮静薬または鎮痛薬(あるいはその両方)の使用を考慮してもよい

✅ 至適な薬剤レジメンは不明であり、重症患者に用いられるレジメンや各施設のプロトコルに基づいてよい(例:少量のフェンタニル、ケタミン、ミダゾラム)

✅ 意識のある患者に、筋弛緩薬を単独で投与してはならない

 

最後の項目、当たり前のようでいて、混乱した現場では起こりうる話です。

「動いて邪魔だから」で筋弛緩だけを入れると、意識があるまま動けない状態を作ることになります。

 

ERCは、CPR中の意識、あるいは目に見える意識を伴わない覚醒は、臨床医・バイスタンダー・心停止生存者にPTSDをもたらしうるとも記載しています。

 

ちなみに、CPRICは目撃あり・ショック適応リズム・若年・良好な転帰と関連しており、CPRICのある患者ではより長いCPRを行うことが妥当かもしれない、ともされています。

つまり、目を開けたということは、それだけCPRが効いているというサインでもあるわけですね。

 

低体温性心停止は、アルゴリズムをそのまま当てはめない

冬のERで働いていると、低体温心停止にはそれなりの頻度で遭遇します。

(今は熱中症シーズンですが)

 

低体温性心停止は、通常のALSアルゴリズムをそのまま適用してはいけない代表格です。

 

まず、深部体温が測れない場合の重症度分類(Swiss Staging System)を押さえておきましょう。

✅ StageⅠ(軽度):意識清明でシバリングあり、推定深部体温35-32℃

✅ StageⅡ(中等度):意識障害(混乱、傾眠など)、シバリングは減弱または消失、推定深部体温32-28℃

✅ StageⅢ(重度):意識消失、ただしバイタルサイン(脈・呼吸)あり、推定深部体温28-24℃

✅ StageⅣ(深部低体温):バイタルサイン消失、推定深部体温24℃未満

 

そして、意識のない低体温患者では、バイタルサインの確認に最大1分かけてよいとされています。

10秒で「脈なし!」と決めないということですね。

 

連続CPRが不可能なら、間欠的CPRも許容される

これは知らないと絶対にできない対応です。

 

ERC Special Circumstances 2025:深部体温28℃未満の低体温性心停止患者において、即時かつ継続的なCPRが実行不可能な場合には、CPRの遅延または間欠的CPRを行う。

 

山岳救助や、危険な環境からの搬出など、「連続してCPRを続けることが物理的に無理な状況」を想定した推奨です。

 

通常の心停止であれば「胸骨圧迫の中断を最小限に」が絶対原則ですが、深部低体温ではその原則が緩められています。

 

また、搬送が長時間に及ぶ場合や地形の問題がある場合には、機械的CPRデバイスの使用を考慮するともされています。

 

除細動と薬剤は「体温を見て待つ」

低体温性心停止では、除細動も薬剤も、体温によって「待つ」判断が入ります。

 

今回はERCのガイドラインの内容を紹介しますが、

AHAとはちょっと異なるところがあります👇

appleqq.hatenablog.com

 

 

【除細動】

✅ 3回のショック後もVFが持続する場合、深部体温が30℃を超えるまで、それ以上の除細動の試みを遅らせる

 

【アドレナリン】

✅ 30℃未満ではアドレナリンが蓄積し、有益な効果よりも有害な効果をもたらす可能性がある

✅ ECPRの即時導入を予定している場合を除き、深部体温が30℃に達してからアドレナリン1mg(1:10,000)を静注する

✅ 深部体温が30-35℃の場合は、アドレナリンの投与間隔を6-10分に延長する

 

【アミオダロン】

✅ ショック適応リズムがあれば、アミオダロン300mgのローディングは行う

✅ ただし、それ以降の投与は深部体温が30℃を超えるまで遅らせる

 

アドレナリンは「30℃まで投与しない」、アミオダロンは「初回は入れて、2回目以降を待つ」。

 

 

【搬送先】

心停止に至っていなくても、切迫した心停止のリスク因子がある患者は、ECPRセンターへ直接搬送するとされています。

✅ 心拍数45回/分未満

✅ 収縮期血圧90mmHg未満

✅ 心室性不整脈

✅ 深部体温30℃未満

 

復温はVA-ECMOで行い、妥当な時間内(例:6時間以内)にECPRセンターに到達できない場合には、体外循環を用いない復温を開始するとされています。

 

ETCO₂やK値だけで見切りをつけない

低体温性心停止で最も怖いのは、助かる患者を早々に見切ってしまうことです。

 

【ETCO₂】

通常の心停止では低いETCO₂は不良な転帰と関連しますが、低体温では代謝が著しく低下しているため、同じ解釈はできません。

 

ERC Special Circumstances 2025では、心停止に至る前の段階について

「ETCO₂<10mmHg(1.3kPa)または収縮期血圧≦60mmHgの患者では、primary ECLSを考慮してもよい」と、むしろ低いETCO₂をECLS導入の後押しとして扱っています。

また「目撃のない心停止で初期波形がasystoleであることは、ECLS復温の禁忌ではない」とも明記されています。

 

ELSO 2025のガイドラインも、目撃のない低体温性心停止、asystole、長いno-flow/low-flow時間、70歳以上、低いETCO₂は、いずれも低体温性心停止におけるECLSの禁忌ではないとしています。

そして、常温の心停止患者向けに確立されたECLSの基準を、低体温患者に用いるべきではないとも述べています。

 

【血清K値】

かつては「K>12mmol/Lなら復温の適応なし」という単一のカットオフが使われていました(雪崩の被害者では8mmol/L)。

 

しかし現在は違います。

ERC Special Circumstances 2025:復温成功に関する院内での予後予測は、HOPE(Hypothermia Outcome Prediction after Extracorporeal Life Support)スコアに基づいて行う。

https://www.hypothermiascore.org/

 

HOPEスコアは性別・年齢・低体温の機序(窒息関連かどうか)・CPRの持続時間・入院時の血清K値・入院時の深部体温の6項目から、ECLS復温を行った場合の生存確率を算出するツールです。

K値はあくまで6つの変数のうちのひとつということですね。

 

AHAガイドライン2025でも、低体温性心停止におけるECLS復温の開始判断の指針として、予後予測スコア(HOPE probability score、ICE survival score)を用いることが妥当という新規推奨が加わっています。

 

「K値が高いからもうダメだ」で止めない。

スコアを計算して、専門家と相談するのが標準的です。

 

🚨 ここがPitfall!

意識のない低体温患者では、バイタル確認に最大1分かけてよい。10秒で決めない。

深部体温28℃未満で連続CPRが不可能なら、CPRの遅延・間欠的CPRが許容される。

3回のショック後もVFなら、30℃を超えるまで次の除細動を待つ。

 ・アドレナリンは30℃到達まで投与しない(ECPR即時導入予定時を除く)。30-35℃では投与間隔を6-10分に延長。

 ・アミオダロンは300mgのローディングは行い、以降の投与を30℃超まで待つ。

ETCO₂低値も、目撃なし・asystoleも、K値単独も、ECLS復温の除外理由にはならない。予後予測はHOPEスコアで。

 

参考文献

・Soar J, et al. European Resuscitation Council Guidelines 2025 Adult Advanced Life Support. Resuscitation. 2025;215(Suppl 1):110769. https://doi.org/10.1016/j.resuscitation.2025.110769

・Lott C, et al. European Resuscitation Council Guidelines 2025 Special Circumstances in Resuscitation. Resuscitation. 2025;215(Suppl 1):110753. https://doi.org/10.1016/j.resuscitation.2025.110753

・Resuscitation Council UK. Adult advanced life support Guidelines. Published 27 October 2025.

・Resuscitation Council UK. Special circumstances Guidelines. Published 27 October 2025.

・American Heart Association. Part 9: Adult Advanced Life Support. 2025 AHA Guidelines for CPR and ECC. https://cpr.heart.org/en/resuscitation-science/cpr-and-ecc-guidelines/adult-advanced-life-support

・American Heart Association. Part 10: Adult and Pediatric Special Circumstances of Resuscitation. 2025 AHA Guidelines for CPR and ECC. https://cpr.heart.org/en/resuscitation-science/cpr-and-ecc-guidelines/adult-and-pediatric-special-circumstances-of-resuscitation

・Drennan IR, et al. Advanced Life Support: 2025 ILCOR Consensus on Science With Treatment Recommendations. Resuscitation. 2025.

・Cheskes S, et al. Defibrillation Strategies for Refractory Ventricular Fibrillation (DOSE VF). N Engl J Med. 2022;387(21):1947–56.

・Vallentin MF, et al. Effect of Intravenous or Intraosseous Calcium vs Saline on Return of Spontaneous Circulation in Adults With Out-of-Hospital Cardiac Arrest. JAMA. 2021;326(22):2268–76.

・Couper K, et al. Intraosseous and intravenous vascular access during adult cardiac arrest: a systematic review and meta-analysis. Resuscitation. 2025;207:110481.

・Pasquier M, et al. HOPE score(https://www.hypothermiascore.org

・ELSO 2025 Narrative Guideline on the Use of ECMO for Accidental Hypothermia. ASAIO J. 2025.

 

🩺 ER takeaway

ショックのカウントは通算。3連続ショックは「1回目」、非ショック適応リズムを挟んでもリセットしない。

「難治性VF」の多くは除細動失敗ではなく再発性VF。持続性VFと考える。

心尖部パッドは腋窩の下・中腋窩線上。DSEDより先に、通常の除細動を最適化する。

Fine VFも除細動する。ショック直後はリズムを確認せず、すぐ胸骨圧迫を再開する。

ショック適応リズムでのアドレナリンは、ERC=3回のショック後、AHA=初回の除細動が不成功の後。

血管路はIVが第一選択。IVが2回で確保できないときにIOを考慮する。

Ca・メイロン・Mgのルーチン投与は推奨されない。

挿管は必須タスクではない。胸骨圧迫を中断するなら延期する。呼吸器設定は肺保護換気とは別物。

右室拡大単独でPEと診断しない。ETCO₂単独でROSC確認も蘇生中止も決めない。

輸液は低容量血症が原因のときだけ。Aラインがあるなら、SBP・DBP・ETCO₂で蘇生を調整する。

CPR中に覚醒したら、筋弛緩薬だけは投与しない。少量の鎮静・鎮痛を考慮する。

低体温性心停止は別ルール。間欠的CPRも可、除細動と薬剤は体温で待つ、K値単独やETCO₂低値で見切らない。

 


関連記事を探す

救急外来で似た場面に迷ったときは、症候・領域・pitfall・ガイドライン・文献レビューから関連記事を探せます。

▶ りんごの街の救急医|ER診療ポータルを見る