
救急外来でくも膜下出血(SAH)を見逃してしまった、というニュースを時折目にします。
頭痛で受診した患者が帰宅後に重症化した、初診時には診断がつかなかった、、、
そういった報道に触れるたび、明日は我が身だと身が引き締まります。
これは決して「他人事」でも「特定の誰かが特別に不注意だった」という話でもありません。
SAHの見逃しは、知識も経験もある医師であっても起こりえます。
実際、初診時に約7%が見逃されているという報告があります。
見逃しが発生する最大の原因は、「SAHを疑わずCT検査を行わなかった」ケースで、誤診の73%を占めています。
日本の全国調査でも、頭痛で受診したSAH見逃し例の55%ではCTが行われていなかったと報告されています。
SAHが見逃されるのはSAHを疑えなかったから(failure to consider)という理由がトップです!
なのでER診療において頭痛を見たらまずはSAHを疑ってかかることにしましょう。
「いやいや、頭痛といったらSAHを疑えとか言われてるし、そんな見逃すことなんてないんじゃない…?」と思うかもしれません。
でも、敵もさるもの、典型的な症状で受診してくれるとは限りません。
典型的な症状だけに頼りすぎてしまうことがSAHを疑えない一因です。
そして、大事なのは、「なぜSAHは見逃されるのか」「診断にはどんなpitfallと限界があるのか」を知っておくことです。
その見逃しパターンと検査の限界をあらかじめ知っておけば、自分が同じイタイPitfallにハマる確率を少しでも下げられるはずです。
今回は、SAHを見逃すときのパターンを場合分けして詳しく見ていきましょう!
- 見逃しパターン① 鎮痛薬が効いたからもう大丈夫!?
- 見逃しパターン② なんとなく元気そう!? 神経症状もないしねぇ。
- 見逃しパターン③ おっしゃ、心筋梗塞だ!カテ室へGO!
- 見逃しパターン④ またOttawa SAH Ruleに当てはまった…今回はまぁ検査しなくてもいいかなぁ…
- 見逃しパターン⑤ 単純CTで見逃しやすい所見を知らない
- 見逃しパターン⑥ 単純CTという検査の限界を知らない
- おまけ:ちょっと仲間はずれなSAH
- 参考文献
- ER takeaway
見逃しパターン① 鎮痛薬が効いたからもう大丈夫!?
SAHを診断するにはCT検査が必須です。
しかし、そもそもSAHの疑いがなければ、検査に進むことすらありません。
「ERで頭痛患者に鎮痛薬を投与したら痛みが取れた。だからSAHじゃないだろう」と勝手に判断していませんか?
実は、鎮痛薬が効いたからといって二次性頭痛を除外できるわけではありません。
頭痛は、髄膜や血管が刺激され、substance Pやcalcitonin gene-related peptideなどの神経原性炎症を引き起こすペプチドが放出されることで感じます。
これは一次性頭痛でも二次性頭痛でも同じ機序です。
よって、頭痛に対する鎮痛薬の反応は診断そのものを教えてくれるわけではありません。
トリプタンは片頭痛でよく使われる薬剤ですが、主に5-HT1B/1D受容体を介して三叉神経血管系に働きます。
メトクロプラミドは、主としてD2受容体拮抗作用を持つ制吐薬であり、悪心を抑えつつ、頭痛症状の改善に働きます。
作用点は違っても、どちらも症状を一時的に軽くすることがあります。
だからこそ、「鎮痛薬が効いた=一次性頭痛」とは言えません。
SAHを含む二次性頭痛でも症状だけ見ればいったん落ち着いてしまうことがよくあります。
実際、トリプタンやNSAIDsが二次性頭痛に使われ、一次性頭痛と同じように鎮痛効果が得られてしまったという報告は多数あります。
ACEPも鎮痛薬の効果だけで頭痛の原因を判断しないことを推奨しています。
見逃しパターン② なんとなく元気そう!? 神経症状もないしねぇ。
SAHは重篤な病態ですが、ER到着時には意外と落ち着いていて、なんなら一見元気そうに見えることもあります。
実際、約半数では神経学的診察に異常がなく、必ずしもいかにも重症な疾患に見えるわけではありません。
普通にwalk-inで受診する患者にもそれなりの頻度で遭遇します。
だからこそ、到着時のgeneral appearanceやバイタルサイン・身体所見にそれほどの異常がなく安定していることに安心して、SAHを過小評価してしまうというpitfallにハマりやすいです。
ここで大事なのは、「今この瞬間に元気そうか」より、「発症時にどんなイベントが起きたか」を優先して考えることです。
突然発症の強い頭痛、すぐにピークに達した頭痛・頸部痛、嘔吐、労作時発症などがあれば、見た目が落ち着いていてもSAHの可能性を下げすぎないようにすべきです。
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🚨 ここがPitfall! ・SAHを見逃す最大の理由は、「SAHを疑うことができなかった(failure to consider)」こと。 ・SAHでも鎮痛薬を投与すれば効果が出てしまう。 ・鎮痛薬への反応性で二次性頭痛の可能性を除外してはならない。 ・SAHであっても、その半数には神経学的異常がない! ・突然発症の強い頭痛、すぐにピークに達した頭痛・頸部痛、嘔吐、労作時発症などの病歴があればSAHの可能性を下げないで検査に進む。 |
見逃しパターン③ おっしゃ、心筋梗塞だ!カテ室へGO!
頭蓋内疾患、なかでもSAHでは、心電図異常や心筋障害が同時に引き起こされることが珍しくありません。
QT延長、陰性T波、ST低下、ST上昇、徐脈や頻脈、各種不整脈などの所見がかなり多彩に現れます。
交感神経の過剰刺激やカテコールアミン急増によるneurogenic cardiac injuryが原因と考えられており、たこつぼ症候群を含む一過性の壁運動異常を伴うこともあります。
トロポニンも一定割合で上昇しうるため、失神や心停止後に心電図と採血だけを見ると、「これはACSなんじゃないか?」と考えたくなる場面もあります。
ただし、ここでのpitfallは心電図異常やトロポニン上昇を見た瞬間に、頭蓋内疾患を鑑別から完全に落としてしまうことにあります。
特に失神の患者でST変化があると、心筋梗塞に意識が一気に向きやすくなります。
しかし、ST上昇がある=ただちに冠動脈閉塞があるとは限りません。
SAHに伴う神経原性心筋障害やたこつぼ症候群が紛らわしい所見をつくることがあります。
別のSTEMI mimicsについてはコチラ👇
だからこそ重要なのは、ECGだけに飛びついて決め打ちしないことです。
病歴が大事とはよく言われますね、ここでも超重要です!
失神なら直前に突然発症の頭痛がなかったか、嘔気や頸部違和感などがなかったかを聴取しなおしましょう。
失神のときには前駆症状の有無が非常に重要なカギになります。
SAHが少しでも鑑別に挙がるなら、抗血栓治療や侵襲的介入に進む前に頭蓋内病変(特にSAH!)の可能性を並行して評価する姿勢を忘れないようにしてください。
なお、失神に対するルーチンの頭部CTは推奨しているわけではありません。
神経学的異常もなく、頭部外傷もなく、SAHを示唆する病歴もない場合には不要であることが多いです。
突然の強い頭痛が先行した、神経症状を伴うような場合には話は別です。
SAHの40%では一過性意識消失を伴うことが知られています。
繰り返しになりますが、前駆症状をしっかり聴取して、先行する頭痛や頸部痛などがなかったかを突き止めることが見逃しを減らします。
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🚨 ここがPitfall! ・SAHにより心電図異常を呈することはしばしばある。 ・心電図異常だけにとびつかず、ここでも病歴(発症時にどんな症状があったか)を大事にすること。 ・失神に対するルーチンの頭部CTは不要だが、SAHを示唆する病歴の先行があればCTを行うことは妥当。 |
見逃しパターン④ またOttawa SAH Ruleに当てはまった…今回はまぁ検査しなくてもいいかなぁ…
Ottawa SAH Rule(表)は、検査を要する患者を拾い上げるためのclinical decision rule(CDR)です。
特異度は高くありませんが、非常に高感度であり、主要な研究では100%に近い感度が報告されています。
| Ottawa SAH rule |
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40歳以上 頸部痛または項部硬直 目撃のある意識消失 労作時発症 Thunderclap headache 頸部屈曲制限 |
表 Ottawa SAH rule
このCDRは検査をどんどん減らすためのツールというより、SAHを過小評価しすぎずに診療を標準化するためのツールだと考えています。
そのため、「またこのCDRに当てはまったけど、今回はCTしなくても大丈夫かな…」とCDRが陽性なのに都合よく見送る使い方はしてはいけません。
こういう緩んでしまうシーンにこそ見逃しが生じます。
さらに重要なのは、Ottawa SAH Ruleは頭痛があれば誰にでも使えるCDRではないことです。
対象と除外基準を知っておかなければ誤用につながります。
対象
・意識清明な15歳以上の患者
・新規の重症非外傷性頭痛が1時間以内にピークに達する
・新規発症の神経学的異常がない
除外基準
・慢性頭痛(過去6か月に同じ性質や強度の頭痛を3回以上くりかえす)
・脳動脈瘤やSAHの既往
・脳腫瘍や水頭症の既往
こうした対象を外れた患者にOttawa SAH Ruleを当てはめても、
その陰性・陽性には本来の研究で示された性能をそのまま当てはめることができないことに注意が必要です。
つまり、誤用をすると陰性でも安全に除外できる保証はなく、逆に陽性になれば不要な検査を増やす可能性があります。
Ottawa SAH Ruleの適用条件を外れる患者ではこのCDRに頼るのではなく、通常どおり病歴、神経所見、頭部CTや必要に応じた追加検査で評価するべきです。
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🚨 ここがPitfall! ・Ottawa SAH RuleはSAH診断に関して非常に高感度であり、SAHを過小評価しすぎずに診療を標準化できるツールである。 ・これが陽性の場合には、慢心せず頭部CTに進むのがよい。 ・Ottawa SAH Rule(に限らずあらゆるCDR)では対象と除外基準を理解して使用しないと、安全に除外することができなかったり、不要な検査を増やしたりという好ましくない影響が起きえる。 |
見逃しパターン⑤ 単純CTで見逃しやすい所見を知らない
SAHを疑ってCTまでたどりついたとしても、CTそのものの読み方と限界を理解していないと見逃しは起こります。
単純CTで見逃しやすい所見は決まっていますので、これらをしっかり認識して注意深くチェックしましょう。
「脳実質以外のスキマ」に注目していない
単純CTを読影するときに意識したいのは、シルビウス裂・前大脳縦裂・脳底槽などの普段は黒く見えるCSF腔の左右差や不明瞭化がないかどうかです。
こういった脳実質以外のスキマにも目を向けてください。
これらの部位にわずかな高吸収や左右差があればSAHを疑います。
派手な出血だけを探していると、少量の出血を見逃すことになります。

A:SAHの画像所見。両側のシルビウス裂が明瞭に描出されていないという異常がある。シルビウス裂には主として等吸収域のくも膜下出血を認め、左側はわずかに高吸収域となっている。また、第三脳室の拡大を認める。
B:過去の頭部CT画像。
(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27756236/)
側脳室下角を見ていない
もう1つ見逃しやすいのが、急性閉塞性水頭症の間接所見です。
特に側脳室下角の拡大は早期から目につくことがあり、SAHに伴う水頭症を引っ掛けるヒントになります。
これは人が笑っているように見え、"niko-niko sign"として知られています。
こうしたSAHの「裏の顔」を知っておくことが大事です。

1時間前から頭痛を認める37歳女性。頭部CTでは、第3脳室・第4脳室および側脳室下角の拡大を伴う交通性水頭症を認めた。
(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11823775/)

57歳男性。脳血管障害が疑われたため施行した頭部CTで、側脳室のびまん性拡大、特に側脳室下角の拡大を認めた。
(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1630611/)
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💡 即戦力Tips! 見逃しやすいSAHの単純CT所見の見方 ・脳実質以外のスキマに左右差がないか、不明瞭な部位がないかをくまなく検索する。 ・急性水頭症の所見を見逃すな! ・特に側脳室下角の拡大は検出しやすく、niko-niko signとして知られる。 |
見逃しパターン⑥ 単純CTという検査の限界を知らない
単純CTには時間依存の検査限界があります。
発症から6時間以内の単純CTは感度がほぼ100%に近く、非常に高感度であることが知られています(ただし、高品質のCTで撮影され、適切に読影され、新規神経学的異常のない患者という条件付きではあります)。
しかし、発症から6時間を超えると感度は低下し、CT単独での除外は不十分になる可能性があります。
ある研究では、6時間を境にして感度が100%→89%に低下すると報告されています。
こういった時間依存の検査限界に加え、
少量の出血・高度貧血・体動や骨近傍のアーチファクトなどは偽陰性の原因になりえます。
SAHを強く疑ってCTを実施したけど、、、
・発症から6時間以上経過している
・偽陰性の要因が想定される
といった場合には、次の一手をあらかじめ決めておくことが重要です。
2019年のACEP臨床指針では、単純CT実施後もSAHの可能性が残る場合には、SAH除外のために腰椎穿刺またはCTAを選択することを許容しており、それぞれの長所と短所を患者と共有して意思決定するよう推奨されています。
一方で、2023年のAHA/ASAガイドラインでは、腰椎穿刺を行うことを勧めています。
CTAには血管病変を同時に評価できる利点がありますが、SAHそのものを直接検出するための検査ではありません。
偶発的な未破裂動脈瘤を拾ってしまうことや3mm未満の破裂動脈瘤では感度が60%程度にまで下がることなどが、CTAよりも腰椎穿刺を推奨する根拠になっています。
ただし、腰椎穿刺にも侵襲性やtrauma tapの問題があります。
どちらがよいというよりは、施設の専門科との連携を行い、CTで所見が陰性だったときの検査アクションについて事前に共有しておくのがよいでしょう。
個人的には、腰椎穿刺の刺激による再破裂リスクへの懸念や、SAHと鑑別を要するRCVSやCeADなどの疾患も同時に検索できるという利点からCTAやMRI/MRAを優先させることがあります。
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🚨 ここがPitfall! ・単純CTでは、発症から6時間を超えると感度が急激に低下し、SAHの除外が不十分になる可能性がある。 ・偽陰性になりやすい状態を知っておく:少量の出血、高度貧血、体動や骨近傍のアーチファクト。 ・単純CTで陰性だがSAHの可能性が高いと考えている場合には、腰椎穿刺またはCTAやMRI/MRAに進む。 |
おまけ:ちょっと仲間はずれなSAH
sentinel headacheにご用心
sentinel headacheは、本格的なSAH発症の前にみられる突然の強い頭痛を指します。
文献では10〜40%程度にみられるとされています。
Sentinel bleedingと呼称されていたこともありますが、その機序は必ずしも少量の出血と断定できるわけではなく、血管壁の伸展や解離なども想定されており、現在ではsentinel headacheと呼ばれるようになっています。
やっかいなことに、単純CTでは陰性のことがあるうえ、神経学的診察も正常であることが少なくありません。
したがって、「SAHを疑ってCTを撮ったけど陰性だった」という場合には、sentinel headacheの可能性を考えて、病歴の違和感を改めて拾い直す努力が必要です。
いつもと違う突然発症の頭痛、嘔吐、一過性意識消失、眼症状がなかったかなどを丁寧に確認します。
特に内頸動脈-後交通動脈分岐部の動脈瘤では、動眼神経麻痺がヒントになることがあります。
瞳孔散大、眼瞼下垂、眼球の外下方偏位があれば強く疑います。
ただし、これらの所見がなくとも否定はできないことに注意が必要です。
そして、ここが大事なところですが、
sentinel headache(SAH)を強く疑う所見がある場合には、6時間以内の単純CTが陰性であってもそれだけで安心してはいけません。
Thunderclap headache、説明のつかない一過性意識消失、嘔吐、動眼神経麻痺(複視)などが強く疑われるシチュエーションです。
2023年のAHA/ASAガイドラインが高感度とする「発症6時間以内の単純CTでの除外」は、新規発症の神経学的異常のない典型例を前提にしています。
こうした「6時間以内ルール」にきれいに乗らない症例では、単純CTが陰性だったことで検査を打ち止めにせず、腰椎穿刺やCTAを含めた追加評価を行うのが無難です。
なお、これは蛇足になるかもしれませんが、単純CTでも目を凝らして見てみるとぷくっと膨れた大きな動脈瘤を検出できることがあります。
特に動脈瘤の好発部位である前交通動脈、内頸動脈-後交通動脈分岐部、中大脳動脈分岐部、脳底動脈先端部あたりを意識して見ておくと、たま~に怪しい所見に出会えるかも?
cSAH(Convexity subarachnoid haemorrhage)って知ってる?
「頭部CTでくも膜下出血です!」
脳神経外科をコール!したくなりますが、ちょっと待ってください。
出血が脳底槽ではなく、脳溝の凸面だけに限局している場合には動脈瘤によるものではないかもしれません。
脳底槽のSAHは約85%が動脈瘤破裂といわれます。
一方、convexity SAH(cSAH)は脳溝の凸面に限局する別物で、脳底槽や脳室には及びません。
少量の血液は見落としやすいので、冠状断でしっかり探しましょう。
たとえば、以下のような見え方をします。


(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20093311/)
※それぞれCAA(cerebral amyloid angiopathy)と感染性心内膜炎
cSAHを疑ったら、ERにおける主な鑑別は5つです。
素人なので、原因は年齢でざっくり振り分けるのを入り口としています。
<60歳未満>
・RCVS:雷鳴頭痛。造影で数珠状のbeading
・PRES:後頭・頭頂優位の浮腫。高血圧や子癇、腎不全が誘因
・CVT:亜急性に悪化する頭痛+焦点症状。venogramで除外。
<60歳超>
・CAA:頭痛は乏しく、数分続くしびれの反復(amyloid spell)。中心溝周辺の淡いsulcal高吸収を意識して探す
※とくに高齢者のCAAはTIAそっくりのプレゼンテーションで現れることがあります。
<年齢を問わず>
・IE:拍動性でない漠然とした頭痛+発熱・倦怠感など。まれだが見落とすと致命的
cSAHを見たらCTAを動脈相+静脈相で撮るのが基本です。
CVTのリスクがある場合にはCTVやMRVを追加します。
RCVS・CVT・高度狭窄や血管奇形まで一気に拾えます。
原因検索をしておかないと、治療が定まりません。
というか、cSAHはその原因によって治療が正反対になりえますので要注意です。
・CAA→抗血栓薬は避ける
・CVT→むしろ抗凝固
・IE→抗菌薬
cSAHを見たら、CTAまで行って、原因を見極めてから動きましょう。
| 臨床パターン | 最優先で考える病因 | 重要な追加評価 |
|---|---|---|
|
若年 雷鳴頭痛 血管作動性薬物 産褥期 |
RCVS |
CTA/MRA 必要時には画像再検 誘因確認 |
|
頭痛持続 痙攣 乳頭浮腫 妊娠・産褥期 悪性腫瘍 |
CVT |
CTV/MRV 凝固・血栓リスク評価 |
|
高齢 反復する移動性のしびれ ぴくつき 失語 |
CAA |
SWI/T2* 抗血栓薬の再評価 |
|
高血圧 腎不全 子癇 視覚症状 痙攣 意識障害 |
PRES |
MRI FLAIR 誘因是正 |
|
発熱 菌血症 心雑音 塞栓所見 |
感染性心内膜炎 感染性動脈瘤 |
血液培養 心エコー CTA/DSA検討 |
中脳周囲非動脈瘤性くも膜下出血(PNSAH)なんてパターンもある
くも膜下出血(SAH)を見たら、まず動脈瘤を探しにいきますよね。
でも、動脈瘤が見つからないSAHが一定数存在します。
自然発症SAHの最大15%で動脈瘤が同定できないとされ、その代表格が中脳周囲非動脈瘤性くも膜下出血(PNSAH)です。
中脳周囲槽を中心としたSAHで、血管造影が陰性のものを指します。
1985年にvan Gijnらが「良性の非動脈瘤性SAH」として記載しました。

A:橋前槽に限局した典型的PNSAH
B:四丘体槽への進展
C:シルビウス裂基部への少量進展
D:大脳縦裂後方部への少量進展
E:少量の脳室内沈降血を伴う例
F:びまん性SAH。こちらは、典型的PNSAHには該当しない出血パターン
(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36119687/)
予後はすこぶる良好で、長期フォローでも死亡や再出血はまれとされています。
なんか知っていると、
「あ、PNSAHね、よかったよかった」で済ませたくなる病態です。
でも、ここに落とし穴がいくつもあります。
Pitfall①「中脳周囲パターンだから動脈瘤じゃない」と即断する
これがいちばん危ないところです。
後方循環の破裂動脈瘤の7〜17%が中脳周囲パターンを呈すると報告されています。
逆に言えば、中脳周囲に出血があっても5〜7%で実際には動脈瘤が見つかるということになります。
脳底動脈瘤が中脳周囲パターンで出血している症例は実在します。
つまり、PNSAHはあくまで動脈瘤を除外して初めてつく診断(除外診断)です。
出血パターンだけで「これはPNSAHでしょ」と決めつけてはいけません。
Pitfall②「CTAが陰性ならもう安心」
近年は高解像度CTAの性能が上がり、メタ解析(Kalraら2015、Gengら2019)では初回CTA陰性なら動脈瘤除外に十分とされ、厳格な基準下ではDSAの代替として許容される、という流れになってきています。
厳格な基準とは、、、
発症早期の非造影CTで典型的な中脳周囲型SAHパターン(中脳・橋の前方)を満たし、技術的に十分なCTAが専門的読影で陰性である場合のことを指します。
もし、この基準を満たせるのであれば、追加のDSAによる診断上の上乗せ利益は限定的とするメタ解析があります。
ただし、これはびまん性SAH、明らかな脳室内出血・脳内血腫、非典型的な出血分布、CTAの画質・読影に不確実性がある症例には当てはまりません。
DSAは依然として動脈瘤除外のゴールドスタンダードです。
CTAの解像度や読影、出血パターンが本当に典型的かどうか、ここの判断が甘いと小さな動脈瘤を取りこぼしかねません。
CTAで安心しきらず、症例によってDSAを追加する閾値は持っておかねばなりません。
Pitfall③ 撮影のタイミングを逃す
CT/MRIは可能な限り早期に撮りましょう。
72時間を超えるとSAHが再分布して出血パターンが変化するとされています。
せっかくの典型的な中脳周囲パターンも、時間が経つと崩れてしまい、診断基準への当てはめが難しくなります。
Pitfall④ 診断基準の「許容範囲」を超えている
PNSAHの診断基準(Rinkelら1991/Wallaceら2016)では、ある程度の進展は許容されますが、明らかな脳室内出血や脳内血腫は許容されません。
少量の沈降血はOKでも、frankな脳室内出血があればPNSAHとは呼べません。
ここを曖昧にすると過剰診断につながります。
PNSAHは予後良好な「当たり」の病態ですが、その安心感こそが最大の敵になります。
「動脈瘤をちゃんと除外したか?」を常に自問しながら診断にたどり着きたいですね。
参考文献
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14. 側脳室下角の拡大に関する画像の出典。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1630611/
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16. van Gijn J, van Dongen KJ, Vermeulen M, Hijdra A. Perimesencephalic hemorrhage: a nonaneurysmal and benign form of subarachnoid hemorrhage. Neurology. 1985 Apr;35(4):493–7.
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20. Geng B, Wu X, Brackett A, Malhotra A. Meta-analysis of recent literature on utility of follow-up imaging in isolated perimesencephalic hemorrhage. Clin Neurol Neurosurg. 2019 Apr;179:7–12.
ER takeaway
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⏱ もう一度おさらい(ER takeaway) ① 誰をCTに進めるか ② CTで何を見るか ③ 陰性後にどう考えるか |