今週の目玉は、AHAから出た虚血性脳卒中ガイドライン2026です!
あとは輸血に関して思うところがあり、少々読んでみました。
制限輸血戦略が主流の現代では輸血が制限されがちだけど生理学的指標も評価しながら考えたり、輸血 > 晶質液は血管内皮のグリコカリックスをはじめとした構造物への保護的な要素を持ち生理学的にもメリットがあるぞということなど、普段の診療を見返すきっかけとなりました。
血液
輸血
制限輸血戦略が主流だが、Hb値だけではなく、生理学的指標(ScvO2, O2ER, PbtO2, ECG, Tropなど)や原疾患(脳、心臓)に応じて輸血が必要か考え、必要に応じて少量ずつ輸血して反応性を評価せよという主旨の総説。

Background(背景:なぜ“個別化”が必要か)
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多数のRCTで、一般にrestrictive(Hb 7–8 g/dL)はliberal(Hb 9–10 g/dL)に対して死亡・罹患の非劣性が示され、輸血回数も減るためガイドラインは原則restrictiveを推奨してきた。
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しかしガイドライン自体が、非出血ICU患者の輸血判断にHb以外の決定因子を統合する必要性(=貧血耐容能の考慮)を強調している。
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実臨床では、頻脈・低血圧・乳酸上昇などの生理学的トリガーが一定割合で参照されている一方、ScvO2やECG変化は実際にはあまり使われていないという観察研究があり、現場実装とエビデンスのギャップがある。
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本総説の目的は、(1)酸素運搬と組織酸素化の要点整理、(2)Hb閾値単独の不適切さの説明、(3)生理学的トリガー候補と臨床エビデンスの提示である。
Oxygen transport / consumption とHb低下への適応
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酸素運搬は「酸素カスケード」として、肺胞からミトコンドリアへ圧勾配で移動し、血中では主としてHb結合型O2が心拍出量(CO)により末梢へ運ばれる。
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酸素供給(DO2)は CO・Hb・Hb酸素飽和度・微小循環機能などに依存し、VO2との比が悪化すると代償限界を超えて嫌気代謝・乳酸増加・臓器障害へ進む。
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貧血への代償として、交感神経亢進(頻脈・収縮力↑)、血管抵抗低下、粘稠度低下によるCO↑に加え、酸素抽出率(O2ER)が上昇し、静脈血酸素飽和度(SvO2/ScvO2)は低下し得る。
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ScvO2は上大静脈由来で上半身の抽出を反映し、SvO2よりやや高めになり得る。ショックでは内臓(脾・腸管)低灌流を過小評価し得る点も重要な限界である。
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CO2指標(Pv-aCO2など)は低灌流の手掛かりになり得るが、貧血性低酸素や細胞障害性低酸素では必ずしも上がらず、SvO2/ScvO2と組み合わせて解釈する。
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さらに、組織酸素化の最終段である微小循環が強調され、貧血時の毛細血管リクルートや流速上昇などの適応が、組織DO2維持に重要である。

Hbは酸素供給の主要因子ではあるが、COや酸素抽出(O2ER)が変化すれば、同じHbでも組織酸素化は変わり得る。したがって輸血判断は「Hbを上げる」だけでなく、静脈側指標(ScvO2/SvO2)やO2ERを含む“DO2–VO2バランス”で捉えるべき。
酸素供給(DO2) は概念的に CaO2 × CO として示される。
酸素消費(VO2) は (CaO2 − CvO2) × CO として表される。
酸素抽出率(O2ER) は VO2/DO2、同値変形として (CaO2 − CvO2) / CaO2、さらに近似として (SaO2 − SvO2) / SaO2 と表現される。
ScvO2(中心静脈血酸素飽和度)と SvO2(混合静脈血酸素飽和度)は静脈側の指標。

横軸が Oxygen Delivery(DO2)、縦軸が Oxygen Consumption(VO2) の関係で描かれ、途中に Critical level(臨界点)が置かれている。臨界点よりDO2が十分な領域では、VO2は需要側で決まり(delivery independent)、DO2が下がってもVO2は保たれる。DO2が臨界点を下回ると、VO2は供給制限を受け(delivery dependent)、組織低酸素に向かう。その過程で、理論的には SvO2低下(抽出増大の反映) や、さらに破綻すれば 乳酸上昇(嫌気代謝の反映) が起こり得る。
なぜHb単独で輸血判断すべきでないか(限界の整理)
本文では複数の理由が体系的に挙げられる。
- (a) 貧血耐容能はHbで読めない
ICUでは頻脈の原因が多因子で、貧血由来と断定しにくい。鎮静・人工呼吸で症状評価も困難で、ECGやトロポニンも系統的に測られず特異性も低い。結果として「どの患者が危ない貧血か」をHbのみで当てにくい。 - (b) ICU経過で病態は変わるのに、閾値は固定されがち
発熱・離床・離脱過程ではVO2が上がり、鎮静・低体温・人工呼吸ではVO2が下がる。つまり同じHbでもその時点の酸素需要が違い、固定閾値は過不足を生む。古典的試験のサブ解析所見も引用し、軽症側では不要輸血が害になり得るという問題意識が示される。 - (c) 輸血には明確な有害事象がある
溶血反応、TRALI、TACOなどに加え、感染や神経学的合併症などの関連も述べられ、「必要な場面に限定する」方向性が強調される。 - (d) Hbは“酸素予備能”やDO2/VO2を反映しない
健常者ではDO2/VO2に余裕があるが、加齢・冠動脈疾患などで余裕が減ると、VO2増加で臓器低酸素に陥りやすい。臓器ごと・患者ごとに“クリティカルDO2”が異なる。 - (e) 全身Hbと組織Hb(微小血管Ht)が乖離し得る
微小循環ではFahraeus効果やZweifach–Fung効果などで微小血管ヘマトクリットが低くなり得て、全身Hbを組織酸素化の代理とみなす限界がある。 - (f) 貧血の原因・回復可能性も判断に入るべき
例えば炎症性貧血で回復が遅いのか、鉄補充等で改善が見込めるのかで戦略は変わる。なお“出血”ではHbが初期に落ちにくいのでHbを安心材料にしてはならない(ただし本総説の主対象は非出血)。
この総括として、Hb<7 g/dLでも生理学的に安定なら延期し得る一方、Hb>7 g/dLでも組織低酸素が示唆されれば輸血が妥当になり得る、という方向性が検討されるべき。
生理学的トリガーの臨床エビデンス
ScvO2
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ScvO2はDO2とVO2のバランスの動的指標として位置づけられる。古典的EGDTではScvO2目標を含むバンドルで死亡率低下が報告されたが、輸血単独効果は切り分け不可で、後続多施設試験では死亡率差が出ず、介入群で輸血がやや増えた。
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観察研究では、ベースラインScvO2が低い群(例:<70%)に限って輸血後にScvO2が有意に上がるというパターンが繰り返し示されている。
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心臓手術後の安定患者で、Hb閾値のみ vs ScvO2を取り入れた戦略を比較したRCTが複数あり、輸血患者数を減らし得る一方、サンプルが小さく、対象が限定的で一般化に限界がある。
A–VO2diff(動静脈酸素較差)
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DO2/VO2比の代理として提案される。小規模研究では変化が小さい報告もある一方、メタ解析では輸血後の平均変化が有意という整理がなされる。
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さらに重要点として、観察研究でA–VO2diffが高い患者に輸血し、低い患者では輸血しないという適切戦略が90日死亡率低下と関連したという示唆が述べられ、トリガー候補として有望視される。
O2ER(酸素抽出率)
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O2ERはVO2/DO2の比で、貧血では40–50%程度まで上がり得る、輸血でバランスが是正されるならO2ER低下が起こる。
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観察研究・メタ解析では輸血後O2ER低下(改善)を支持する方向の結果が示されるが、反応は一様でない。特に、高O2ER(例:>30%)の患者で改善が出やすく、正常域では変わりにくいというパターンが示され、輸血回避の余地が論じられる。
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ただし、O2ERガイド輸血が臨床アウトカムを改善するかは大規模RCTが不足で、試験が進行中。
乳酸
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乳酸は低酸素のマーカーとして使われがちだが、敗血症・薬剤・肝機能など多数因子の影響を受け、貧血に特異的でない。
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メタ解析でも輸血後乳酸の一貫した改善は示されず、輸血トリガーとして支持されない。
トロポニン
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冠循環は元々抽出率が高く、貧血は虚血性イベントのリスクになり得るが、トロポニン単独上昇を輸血開始の根拠にするのは不十分。
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虚血を示すECG変化や症状(※ICUでは評価困難なことも多い)と合わせ、反復評価するのがよい。
組織灌流・微小循環
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微小循環障害は重症病態の臓器不全と関連し、全身循環(血圧、CO、SvO2)が正常化しても微小循環低灌流が残ることがある。
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RBC輸血の微小循環への効果は不均一で、ベースライン異常がある患者で改善し、正常な患者では無効または悪化し得るという“反応性の層別化”が重要な結論である。
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皮膚レーザードップラー等では、低値患者で改善しやすく、改善が臓器機能改善と関連した。
PbtO2(脳組織酸素分圧:主に脳損傷)
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急性脳損傷では貧血が多く、Hb単独では脳低酸素を評価できない可能性がある。PbtO2<20 mmHgがしばしば低酸素の閾値として扱われる。
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輸血によるPbtO2反応も不均一だが、ベースラインPbtO2が低いほど改善しやすいという予測因子が示され、脳神経モニタリングを統合した輸血戦略研究の必要性が述べられる。
Perspectives / Conclusions(今後の方向性と結論)
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ScvO2やO2ERなどのマクロ指標、微小循環指標を組み合わせて、どのサブグループが利益を得るかを明らかにする研究が必要である。
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輸血が組織灌流を改善したとしても、その機序が「酸素含量増加」なのか「容量負荷でCOが増えた」のかを区別するため、血行動態と組織灌流指標の統合が提案される。
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結論として、非出血・等容量性の貧血患者では、Hb閾値だけでなく、特に心筋虚血リスクを含む貧血耐容能を反映する複数指標を併用するマルチモーダル戦略が望ましいが、ルーチン実装を支持するにはエビデンスが不足しており、さらなる研究が必要である。

「Hbがある値を下回ったら機械的に輸血」ではなく、脳(PbtO2)、心筋虚血(ECG/トロポニン/AMI)、全身のDO2–VO2バランス(ScvO2、O2ER)を層別化の鍵として、必要そうな患者に絞って輸血を考える。さらに、輸血は1単位ずつ+反応(指標の改善)を見て次を決めること。
Plasma as a resuscitation fluid for volume-depleted shock: Potential benefits and risks
アルブミンを含めた輸血製剤はショックへの治療として最近は立場が弱いが、生理学的にはメリットもあるぞという総説。

Introduction
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ショックの定義
ショックとは、循環血液量が相対的・絶対的に不足し、酸素供給が需要に追いつかない状態であると定義される。 -
共通病態:内皮障害
外傷後ショック、敗血症性ショック、大手術後ショックなど、起因は様々だが、炎症反応による血管内皮活性化 → バリア機能低下 → 透過性亢進 → 組織浮腫・低酸素・臓器不全という流れは共通である。 -
現在の標準的治療と問題点
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低タンパク輸液 vs タンパク豊富な血漿
低タンパクの晶質液はグリコカリックスの脱落を促進する一方、血漿のようなタンパク豊富な液体はグリコカリックス・内皮バリア保護作用を示す実験データがある。 -
血漿の位置づけ再考
血漿はプロ凝固因子と抗凝固因子を同時に含むため、純粋な凝固促進剤ではなく、「凝固バランス調整+内皮保護」に働く可能性がある。
著者らは、特にグリコカリックス保護・炎症抑制・内皮漏出抑制の観点から、ショックの蘇生液としての血漿はまだ可能性がある。
Plasma と Endothelial Glycocalyx
グリコカリックスとは
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血管内皮の腔側に存在する糖鎖に富むゼラチン状の層で、プロテオグリカン・グリコサミノグリカンなどから構成される。バリア機能、せん断応答、抗炎症などに重要である。
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ショックでは syndecan-1 や heparan sulfate などの構成分子が脱落し、循環中に増加することが知られている。これは透過性亢進と臓器障害と関連する。
Trauma(外傷)
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外傷患者では、血中 syndecan-1 高値が炎症・凝固異常・死亡率上昇と関連することが示されている。
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プレホスピタル血漿試験では、早期血漿群でグリコカリックス破壊マーカー、炎症性サイトカイン、VEGF が長期にわたり低値であり、これは血漿がグリコカリックス保護に寄与した可能性を示している。
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特に外傷性脳損傷(TBI)患者のサブグループでも生存率改善が示唆されており、単なる循環血漿量増加だけでなく、血液脳関門保護を含む内皮・上皮バリア保護が寄与している可能性がある。
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動物モデルでは、血漿蘇生は晶質液に比して
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酸素化の改善
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炎症・内皮障害・毛細血管漏出・組織浮腫の減少
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グリコカリックス厚の回復
が示されている。
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Sepsis(敗血症)
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敗血症ショックでもグリコカリックスは高度に破壊され、その程度が臓器不全・死亡率と関連する。
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観察研究では、晶質液輸液量が多いほど heparan sulfate などのグリコカリックス破壊マーカーが高値であった。これは「大容量晶質輸液=グリコカリックス破壊促進」の可能性を示唆する。
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一方、ラット敗血症モデルやICU患者での観察研究では、血漿投与により内皮障害マーカー・肺浮腫・死亡率が減少しており、グリコカリックス保護効果が支持される。
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重症敗血症・多臓器不全に対して最後の手段として行われる血漿交換療法でも、歴史対照や傾向スコアマッチング解析で死亡率低下が報告されている。
血漿中の候補成分と機序
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血漿中で最も豊富なタンパクであり、膠質浸透圧の維持と内皮透過性制御に重要な役割を担う。
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アルブミン欠乏はグリコカリックスの脱落を引き起こし、MMP による分解を介する可能性がある。
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動物モデルでは、5%アルブミン蘇生がグリコカリックス厚を回復し syndecan-1 shedding を減少させることが示されている。
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これらの効果にはSphingosine-1-phosphate(S1P)が関与すると考えられ、アルブミンや血漿アルブミンは赤血球・血小板からの S1P 放出を促す。
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S1P は S1P1 受容体を介し Rac1 を活性化し、タイトジャンクション・アドヘレンスジャンクション強化、MMP 抑制、酸化ストレス・サイトカイン分泌抑制を通じて内皮バリアを保護する
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臨床試験では、アルブミン投与は敗血症全体では明確な死亡率低下を示していないが、
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アルブミン低値群
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敗血症性ショック患者サブグループ
では臓器不全・予後改善の兆候もあり、メタ解析でも大規模試験を中心に一定のベネフィットが示唆されている。
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アディポネクチン
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脂肪組織由来のサイトカインで、血中濃度は比較的高く、抗炎症・血管保護作用を持つ。
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マウス敗血症モデルでは、アディポネクチン欠損が血管接着分子の発現亢進・炎症性サイトカイン増加・臓器障害悪化をもたらす。
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in vitro では TNF-α による内皮透過性亢進をアディポネクチンが抑制する。
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敗血症患者では、アディポネクチン低値と臓器障害・死亡率上昇が関連する一方、重症呼吸不全では高値が死亡率と関連する報告もあり、二相性・両刃の役割が示唆されている。
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外傷性出血ショックマウスでは、ショックで低下したアディポネクチンが血漿蘇生またはアディポネクチン単独投与で補正され、内皮透過性が改善した。アディポネクチンを除去した血漿ではこの保護効果が失われたため、アディポネクチンが血漿の内皮保護効果の一部を媒介していると考えられる。
アンチトロンビン(AT)
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肝臓由来の糖タンパクで、トロンビンを抑制する主な生理的抗凝固因子である。
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外傷性出血性ショック・敗血症ショックともに AT 活性は低下し、臓器障害と関連する。
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ラット出血性ショックモデルでは、血漿蘇生が肺の syndecan-1 発現を回復しグリコカリックス保護を示したが、AT 欠損血漿では回復せず、純化 AT を添加すると回復した。
→ AT はグリコカリックス保護の重要因子の一つと考えられる。 -
ただし、敗血症に対する AT 補充の大規模試験は全体として死亡率減少を示しておらず、一部の DIC 合併重症敗血症でのみベネフィットが報告されている。
ADAMTS13
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内皮活性化により分泌される von Willebrand Factor(VWF)は多量体化し、ULVWF(超大多量体)は強い血小板結合能を持つ。
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通常は ADAMTS13 が ULVWF を切断し、血栓形成を制御するが、ショックでは VWF 放出増加と ADAMTS13 低下が同時に起こり、ULVWF 優位 → 微小血栓形成 → 臓器障害へつながる。
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血漿は正常レベルの ADAMTS13 を含み、
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外傷モデルでも、ADAMTS13補充により内皮透過性と臓器障害が減少することが示されている。
内皮表面に対する「包括的」な血漿の利益
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循環血液量の約 1/3 は、内皮表面層(ESL)に近接する「固定血漿」として存在するとされ、グリコカリックスと表面タンパクとの相互作用で保たれている。
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著者らは、データはまだ乏しいものの、タンパクに乏しい晶質液はこのバランスを崩すのに対し、タンパク豊富な血漿は固定血漿と循環血漿の自然なバランスを維持しやすいと推論している。
血漿は以下の 3 つの経路で臓器保護に寄与し得る。
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内皮透過性の低下 → 有効循環血漿量の維持
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グリコカリックス・タイトジャンクション保護により、浸潤・浮腫を減らし、同じ投与量でも晶質液より血管内にとどまりやすい。
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希釈性凝固障害の防止と出血量減少
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出血性ショックでは、晶質液大量投与が希釈性凝固障害を増悪させる一方、血漿は凝固因子補充と抗凝固系バランス調整で過度の出血を抑制して循環血容量維持に寄与し得る。
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微小血栓の是正と微小循環改善
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ADAMTS13・AT 補充などを通じて、ULVWF 多量体やトロンビン過剰による微小血栓形成を抑制し、微小循環レベルでの血流維持・臓器酸素化を改善する可能性がある。
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これらが合わさり、心拍出量・酸素デリバリー増加、微小血栓減少、臓器灌流改善 → 臓器障害減少という流れにつながるというのが著者の仮説である。
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SDP(Solvent Detergent Plasma)
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比較研究のポイント
血漿使用の「roadblocks(障害)」とリスク
TRALI(Transfusion-related acute lung injury)
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血漿は古典的には TRALI と強く結びついていたが、
TACO(Transfusion-associated circulatory overload)
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TACO は静水圧性肺水腫であり、輸血による容量負荷そのものが原因で、特定製剤(血漿)に限った問題ではない。
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心不全・腎不全など容量耐性が低い患者でリスクが高い。
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ショック蘇生ではそもそも血管内容量の拡張が目的であり、TACOは速度調整・分割投与・利尿薬併用などでリスクを減らしつつ管理すべき問題と整理されている。
ドナー不足
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女性をプラズマドナーから除外していることもあり、そもそも血漿供給には限界がある。
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著者らは、
神経
脳梗塞

2. STROKE SYSTEMS OF CARE AND PREHOSPITAL MANAGEMENT
2.1 Stroke Awareness(Population Level)
推奨 2.1-1(COR 1, LOE B-R)
一般市民に対して、あらゆる年齢層を対象に「脳卒中症状の認識」と「症状出現時には救急要請(9-1-1/119番)するべきこと」を教える教育プログラムを、公衆衛生・地域リーダー・医療者が実施すべきである。これにより警告症状の知識ギャップを減らし、受診行動(stroke preparedness)を高めることが推奨される。
推奨 2.1-2(COR 1, LOE B-NR)
一般市民向けの教育プログラムは、年齢・人種/民族・性別・その他の社会的決定要因(教育歴・収入・居住地域など)の多様な集団に届くようにデザインし、あらゆる層で警告症状の知識差・受診行動の格差を減らすべきである。
推奨 2.1-3(COR 1, LOE B-NR)
一般市民向けの脳卒中認識教育は、単発で終わらせず「長期的に継続」して実施し、長期的な知識・備えを維持・改善することが推奨される。
推奨 2.1-4(COR 1, LOE B-NR)
一般市民に加え、EMS職員・医師(プライマリケア医を含む)・その他の医療従事者にも対象を絞った教育プログラムを行い、院外遅延を減らし、急性期治療(例:血栓溶解療法)の適応患者を最大化すべきである。
2.2 EMS Systems
推奨 2.2-1(COR 1, LOE B-NR)
政策決定者は、時間依存性治療へのアクセスを高めるために、地域のストロークケアシステムを構築すべきである。そのなかで
a) 初期救急(IVTを含む)を提供する施設、
b) EVTと包括的な周術期管理を行う中核施設
を明確にし、必要時には迅速な転送体制を整えることが推奨される。
推奨 2.2-2(COR 1, LOE B-NR)
EMSリーダーは、地域の専門家・行政機関・医療当局と協働し、疑い脳卒中患者を迅速に同定し、検証済みのスクリーニングツールで評価し、最適なストロークセンターへ優先搬送するためのプレホスピタル・トリアージプロトコルを策定すべきである。
推奨 2.2-3(COR 2a, LOE B-NR)
プレホスピタルケアに関する品質指標をモニタリングし、フィードバックすることは、症状発現から再灌流治療までの遅れを減らし、自宅退院の可能性を高めるのに有用となり得る。
2.3 Prehospital Assessment and Management
推奨 2.3-1(Dispatch)(COR 2a, LOE B-NR)
119/911通報者に対して、EMSディスパッチが電話による脳卒中評価ツールを用いることは、脳卒中の早期同定・現場滞在時間の短縮・搬送優先度決定に役立つと考えられ、実施が妥当である。
推奨 2.3-2(Ambulance Transport)(COR 1, LOE A)
疑い脳卒中で救急車搬送される患者では、救急隊が簡便な脳卒中評価ツール(例:CPSSなど)を使用することが推奨され、これにより早期の脳卒中同定、とくにLVOの検出が改善する。
推奨 2.3-3(Ambulance Transport)(COR 1, LOE B-NR)
疑い脳卒中患者を搬送する救急隊は、**受け入れ病院へ事前通知(prenotification)**を行うべきである。これにより院内評価時間の短縮、血栓溶解療法の使用増加、死亡率低下が得られる。
推奨 2.3-4(Ambulance Transport)(COR 3: No Benefit, LOE B-R)
疑い脳卒中患者に対し、救急車内で血圧計による上肢カフを用いた**remote ischemic conditioning(RIC)**を行っても機能予後は改善せず、有益性はなく推奨されない。
推奨 2.3-5(Ambulance Transport)(COR 3: Harm, LOE A)
疑い脳卒中患者に対するプレホスピタルでの経皮的ニトログリセリン(glyceryl trinitrate)投与は機能予後を改善せず、むしろ有害の可能性があるため推奨されない。
推奨 2.3-6(Ambulance Transport)(COR 3: No Benefit, LOE B-R)
救急車内での収縮期血圧を130〜140 mmHgに厳格管理する戦略は、機能予後を改善しないため推奨されない。
推奨 2.3-7(Pediatric)(COR 2b, LOE B-NR)
小児疑い脳卒中患者においては、成人用の脳卒中スクリーニングツールの有用性は不明であり、多くは診断能が十分でない。新しい小児用スクリーニングツールは良好な評価者間信頼性を示すが、プレホスピタルでの感度・特異度・予測値および有用性はまだ不明である。
2.4 EMS Destination Management
一般原則
推奨 2.4-1(COR 1, LOE B-NR)
疑い急性脳卒中患者では、EMSは最寄りの“適切な”施設(ASRH, PSC, TSC, CSC)への搬送を優先すべきであり、非ストローク対応病院よりも治療までの時間短縮が得られる。
TSCが近隣に存在する地域
推奨 2.4-2(COR 2a, LOE B-NR)
EMSがLVO疑いと判断した患者については、初期に非TSCへ搬送して二次転送を行う代わりに、直接TSCへ搬送することでEVT率の増加と治療時間短縮が得られ、有用となり得る。
TSCが近隣に存在しない/システムが十分に整っていない地域
推奨 2.4-3(COR 2b, LOE B-NR)
十分に整備されたSSOCや、血栓溶解と二次転送に熟達した病院が地域にない場合には、IVTの適応を喪失しない範囲で、LVO疑い患者を最も適切なTSCへ直接搬送することが妥当な場合がある。これは、まず地域の脳卒中センターへ搬送してから二次転送する戦略と比べ、EVT率の増加と治療時間短縮につながり得る。
SSOCが良好に整備されている地域
推奨 2.4-4(COR 3: No Benefit, LOE B-R)
血栓溶解に熟達し、二次転送も円滑なローカルの脳卒中センターが存在する“よく整備されたSSOC”の地域では、LVO疑い患者を遠方(45〜60分)のTSCへ直接搬送しても、近隣の脳卒中センターへ搬送する場合に比べて3カ月転帰の改善は示されておらず、利益はない。
二次救急/病院間転送
推奨 2.4-5(COR 1, LOE B-NR)
病院およびEMSは、より高度な治療を要する急性脳卒中患者の病院間転送を優先する協定・プロトコルを整備し、door-in–door-out(DIDO)時間を短縮するべきである。
2.5 Role of Mobile Stroke Units(MSU)
推奨 2.5-1(COR 1, LOE A)
疑いAIS患者では、利用可能な地域においては、通常のEMSよりMSUを用いることが推奨される。MSUは血栓溶解適応患者の搬送・管理において、最速のオンセット〜治療時間を実現し、機能予後を改善する。
推奨 2.5-2(COR 1, LOE A)
疑い急性脳卒中患者を扱うMSUは、IV血栓溶解療法を行える診断・治療体制を必ず備える必要がある。
推奨 2.5-3(COR 1, LOE B-R)
疑い急性脳卒中患者では、EMSディスパッチとの連携がとれたプロトコルと、現場または遠隔(テレメディシン)による神経専門医の関与を含むMSUケアは、安全性の懸念なく、早期評価と治療に有用である。
推奨 2.5-4(COR 2a, LOE B-NR)
EVT適応患者では、MSUを用いることで、適切なEVT実施施設の選定と、受け入れ側チームへのプレノーティフィケーションを行い、トリアージに寄与しうる。
2.6 Hospital Stroke Capabilities
推奨 2.6-1(COR 1, LOE B-NR)
AIS患者を診る病院は、外部の認証機関により、エビデンスに基づく全国的な基準を用いて「ストローク専門病院」として認証を受けるべきである。
2.7 Emergency Evaluation of Patients With Suspected Stroke
(Including ED and Stroke Teams)
推奨 2.7-1(COR 1, LOE B-NR)
小児を含むあらゆる年齢の急性神経学的症状患者は、早期認識と治療につながる、組織化された救急評価プロトコルの恩恵を受けるべきである。
推奨 2.7-2(COR 1, LOE C-EO)
小児で発症が急性かつ持続する局所神経症状(初発けいれんを含む)がある場合は、急性脳梗塞を強く疑うべきであり、そのことが診断遅延の防止に重要である。
推奨 2.7-3(COR 1, LOE B-NR)
疑い脳卒中患者については、臨床医・看護師・検査/放射線部門を含む急性ストロークチームを設け, 神経学的診察を含む綿密な臨床評価を行うことが推奨される。
推奨 2.7-4(COR 1, LOE A)
疑い脳卒中患者では、ストローク専門知識をもつ多職種チームを整備・教育することにより、IVT施行率を安全に高めるべきである。
推奨 2.7-5(COR 1, LOE A)
IVT適応患者およびEVT適応患者に対しては、ストロークチームにより可能な限り短いオンセット〜治療時間を達成し、最良の機能予後を得るべきである。
2.8 Telemedicine
Prehospital telemedicine
推奨 2.8-1(COR 1, LOE B-R)
プレホスピタルの疑い脳卒中患者において、救急車内のテレメディシン(リアルタイム映像等)を導入することは、救急隊による評価を補完し、再灌流治療候補患者の同定に資するため考慮すべきである。
Teleradiology
推奨 2.8-2(COR 1, LOE B-NR)
AIS患者が、院内に画像読影専門家のいないEDに来院した場合、teleradiologyシステムにより脳画像をタイムリーに読影し、血栓溶解禁忌の有無を確認し、IVTの意思決定を支援することが推奨される。
Telestroke for thrombolytic decision-making and administration
推奨 2.8-3(COR 1, LOE B-R)
急性期神経専門医が不在のEDでAIS患者を診る場合、telestrokeシステムは通常のEDチーム単独管理と比べ、IVTの適切な意思決定と投与(使用率増加・投与までの時間短縮)に有効である。
推奨 2.8-4(COR 2a, LOE B-NR)
局所のストローク専門医がいない病院でAIS患者を治療する場合、telestrokeの利用は短期死亡率の低下に寄与し得るため、合理的な選択である。
推奨 2.8-5(COR 2a, LOE C-LD)
院内のストローク専門医やtelestroke機能がない病院でAIS患者を診療する場合でも、電話でストローク専門医にコンサルトすることは、IVTの意思決定やEVT適応の検討に有用となり得る。
Telestroke in stroke systems of care
推奨 2.8-6(COR 1, LOE C-EO)
医療機関・行政・支払者・ベンダーなどは、AIS患者に24時間365日のストロークケアを提供できるよう、telemedicine/telestroke資源とシステムへの支援を行うべきである。
推奨 2.8-7(COR 2b, LOE B-NR)
telestroke機能を有する病院にAIS患者が来院した場合、telestrokeを用いて、患者が“緊急EVTのための病院間転送”と“ローカルでの治療継続”のどちらに適しているかをトリアージすることは、妥当な選択肢となり得る。
2.9 Organization and Integration of Components
推奨 2.9-1(COR 1, LOE C-EO)
病院は、ASRH・PSC・TSC・CSCとプレホスピタルEMSから成る統合されたネットワークとして構成され、急性脳卒中患者が適切かつ迅速に評価・診断・治療・必要時の病院間転送を受けられるよう設計された「説明責任のあるSSOC」に参加すべきである。
推奨 2.9-2(COR 1, LOE C-EO)
24時間365日EVTを提供していない病院(ASRH, PSCなど)は、EVT適応の可能性がある患者を迅速・安全・効率的に上位施設へ転送するための病院間転送プロトコル・手順を整備すべきである。
推奨 2.9-3(COR 1, LOE B-NR)
EVTを24/7提供しないが転送に依存するPSCは、頭蓋内血管イメージング(CTAまたはMRA)を迅速に実施・読影し、EVT適応となるLVOを同定できる体制を持つべきである。
推奨 2.9-4(COR 1, LOE B-NR)
急性脳卒中患者を診るすべての病院は、国内外の専門学会や行政・法令が示す最新エビデンスに基づいたガイドラインに沿う形で、ケアプロトコルを策定・導入すべきである。
推奨 2.9-5(COR 1, LOE B-R)
EVTを提供する病院(TSC, CSCなど)は、door-to-puncture timeや再開通の成功率など、血栓回収療法に関わる主要時間指標とプロセス、さらには長期転帰を包括的にトラッキングする仕組みを整備すべきである。
推奨 2.9-6(COR 1, LOE C-EO)
EVTを行う病院(TSC, CSC)は、神経血管内治療医(neurointerventionalists)について、確立されたトレーニング・認定基準に基づいて資格付与(credentialing)を行うべきである。
推奨 2.9-7(COR 2a, LOE B-NR)
ASRHで急性脳卒中患者を診療し、病院間転送に依存する施設では、LVO候補患者を同定する目的で、CTA/MRAによる頭蓋内血管イメージングを迅速に実施・解釈できる体制を“検討し得る”。
推奨 2.9-8(COR 2b, LOE B-NR)
地域の地理的・人的条件に応じて、EVTの迅速な提供を目的に「mobile intervention teams」(血管内治療チームがスポーク病院へ出向くモデル)をSSOCの一部として検討し得る。
2.10 Stroke Registries, Quality Improvement, and Risk Adjustment
推奨 2.10-1(COR 1, LOE B-R)
急性脳卒中患者を治療する病院は、複数要素からなる品質改善(QI)プロセスに参加すべきである。これは、品質指標・ベンチマーク・エビデンスに基づく診療の継続的なモニタリング・レビュー・フィードバックを含み、ケアの質向上・転帰改善・医療格差の縮小に寄与する。
推奨 2.10-2(COR 1, LOE B-NR)
急性脳卒中患者を治療する病院は、脳卒中データレジストリに参加し、品質指標・ガイドライン遵守を高め、患者アウトカムを改善するべきである。
推奨 2.10-3(COR 1, LOE B-NR)
急性脳卒中患者を治療する病院は、すべての急性脳卒中患者でベースラインの脳卒中重症度(例:NIHSS)を測定・記録すべきである。これにより、病院間パフォーマンスを比較するためのリスク調整モデルの精度・信頼性が確保される。
3.1 Stroke Scales
推奨 3.1-1(COR 1, LOE B-NR)
-
対象: 急性虚血性脳卒中(AIS)が疑われる患者
-
内容:
-
AIS疑い患者では、脳卒中重症度評価スケール(stroke severity rating scale)を用いることが推奨される。
-
特に NIHSS を用いることが望ましい。
-
NIHSS などのスケールで、ベースラインおよび再灌流療法後の臨床的欠損を計測するべきである。
-
3.2 Initial, Vascular, and Multimodal Imaging Approaches
3.2-A IVT(静注血栓溶解療法)評価関連
推奨 3.2-1(COR 1, LOE A)
-
対象: AISが疑われる患者
-
内容:
-
初期評価において、緊急の脳画像検査(NCCT もしくは MRI)を実施することが推奨される。
-
目的は、
-
虚血性病変の広がり(例:ASPECTS)を評価すること
-
再灌流療法(IVT/EVT)開始前に頭蓋内出血を除外すること
-
-
これらは再灌流介入前に必ず行うべきである。
-
推奨 3.2-2(COR 1, LOE B-NR)
-
対象: AIS疑い患者を診療する医療機関・システム
-
内容:
-
AIS疑い患者を診療する病院システムでは、プロセス改善に基づくプロトコルを整備し、緊急脳画像ができるだけ迅速に取得できるようにすることが推奨される。
-
目安として、発症から25分以内(“within 25 minutes”)での画像取得を目指すことが挙げられている。
-
これは、迅速な再灌流治療を可能にするためである。
-
推奨 3.2-3(COR 1, LOE B-NR)
-
対象: AISおよびLVOが疑われる患者
-
内容:
-
AIS+LVO疑い患者に対して、造影CTAおよび/またはCTPによる緊急血管画像は、血清クレアチニン測定のために遅らせるべきではない。
-
つまり、腎機能検査結果待ちを理由にCTA/CTPを遅延させてはならない。
-
推奨 3.2-4(COR 2a, LOE C-LD)(小児・MRI/MRA)
-
対象: AISが疑われる小児
-
内容:
推奨 3.2-5(COR 2a, LOE C-LD)(小児・CT/CTA)
-
対象: AISが疑われる小児で、迅速なMRI/MRAが利用できない場合
-
内容:
-
MRI/MRA がすぐに(25分以内に)利用できない場合には、
-
頸部および頭蓋内血管を含むCT/CTAによる緊急撮像を行うのは合理的である。
-
-
こちらも目的は LVOの同定 である。
-
推奨 3.2-6(COR 2a, LOE B-R)(DWI-FLAIRミスマッチ)
-
対象:
-
症状が睡眠中に出現していた(wake-up stroke)
-
あるいは発症時刻が不明で last known well から 4.5時間を超えている
-
ただしその他の条件はIVT適格
-
-
内容:
-
このような患者では、MRIのDWI–FLAIRミスマッチによる選択は、延長時間帯IVT適格性を判定するのに有用となり得る。
-
推奨 3.2-7(COR 2a, LOE B-R)(CTP / MR PWIによる延長IVT)
-
対象:
-
症状覚醒時発症(wake-up)または発症不明
-
last known well から 4.5〜24時間
-
-
内容:
-
こうした患者では、自動ポストプロセッシングソフトを用いたCTPまたは MR DWI–PWI(灌流画像)による選択は、延長時間帯 IVT 適格性判断に有用となり得る。
-
3.2-B EVT(血管内血栓回収療法)評価関連
推奨 3.2-8(COR 1, LOE A)
-
対象: AIS+LVOが疑われ、last known well から24時間以内に来院した患者
-
内容:
-
このような患者では、
-
頸部および頭蓋内血管を含む脳・血管画像(CT/CTAまたはMRI/MRA)を、EVT選択と治療計画のために可能な限り迅速に施行すべきである。
-
-
推奨 3.2-9(COR 2a, LOE A)
-
対象: AIS+LVOが疑われ、last known well から6〜24時間で来院した患者
-
内容:
-
そのような患者では、補助的な灌流画像の利用が有用となり得る:
-
CTP
-
MRI(DWI–FLAIRミスマッチ)
-
MR DWI–PWI + 自動ポストプロセッシング
-
-
ただし、これらの画像が「即時に利用可能な場合」に限り有用とされる。
-
推奨 3.2-10(COR 2b, LOE B-R)(DTAS:direct-to-angio suite)
-
対象:
-
検証済みの重症度スケール(例:RACE >4)によりプレホスピタルでLVOが疑われ
-
EVT適格と判断される患者
-
-
内容:
推奨 3.2-11(COR 2b, LOE B-NR)(転院患者でのDTAS)
-
対象:
-
画像もしくは臨床評価によりLVO疑い
-
EVT適格
-
他院から緊急転送されてきた患者
-
-
内容:
-
こうした緊急転送患者については、
-
血栓回収実施施設到着時に、症状変化や転送遅延がなければ、再度の脳画像を撮像せずにDTASを行うことも考慮し得る。
-
-
3.3 Other Diagnostic Tests
推奨 3.3-1(COR 1, LOE C-LD)(ベースライン心電図)
-
対象: 急性脳卒中疑い患者
-
内容:
-
AIS疑い患者では、初期評価の一環としてベースラインの心電図(ECG)を行うことが推奨される。
-
ただし、ECG施行のためにIVTやEVTの開始を遅らせてはならない。
-
推奨 3.3-2(COR 1, LOE B-NR)(ベースライントロポニン)
-
対象: 急性脳卒中疑い患者
-
内容:
-
AIS疑い患者では、初期評価の一環としてベースラインの心筋トロポニン測定を行うことが推奨される。
-
しかし、トロポニン測定のためにIVTやEVT開始を遅らせてはならない。
-
第4章「General Supportive Early Management」
4.1. 気道・呼吸・酸素化
-
推奨1(COR 1, LOE C-LD)
AIS 患者では、低酸素血症や呼吸障害に対して適切な気道確保・換気補助を行い、全身・脳の酸素化を保つべきである。 -
推奨2(COR 1, LOE C-LD)
AIS 患者でSpO₂ 94%未満などの低酸素血症がある場合、SpO₂>94%を目標に酸素投与を行うべきである。 -
推奨3(COR 2b, LOE B-R)
発症6時間以内・NIHSS 10–20・ASPECTS ≥6・前方循環 LVO で EVT 予定の AIS 患者では、EVT 前に高流量酸素などによる normobaric hyperoxia を行うことは、早期神経学的改善や再開通率改善のために「考慮してもよい」。 -
推奨4(COR 2b, LOE B-NR)
動脈空気塞栓による AIS では、早期に高気圧酸素療法(HBOT) を行うことが機能予後改善のために合理的である可能性がある。 -
推奨5(COR 3: No Benefit, LOE B-R)
EVT 非適応で、低酸素血症のない AIS 患者に対する routine の酸素投与は、機能予後の改善が示されておらず推奨されない。 -
推奨6(COR 3: No Benefit, LOE B-R)
空気塞栓を伴わない AIS 患者に対する routine の HBOT は、機能予後改善のエビデンスがなく推奨されない。
4.2. 頭位
-
推奨1(COR 3: No Benefit, LOE B-R)
AIS 全体の患者において、入院後24時間の 0°頭位 vs 30°頭位で、機能予後の差はなく、routine に 0°にする利益はない。 -
推奨2(COR 3: No Benefit, LOE B-R)
大血管動脈硬化が原因と考えられ、再灌流治療が利用できない AIS 患者において、Trendelenburg(−20°)頭位は、標準的 0–30°頭位と比べて機能予後改善の利益がなく、routine 使用の利益はない。
4.3. 血圧管理
一般(再灌流治療の有無を問わない)
-
推奨1(COR 1, LOE C-LD)
AIS 患者では、低血圧・低血容量を是正し、臓器機能維持に必要な全身灌流を保つべきである。 -
推奨2(COR 1, LOE C-EO)
AIS 患者で、急性冠症候群・急性心不全・大動脈解離・tPA後の sICH・子癇前症/子癇など合併症対策として高血圧治療が必要な場合、早期の降圧を行うべきである。 -
推奨3(COR 2b, LOE C-EO)
IVT/EVT を受けておらず、BP ≥220/120 mmHg で、他に緊急降圧適応のない AIS 患者において、発症48–72時間以内に降圧を開始/再開することの有用性は不明である(個別判断)。 -
推奨4(COR 3: No Benefit, LOE A)
IVT/EVT 非施行、BP<220/120 mmHg、緊急降圧を要する合併症のない AIS 患者では、発症後48–72時間以内に積極的に降圧治療を開始/再開しても、死亡や依存の予防効果はなく推奨されない。
再灌流治療前
-
推奨5(COR 1, LOE B-NR)
IVT 適応がある高血圧の AIS 患者では、IVT 実施前に SBP<185、DBP<110 mmHg に下げるべきであり、出血合併症を減らす。 -
推奨6(COR 2a, LOE B-NR)
IVT を行わず EVT を予定している AIS 患者では、手技前 BP を ≤185/110 mmHg に維持することが、合併症回避と転帰改善のために合理的である。
IVT 後
-
推奨7(COR 1, LOE B-R)
IVT 後少なくとも24時間は、BP<180/105 mmHg を維持すべきである。 -
推奨8(COR 3: No Benefit, LOE B-R)
軽〜中等度 AIS で IVT を受けた患者において、SBP<140 mmHg への積極的降圧(vs <180 mmHg)は機能予後の改善がなく推奨されない。
EVT 後
-
推奨9(COR 2a, LOE B-NR)
EVT を受けた患者では、手技中および手技後24時間、BP≤180/105 mmHg を維持することが合理的である。 -
推奨10(COR 3: Harm, LOE A)
前方循環 LVO に対する EVT で mTICI 2b/2c/3 の再開通を得た AIS 患者で、他に特別な BP 目標がない場合、最初の72時間 SBP<140 mmHg を目標とする集中的降圧は有害であり推奨されない。
4.4. 体温管理
-
推奨1(COR 1, LOE C-LD)
AIS 患者で発熱(一般的には ≥38°C)がある場合、感染症など基礎原因を検索・治療しつつ、解熱薬等で体温を下げるべきである。 -
推奨2(COR 2b, LOE B-R)
AIS 患者で発熱があり、積極的に体温を 37–37.5°C 程度へ下げる集中的解熱療法は、転帰改善の可能性はあるがエビデンスは限定的であり、「行ってもよい」レベル。 -
推奨3(COR 3: No Benefit, LOE B-R)
平熱〜軽度発熱の AIS 患者に対する治療的低体温(誘発低体温療法)は、転帰改善の証拠がなく、合併症リスクがあり routine には推奨されない。
4.5. 血糖管理
-
推奨1(COR 1, LOE C-LD)
AIS 患者では、入院時に血糖測定を行い、重篤な低血糖・高血糖を早期に検出し是正すべきである。 -
推奨2(COR 2a, LOE B-NR)
AIS 患者で持続する高血糖(おおむね >180 mg/dL)がある場合、>180 mg/dL を下回るよう血糖コントロールを行うことは合理的である(ただし低血糖を避ける)。 -
推奨3(COR 3: No Benefit, LOE B-R)
AIS 患者に対し、80–130 mg/dL を目標とする厳格インスリン療法は、転帰改善がなく、低血糖リスクを増やすため推奨されない。
4.6. IV 血栓溶解療法
4.6.1. 血栓溶解療法の意思決定
一般原則
-
推奨1(COR 1, LOE A)
成人 AIS で機能障害を伴う(NIHSS スコアに関わらず)IVT 適応患者では、治療開始が速いほど機能予後が良好であり、可及的速やかに IVT を行うべき。 -
推奨2(COR 1, LOE B-NR)
発症4.5時間以内に IVT 適応となる AIS 成人では、安全な実施を確保しつつ、CTA/MRA・灌流画像など追加マルチモダル画像による遅延を避け、できるだけ早く IVT を開始すべき。 -
推奨3(COR 1, LOE B-NR)
IVT 実施 AIS 患者では、出血性合併症や血管浮腫/血管性浮腫(angioedema)による気道閉塞など emergent な副作用に対処できる準備を整えておくべき。 -
推奨4(COR 1, LOE C-EO)
IVT 適応 AIS 患者では、可能な範囲で患者または代理人と、IVT の利益・リスクについて説明し共有意思決定を行うべき。 -
推奨5(COR 1, LOE B-NR)
疑われる虚血性脳卒中患者では、IVT 実施前に血糖測定を行い、重篤な低/高血糖を迅速に是正すべきである(stroke mimic 鑑別も含む)。 -
推奨6(COR 1, LOE C-LD)
低血糖・高血糖を是正しても機能障害を伴う症状が持続する場合、Stroke である可能性が高く、IVT を推奨する。 -
推奨7(COR 1, LOE A)
軽〜中等度の早期虚血変化(広範な低吸収域を除く)が画像で認められても、適格な AIS 患者ではIVT を推奨する。 -
推奨8(COR 3: No Benefit, LOE B-R)
軽度で非障害性の症状(例:isolated sensory deficit など)の成人 AIS で、4.5時間以内に来院し DAPT が可能な場合、IVT は DAPT に比べ機能転帰を改善せず、routine 投与は推奨されない。
出血リスク関連
-
推奨9(COR 1, LOE B-NR)
単剤または DAPT を内服中で他の点は IVT 適格な AIS 患者では、sICH リスクは増加するが、機能予後改善のため IVT を推奨する。 -
推奨10(COR 2a, LOE B-NR)
発症4.5時間以内で IVT 適応があり、異常な凝固異常を疑う理由がない場合、凝固検査結果を待つことで IVT を遅らせるべきではなく、待たずに投与することが合理的。 -
推奨11(COR 1, LOE B-NR)
発症4.5時間以内の AIS で、脳微小出血(CMB)の有無が不明な患者では、CMB を除外する目的で MRI を追加することなく IVT を行うべき。 -
推奨12(COR 2a, LOE B-NR)
発症4.5時間以内の AIS で、MRI で少数(例 1–10 個)の CMB が確認されている場合、機能予後改善のため IVT 実施は合理的。 -
推奨13(COR 2b, LOE B-NR)
発症4.5時間以内の AIS で、多数(例 >10 個)の CMB が既知の患者では、IVT の有用性は不明であり、sICH リスク増加の可能性があるため、慎重な個別判断が必要。
小児
-
推奨14(COR 2b, LOE C-LD)
28日〜18歳の小児で、確認された AIS・発症4.5時間以内・機能障害を伴う場合、アルテプラーゼによる IVT は安全性は概ね許容されるが有効性は不確実であり、「考慮してよい」。
4.6.2. 血栓溶解薬の選択
-
推奨1(COR 1, LOE A)
成人 AIS の標準的 IVTとしては、alteplase または tenecteplase(0.25 mg/kg、最大25 mg)が推奨される。 -
推奨2(COR 3: No Benefit, LOE A)
成人 AIS に対して tenecteplase 0.4 mg/kg 用量での投与は、より高い出血リスクにもかかわらず転帰改善を示さず、推奨されない。
4.6.3. 延長時間帯での IVT
-
推奨1(COR 1, LOE A)
起床時発症または最終健常時刻から 4.5–9時間の AIS で、MRI DWI–FLAIR mismatch を満たす患者では、altepase による IVT が機能予後改善のため推奨される。 -
推奨2(COR 2a, LOE B-R)
最終健常時刻から 4.5–24時間の AIS で、CTP または MR DWI–PWI mismatch により救済可能なペナンブラがあると判断される患者では、拡大時間帯での IVT は「実施してよい」。
4.6.4. その他の IV 血栓溶解薬とソノスロムボリシス
-
推奨1(COR 2b, LOE B-R)
発症4.5時間以内の AIS で alteplase や tenecteplase が利用できない場合、IV urokinase を用いることは「選択肢として合理的」。 -
推奨2(COR 2b, LOE B-R)
発症4.5時間以内の AIS で alteplase/tenecteplase が利用できない場合、IV reteplase を用いることは「合理的であり得る」。 -
推奨3(COR 2b, LOE B-R)
発症4.5時間以内の AIS で alteplase/tenecteplase が利用できない場合、IV mutant prourokinase を用いることは「合理的であり得る」。 -
推奨4(COR 3: No Benefit, LOE A)
発症6時間以内に投与される IV streptokinaseは、機能予後改善を示さず、死亡と出血を増加させるため推奨されない。 -
推奨5(COR 3: No Benefit, LOE B-R)
既に IVT を受けた AIS 患者への超音波を用いた sonothrombolysis 追加は、機能予後改善のエビデンスがなく推奨されない。 -
推奨6(COR 3: No Benefit, LOE B-NR)
EVT との併用目的での sonothrombolysisも、転帰改善が示されておらず推奨されない。 -
推奨7(COR 3: No Benefit, LOE B-NR)
低用量または高用量の IV streptokinase を用いたレジストリー的使用は、明らかな有益性がなく、早期死亡増加を伴うため推奨されない。
4.6.5. その他の特別な状況
-
推奨1(COR 2a, LOE B-NR)
既知の鎌状赤血球症を有する AIS 成人で IVT 適応がある場合、IVT は sICH や致死的出血リスクを顕著に増加させることなく機能予後改善に有用であり得る。 -
推奨2(COR 2b, LOE C-LD)
急性非動脈炎性中心網膜動脈閉塞(CRAO)による高度視力障害で、IVT 適格な成人患者に対する発症4.5時間以内の IVT の有用性は不確実であり、「症例ごとの判断で考慮し得る」レベル。
4.7. 血管内血栓除去(EVT)
4.7.1. IVT との併用(bridging)
-
推奨1(COR 1, LOE A)
IVT 適格かつ LVO による AIS が疑われる患者では、IVT を先行しつつ EVT をできるだけ速やかに行うこと(bridging therapy)が推奨される。 -
推奨2(COR 2b, LOE B-R)
IV alteplase・tenecteplase 投与中に EVT を行う際、EVT 前に IVT を終了させずに進めることは合理的である(中断する必要はない)。
4.7.2. 成人 AIS 患者に対する EVT

-
推奨1(COR 1, LOE A)
発症24時間以内の前方循環 LVO AIS 成人で、NIHSS ≥6・ASPECTS ≥6 を満たす患者に対し、できるだけ早期の EVT を推奨する。 -
推奨2(COR 1, LOE A)
発症6〜24時間の前方循環 LVO AIS 成人で、DAWN/DEFUSE 3 等に準じた画像基準(CT/MR perfusion などによるペナンブラ評価)を満たす患者では、EVT は強く推奨される。 -
推奨3(COR 2a, LOE B-R)
発症0〜6時間で ASPECTS 0–2 など広範な梗塞を示す患者に対する EVT の有効性は限定的であり、症例ごとの慎重な選択(2a)で考慮し得る。 -
推奨4(COR 2a, LOE B-NR)
発症6〜24時間で ASPECTS 0–2 の患者に対する EVT も、症例選択のうえで実施してよい可能性がある。 -
推奨5(COR 2b, LOE B-NR)
高齢(>80歳)・基礎 mRS 3–4・広範梗塞など、臨床的に予後不良要因を伴う患者では、EVT の有用性は不確実だが、症例ごとに「行ってもよい」。 -
推奨6(COR 2b, LOE C-LD)
頸動脈高度狭窄など tandem lesion を伴う LVO AISでは、頸動脈ステント留置など併施 EVT の有用性は不確実だが、症例ごとに考慮し得る。 -
推奨7(COR 2b, LOE B-NR)
NIHSS 0–5 と比較的軽症だが、明らかな機能障害を有する前方循環 LVO AISでは、EVT は機能予後改善の可能性があり、個別に検討してよい。 -
推奨8(COR 3: No Benefit, LOE B-NR)
明らかな機能障害がない軽症 AIS(NIHSS 0–5)で LVO があっても症候が軽微な場合、routine な EVT は利益が示されておらず推奨されない。
4.7.3. 後方循環脳卒中(主に基底動脈閉塞)
-
推奨1(COR 1, LOE A)
発症24時間以内の基底動脈閉塞による AIS 成人では、早期 EVT が機能予後改善のために推奨される。
4.7.4. 血管内手技のテクニック
一般的な手技
-
推奨1(COR 1, LOE A)
LVO による AISでは、ステントリトリーバー・コンタクトアスピレーション・もしくは両者の併用による EVT により、迅速かつ十分な再灌流を達成することを推奨。 -
推奨2(COR 1, LOE A)
EVT を受ける AIS 患者では、できるだけ早期に extended TICI 2b/2c/3 の再灌流を得ることが推奨される。 -
推奨3(COR 1, LOE B-R)
EVT 施行時の麻酔管理としては、全身麻酔と鎮静のいずれも使用し得るが、どちらか一方が明確に優れるとは言えず、施設・患者状況に応じて選択すべき。 -
推奨4(COR 2b, LOE B-R)
近位バルーン付きガイディングカテーテルの使用による proximal flow arrestは、転帰改善の明確なエビデンスはなく、その有用性は不確実であるが症例により考慮してよい。 -
推奨5(COR 3: No Benefit, LOE A)
前・中(非優位/共優位 M2, M3)・後大脳動脈など、中〜遠位枝閉塞による AISに対するステントリトリーバーによる EVTは、現時点で機能予後改善の有益性が示されておらず routine には推奨されない。
補助的テクニック・薬剤
-
推奨6(COR 2b, LOE B-NR)
EVT 時にステント留置や再閉塞予防目的でチロフィバン等の GP IIb/IIIa 阻害薬を投与することは、有用性・安全性が十分確立しておらず、症例ごとの慎重な使用にとどめるべき。
4.7.5. 小児患者に対する EVT
-
推奨1(COR 2a, LOE C-LD)
6歳以上の小児で、発症6時間以内・LVO による AIS・明らかな神経症状を有し、経験ある脳血管内治療医が施行できる場合、EVT は機能予後改善のために有効であり得る(行うことが合理的)。 -
推奨2(COR 2a, LOE C-LD)
6〜24時間のウィンドウで発症し、LVO・救済可能な脳組織(画像でペナンブラ)がある 6歳以上小児 AISでも、EVT は機能予後改善に有効であり得る。 -
推奨3(COR 2b, LOE C-LD)
28日〜6歳の小児で、LVO による AIS(初発痙攣を含む神経症状)・24時間以内・救済可能な脳組織がある場合、小児経験のある脳血管内治療医による EVT を検討してよい。
4.8. 抗血小板治療

4.8.1. EVT を行わない場合
-
推奨1(COR 1, LOE A)
IVT を受けていない AIS または high-risk TIA 患者では、発症24時間以内に単剤アスピリン(160–300 mg)を開始し、その後維持量で継続することを推奨。 -
推奨2(COR 1, LOE A)
軽症 AIS(NIHSS ≤3)または high-risk TIA(ABCD2 ≥4)で EVT 非施行、IVT も受けていない患者では、発症24時間以内に DAPT(アスピリン+クロピドグレル)を21日間行い、その後単剤へ移行することを推奨。 -
推奨3(COR 1, LOE A)
中国を中心としたエビデンスに基づき、軽症 AIS/TIA に対しアスピリン+チカグレロル DAPT を30日間行うレジメンも有効であり得る。 -
推奨4(COR 1, LOE A)
非心原性 AIS/TIA で DAPT 施行後は、長期は単剤(アスピリン or クロピドグレル)へ切り替えるべきである。 -
推奨5(COR 1, LOE A)
非心原性 AIS/TIA でアスピリン単剤中にイベントを起こした患者では、クロピドグレルへの変更が推奨される。 -
推奨6(COR 1, LOE B-R)
Clopidogrel に対する high on-treatment platelet reactivity が確認された患者では、チカグレロルなどへの変更は stroke recurrence 抑制に有用であり得る。 -
推奨7(COR 2a, LOE B-R)
症候性大血管狭窄など高リスク病変を有する AIS/TIAでは、長期 DAPT(>90日)の有用性は一部で示唆されるが出血リスクもあり、症例ごとに考慮。 -
推奨8(COR 2b, LOE B-R)
軽症 AIS/TIA におけるアスピリン+クロピドグレル90日以上の延長 DAPTは、一部患者で有用かもしれないが、利益と出血リスクのバランスを個別判断すべき。 -
推奨9(COR 2b, LOE C-LD)
アスピリンあるいはクロピドグレル不耐の患者に対し、シロスタゾールなど他剤による単剤療法を考慮してよい。 -
推奨10(COR 2b, LOE C-LD)
進行性・再発性のラクナ梗塞などで、標準的抗血小板療法にもかかわらずイベントを繰り返す症例に、長期 DAPT を検討してよいが、出血リスクを十分考慮すべき。 -
推奨11(COR 3: Harm, LOE A)
非心原性 AIS/TIA に対する長期(>90日)の DAPT(アスピリン+クロピドグレル)は、出血リスクが増大し、転帰改善の利益がないため有害であり推奨されない。 -
推奨12(COR 3: Harm, LOE B-R)
非心原性 AIS/TIA に対する triple therapy(アスピリン+クロピドグレル+抗凝固薬)は、出血増加のため有害であり推奨されない。 -
推奨13(COR 3: No Benefit, LOE B-R)
心房細動など明らかな抗凝固適応がある患者で、抗凝固療法に加えて routine に抗血小板薬を追加することは、再発予防の利益がなく出血を増やすため推奨されない(ステントなど別理由がない限り)。 -
推奨14(COR 3: No Benefit, LOE A)
アスピリン抵抗性が疑われる患者に対し、血小板機能検査に基づくアスピリン用量の増量は転帰改善を示さず、有用性はない。
4.8.2. EVT を行う場合の抗血小板
-
推奨15(COR 1, LOE C-LD)
EVT 後に頭蓋内ステントや頸動脈ステントを留置した場合、ステント血栓症予防のため DAPT を行うべきである(期間はデバイス・病変に依存)。 -
推奨16(COR 2a, LOE B-NR)
EVT 後、明らかな出血リスクがなく梗塞巣が大きすぎない場合には、24時間以降に抗血小板薬(単剤または DAPT)開始が合理的。 -
推奨17(COR 2b, LOE B-NR)
EVT 中・直後に救済的ステント留置が必要となった場合、急性期に IV GP IIb/IIIa 阻害薬などを併用することは症例により検討し得るが、出血リスクに留意。 -
推奨18(COR 3: Harm, LOE B-NR)
例外的必要性を除き、sICH のリスクが高い状況での早期・積極的な DAPT 開始は、有害となりうるため避けるべき。
4.9. 抗凝固薬
-
推奨1(COR 2a, LOE B-NR)
心房細動などで DOAC 適応のある AIS 患者では、出血リスクと再発リスクを勘案しつつ、早期(数日以内)の DOAC 開始は安全であり得るが、有効性については確立していない。 -
推奨2(COR 2b, LOE B-NR)
急性期 AIS における未分画ヘパリンや低分子ヘパリンによる routine 抗凝固は、有効性が確立されておらず routine 使用は推奨されない。 -
推奨3(COR 2b, LOE C-LD)
同側頸動脈高度狭窄を伴う AIS で、緊急 CEA/ CAS がまだ行えない場合の bridging 抗凝固の有用性は確立しておらず、症例ごとに慎重に検討すべき。 -
推奨4(COR 2b, LOE C-LD)
同側非閉塞性頸動脈内血栓を伴う AISに対する短期抗凝固の安全性・有効性は十分確立していないが、実臨床ではしばしば行われており、慎重な個別判断が必要。 -
推奨5(COR 3: No Benefit, LOE A)
AIS 患者における argatroban を IVT への追加療法として用いることは、長期機能予後の改善に寄与せず、有益性は示されていない。 -
推奨6(COR 3: No Benefit, LOE A)
AIS 発症48時間以内の早期抗凝固は、早期神経悪化の予防・機能予後改善に寄与せず、および出血リスク増大の懸念があるため推奨されない。
4.10. 容量負荷/血液希釈、血管拡張薬、血行動態的増強
-
推奨1(COR 3: No Benefit, LOE A)
AIS 患者に対する routine の血液希釈療法(例:低分子デキストランなど)は、機能予後改善の利益がなく、推奨されない。 -
推奨2(COR 3: No Benefit, LOE B-R)
AIS 患者に対する induced hypertension や薬剤的血圧上昇による血行動態的増強療法は、転帰改善の確かなエビデンスがなく routine には推奨されない。
4.11. 神経保護薬
-
推奨1(COR 3: No Benefit, LOE A)
フリーラジカルスカベンジャー、NMDA 受容体拮抗薬、マグネシウム、スタチンの急性高用量など、さまざまな薬剤による急性期神経保護療法は、大規模試験で機能予後改善が示されておらず、routine には推奨されない。
4.12. 緊急頸動脈血栓内膜剥離術・頸動脈ステント(頭蓋内血栓なし)
-
推奨1(COR 2b, LOE C-LD)
AIS 患者で頭蓋内血栓がなく、症候性高度頸動脈狭窄(例:70–99%)を有し、症状が進行/再発している場合、緊急 CEA あるいは CAS を行うことは機能予後改善に有用である可能性があり、「症例ごとに検討してよい」。
第5章「In-Hospital Management of AIS: General Supportive Care」
5.1 Stroke Units(脳卒中ユニット)
推奨1|COR 1, LOE B-R
-
あらゆる年齢のAIS患者に対して、
-
目的は、機能予後不良や死亡のオッズを低下させることである。
5.2 Dysphagia(嚥下障害)
推奨1|COR 1, LOE C-EO
推奨2|COR 2a, LOE C-LD
推奨3|COR 2a, LOE B-NR
-
AIS患者で、
推奨4|COR 2b, LOE B-NR
-
AIS患者において、口腔ケアプロトコール(oral hygiene protocol)を導入することは、肺炎リスクを減らす目的で妥当である可能性がある。
推奨5|COR 2a, LOE B-R
-
嚥下障害を有する脳卒中患者において、
咽頭電気刺激(pharyngeal electrical stimulation, PES)による治療は、嚥下障害の重症度を低下させ、誤嚥リスクを減少させる目的で有用となりうる。
推奨6|COR 2a, LOE B-R
-
重症脳卒中に伴う嚥下障害があり、気管切開と人工呼吸管理を要する患者において、
人工呼吸器離脱後にPESを行うことは、嚥下障害の重症度を軽減し、誤嚥リスクを低下させ、気管カニューレ抜去(decannulation)を早める目的で有用となりうる。
5.3 Nutrition(栄養)
推奨1|COR 1, LOE B-R
-
AIS患者では、入院後7日以内に経腸栄養(enteral diet)を開始することが推奨される。
推奨2|COR 1, LOE B-NR
-
AIS患者では、
推奨3|COR 2a, LOE B-NR
-
嚥下障害を有するAIS患者においては、
-
入院後最初の7日間はまず経鼻胃管(nasogastric tube)による投与を用いることが妥当であり、
-
安全な嚥下が2〜3週間以上にわたり困難であると予測される場合には、経皮内視鏡的胃瘻(PEG)を設置することが妥当である。
-
5.4 Deep Vein Thrombosis Prophylaxis(深部静脈血栓症予防)
推奨1|COR 1, LOE B-R
-
AISで可動性低下があり、間欠的空気圧迫(intermittent pneumatic compression, IPC)に対する禁忌がない患者では、
通常ケアにIPCを追加することが、DVTリスクを減少させる目的で推奨される(通常ケア単独より優れる)。
推奨2|COR 2a, LOE B-R
-
可動性低下を伴うAIS患者では、
静脈血栓塞栓症(VTE)予防目的に、予防量の皮下ヘパリン投与(未分画ヘパリン[UFH]または低分子ヘパリン[LMWH])を用いることが妥当である。
推奨3|COR 2b, LOE A
-
可動性低下を伴うAIS患者において、
予防量の皮下ヘパリン(UFHまたはLMWH)が、予防量ヘパリンを用いない場合と比較して全生存率を改善するかどうかは確立していない。 -
すなわち、生存改善効果については不明であり、ルーチン使用の有益性は明らかでない。
推奨4|COR 2b, LOE B-R
-
可動性低下を伴い、薬物的血栓予防(予防量抗凝固療法)を選択されたAIS患者において、
DVT予防に関して予防量LMWHが予防量UFHに優れるかどうかは不確かである。
推奨5|COR 3: Harm, LOE B-R
-
可動性低下を伴うAIS患者において、
弾性ストッキング(elastic compression stockings)の使用は、皮膚障害(皮膚破綻、潰瘍、水疱、壊死など)を増やすなど有害であるため、通常ケアに比べて害をもたらす。 -
よって、弾性ストッキングは推奨されない。
5.5 Depression(抑うつ)
推奨1|COR 1, LOE B-NR
-
AIS患者では、
構造化されたうつ病評価尺度(structured depression inventory)を用いて、脳卒中後うつ(poststroke depression, PSD)をスクリーニングすることが推奨される。 -
ただし、スクリーニングの最適な時期は明らかでない。
推奨2|COR 1, LOE B-R
5.6 Other In-Hospital Management Considerations
(その他の入院中管理上の考慮事項)
推奨1|COR 2a, LOE C-EO
-
選択されたAIS患者およびその家族に対して、
必要に応じて緩和ケア(palliative care)リソースへの紹介を行うことは妥当である。
推奨2|COR 3: No Benefit, LOE A
-
AIS患者において、
感染予防目的のプロフィラクト抗菌薬の routine 使用は、機能予後の改善に有益であることが示されておらず、推奨されない(利益なし)。
推奨3|COR 3: Harm, LOE C-LD
5.7 Rehabilitation(リハビリテーション)
推奨1|COR 1, LOE A
-
AIS患者では、
-
入院中に、
-
個々の患者に適切な強度・内容を評価したうえで、
正式な多職種チームによるリハビリテーション評価と提供を行うことが、機能回復を改善する目的で推奨される。
-
推奨2|COR 3: No Benefit, LOE A
-
AIS患者において、
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、運動機能回復や機能的状態の改善目的には有効でない。 -
したがって、運動回復・機能改善を目的としたSSRIの使用は推奨されない。
推奨3|COR 3: Harm, LOE B-R
-
AIS患者において、
発症24時間以内の高用量「超早期」動員(very early, high-dose mobilization)は、3か月時点の良好転帰のオッズを改善せず、むしろ有害となりうるため推奨されない。
第6章「In-Hospital Management of AIS: Treatment of Acute Complications」
6.1 Brain Swelling(General Recommendations)
推奨 6.1-1|COR 1, LOE C-EO
-
対象:大きな大脳半球/小脳梗塞で、脳浮腫・ヘルニアを起こす高リスクの患者。
-
内容:
推奨 6.1-2|COR 1, LOE C-EO
-
対象:大きな大脳半球/小脳梗塞の患者。
-
内容:
-
発症後最初の数日に、神経学的悪化の徴候(意識レベル低下など)を注意深くモニタリングすることが推奨される。
-
これは、脳浮腫による増悪を早期に検出し、必要な介入の要否を迅速に判断するためである。
-
推奨 6.1-3|COR 1, LOE C-LD
-
対象:悪性脳浮腫リスクが高い大きな大脳半球/小脳梗塞患者。
-
内容:
-
こうした患者に対しては、適切な脳神経外科および集中治療の専門性を有する施設へ早期に転院させることが推奨される。
-
目的は、必要になったときに減圧術などの治療を遅滞なく提供できるようにすることである。
-
6.2 Brain Swelling(Medical Management)
推奨 6.2-1|COR 2a, LOE C-LD
-
対象:大きな大脳半球/小脳梗塞で、脳浮腫に伴う神経学的悪化を呈している患者。
-
内容:
-
このような患者では、浸透圧療法(マンニトールや高張食塩水)を、外科的介入までの“橋渡し”として使用することは合理的である。
-
目的は、機能予後の改善および死亡率の低下である。
-
推奨 6.2-2|COR 3: No Benefit, LOE B-R
-
対象:18〜70歳の大きな大脳半球梗塞患者。
-
内容:
推奨 6.2-3|COR 3: Harm, LOE C-LD
-
対象:大きな大脳半球/小脳梗塞で脳浮腫をきたした患者。
-
内容:
6.3 Supratentorial Infarction(大脳半球梗塞:外科的管理)
推奨 6.3-1|COR 2a, LOE B-NR
-
対象:脳浮腫・ヘルニアを起こす高リスクの大きな大脳半球梗塞(territorial infarction)患者。
-
内容:
-
こうした患者では、脳浮腫に起因すると判断される意識レベル低下を、減圧半球切除術(decompressive hemicraniectomy)選択のトリガーとして用いることは合理的である。
-
すなわち、画像だけではなく、意識低下という臨床的悪化を減圧術決定の重要なサインとしてよい。
-
推奨 6.3-2|COR 1, LOE A
-
対象:
-
60歳以下
-
片側MCA領域梗塞
-
医学的治療にもかかわらず、発症後48時間以内に脳浮腫による神経学的悪化を示す患者
-
-
内容:
-
このような患者では、硬膜拡張を伴う減圧開頭術(decompressive craniectomy with dural expansion)が、死亡率を低下させ、機能予後を改善するために有益である。
-
そのため、強く推奨される。
-
推奨 6.3-3|COR 2b, LOE B-R
-
対象:
-
60歳より高齢
-
片側MCA梗塞
-
医学的治療にもかかわらず、発症48時間以内に脳浮腫による神経学的悪化を示す患者
-
-
内容:
-
このような患者では、硬膜拡張を行う減圧開頭術は死亡率を減少させ得るため、「考慮してよい」。
-
一方で、長期の機能予後はしばしば重度障害となるため、患者・家族との価値観に基づく意思決定が重要とされる。
-
推奨 6.3-4|COR 2b, LOE B-NR
-
対象:
-
AISに対しIV tPA(アルテプラーゼ)血栓溶解療法を既に受けており、
-
その後も医学的治療にもかかわらず悪性脳浮腫を発症した患者
-
-
内容:
-
このような患者に対しても、48時間以内の早期減圧開頭術を行うことは、追加の安全性懸念なく「考慮してよい」。
-
既往のtPA投与は、減圧術の禁忌とはならないと位置づけられている。
-
6.4 Cerebellar Infarction(小脳梗塞:外科的管理)
推奨 6.4-1|COR 1, LOE C-LD
-
内容:
-
このような患者では、脳室ドレナージ(ventriculostomy)による脳脊髄液ドレナージが、神経学的機能の改善および死亡率低下のために推奨される。
-
減圧開頭術の要否は、
-
梗塞体積、
-
神経学的状態、
-
脳幹圧迫の程度、
-
内科的治療の効果
などを踏まえて個別に判断し、併用または追加が必要になることもある。
-
-
推奨 6.4-2|COR 1, LOE B-NR
-
対象:
-
小脳梗塞により脳幹圧迫をきたし神経学的悪化を示す患者、
-
あるいは梗塞体積が ≥35 mL の患者。
-
-
内容:
-
こうした患者では、硬膜拡張を伴う後頭下減圧開頭術(decompressive suboccipital craniectomy with dural expansion)を実施することが、転帰改善と死亡率低下のために推奨される。
-
6.5 Seizures(けいれん)
推奨 6.5-1|COR 1, LOE C-LD
-
対象:AIS後に誘因なく(unprovoked)発生したけいれんを呈する成人。
-
内容:
-
こうした患者では、抗てんかん薬(antiseizure medication)を含む治療を行うことが推奨される。
-
薬剤選択や治療期間は、
-
併用薬との相互作用、
-
副作用プロファイル、
-
けいれんの重症度/再発リスク
など患者固有の要因に基づいて個別化すべきとされる。
-
-
推奨 6.5-2|COR 3: No Benefit, LOE C-LD
-
対象:AISの成人患者一般。
-
内容:
※ER担当医にとって重要なポイント
1-1. トリアージとプレホスピタル情報
-
MSU(mobile stroke unit)があれば優先
MSU が通常の救急車より IVT までの時間・予後とも優れているため、地域にあれば MSU を使う前提でシステムが組まれているはずである。 -
搬送先選択:LVO疑い+システムの性能で分岐
-
良く機能する転送ネットワークがある地域
→ まず近くのIVT実施可能施設で IVT → 速やかな二次転送。
→ 45–60分遠方の EVTセンターに直送しても予後改善なし(No Benefit)。 -
そうしたシステムがない地域
→ LVO疑いなら直接EVTセンターへ搬送を考慮。
-
-
ER側の実務
-
救急隊からのプレノーティフィケーションは「前提」(Stroke alert 起動)。
-
到着前に CT室・IVT薬剤・EVTチームまで含めたアラートを出す運用が推奨されている。
-
1-2. 初期評価:NIHSSと画像・検査
-
NIHSSで“障害性”かどうかを判定
-
「軽いけれど障害性(失語・手の巧緻運動・視野障害など)」「軽くて非障害性(少しのしびれだけ、など)」を分けることが、IVT適応の大前提である。
-
-
画像
-
必須:頭部CT(±CT-ASPECTS)+頭蓋内/頸部血管(CTA)。
-
IVT適応患者で 4.5時間以内なら、高度画像(灌流・MRI)を撮るために IVTを遅らせてはいけない。
-
LVO疑いで EVT も視野に入る症例では、0〜24h まで「できるだけ早く CTA/MRA で血管評価」が原則。
-
-
検査(でも治療を遅らせない)
-
12誘導ECGと基礎トロポニンは推奨だが、IVT/EVTの開始を遅らせてはいけない。
-
凝固検査結果やクレアチニン待ちのために IVT/CTA を遅らせないというメッセージが明記されている。
-
1-3. IVTの実務で押さえるべきポイント
-
薬剤選択:アルテプラーゼ or テネクテプラーゼ(TNK)=同格のClass I
-
発症4.5時間以内の AIS では、alteplase 0.9 mg/kg でも tenecteplase 0.25 mg/kg(最大25 mg)でもよいと明確に Class I 推奨。
-
ERとしては、自院がどちらを標準としているか、ドアtoニードルを短くできる運用はどちらかを把握しておく必要がある。
-
-
誰に IVT をするか(成人)
-
障害性症状+発症4.5時間以内 → NIHSS スコアに関わらず(軽症でも)IVTを強く推奨。
-
軽いが障害性の症状(失語・片手巧緻障害など)は IVT 推奨。
-
軽く非障害性の症状(isolated sensory など)では、
-
IVTは 「No Benefit」、
-
代わりに短期DAPT(アスピリン+クロピドグレル)推奨。
-
-
-
「待たない」という考え方
-
4.5時間以内の成人では、
-
凝固系を特別に疑う状況がなければ、凝固検査を待たずに IVT を開始して良い(Class 2a)。
-
CMB の有無確認の MRI のために IVT を遅らせてはいけない。
-
-
-
延長ウィンドウ IVT
-
起床時発症/発症時刻不明で「症状認知から4.5時間以内」+ DWI–FLAIR ミスマッチ → alteplase による IVT が Class I。
-
発症4.5〜9時間、あるいは4.5〜24時間までで、CTP または MR DWI-PWI でペナンブラあり → クラス2aで alteplase など延長 IVT を「行ってよい」。
-
-
併用薬 NG
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IVT+ argatroban や eptifibatide 等の併用は有益性なし → 推奨されない(Class III: No Benefit)。
-
-
小児IVT
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28日〜18歳で AIS が確認され、4.5時間以内+障害性症状 → alteplase IVT は安全性は許容、効果は不確実だが「考慮してよい」。
-
「絶対やる」ではなく、専門施設での慎重な判断というニュアンスである。
-
1-4. EVT(血管内治療)関連でのキモ
-
適応の拡大:大虚血コア・BAO・小児
-
新しいエビデンスにより、大きな虚血コア症例(一見「手術しても意味ないのでは?」というASPECTS低値)でも、一部でEVTが有効とされる。
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脳底動脈閉塞(BAO)では、NIHSS≥10 かつ発症24時間以内でEVTが強く推奨。
-
小児LVOについても、6歳以上では6時間以内(〜24h まで条件付き)EVTが「有効」と明記されている。
-
-
IVTとの関係
-
IVT適応なら必ず先にIVT(alteplase または TNK)+EVTという「bridging」が推奨。
-
EVT 開始のために IVT を中断・省略する必要はない。
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-
画像戦略
-
EVT候補と思ったら、とにかく CTA/MRA で LVO をはっきりさせる。
-
6〜24h ではCTP / MR 灌流や DWI–FLAIRミスマッチを使って救済可能組織を確認する。
-
-
ERとしての実務
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「この人はIVTだけで済ませてよいか?EVTセンターへ送るか?」の早期判断が以前より重要になっている。
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「ASPECTSが低いから送っても無駄」と決めつけず、大虚血コアでも年齢、症状、時間帯で EVT 適応があり得ることを意識する。
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1-5. 支持療法(BP・血糖・体温・O₂)
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血圧
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IVT前:<185/110 に下げてから開始。
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IVT後24h:<180/105 を維持。
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EVT後:<180/105 で十分(これより強い降圧は不要)。
-
新しいポイント:
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IVT後の軽〜中等症で SBP<140 目標は「効果なし」。
-
EVTでmTICI2b–3の完全再開通例に SBP<140 で72h 抑え込むのは「有害」。
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-
-
血糖
-
体温・酸素
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SpO₂<94% なら酸素投与。常時ルーチン酸素は不要。
-
発熱(≧38℃)なら原因検索+解熱。治療的低体温は routine には勧めない。
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プレホスピタル高血圧治療はやらない
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救急車内でのニトログリセリンや積極降圧は予後改善なく、ICH ではむしろ害のシグナル → ERでの継続も不要。
-
1-6. ストロークユニット・合併症
ERとしては「入院先と初期オーダー」を意識すればよい部分。
2. 2018(+2019アップデート)からの主な変更点(ER目線)
2-1. ガイドラインの位置づけ
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構造として、推奨表+シノプシス+supportive text+flow図+「Knowledge Gaps」がセットの“モジュール形式”になった。
2-2. プレホスピタル・搬送戦略の見直し
旧(ざっくり):
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「基本は最寄りのIVT可能施設へ搬送し、必要ならそこから転送」が中心。
新:
-
システムに応じた柔軟な搬送先選択
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「よく機能する転送システムがある地域」では、従来どおり近くのIVT施設+迅速転送が推奨。
-
そのうえで新たに、
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そのようなシステムがない地域では、LVO疑い例を直接EVTセンターへ送ることを明確に容認。
-
-
-
遠距離ダイレクトEVTの否定
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45–60分の遠方TSCへの直送は、**良好な転送システムがある地域では予後改善なし(Class III: No Benefit)**と明記。
-
-
MSUの位置づけ強化
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以前はエビデンス限定だったが、今回**MSUは明確に「通常EMSより予後良好 → 利用可能なら推奨」**とされた。
-
ERとしては、自分の地域がどの“シナリオ”に当たるか(良好な転送ネットワークか、そうでないか)、どの程度MSUが使えるかを把握しないと、ガイドライン通りのトリアージができない点が新しい。
2-3. IVT:薬剤選択と適応の整理
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TNKが alteplase と並ぶ「標準」になった
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2018版では alteplase が基本で、TNKはまだエビデンス蓄積中という扱いだった。
-
今回は多数の非劣性試験を踏まえ、4.5h以内の IVT は alteplase でも TNK 0.25 mg/kg でもClass Iとされた。
-
-
「非障害性軽症」へのIVTが明確に否定され、DAPT推奨に転換
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以前は、「軽症例へのIVTはエビデンス不十分」「症状が無症候に近いなら慎重に」といった表現だった。
-
今回は、軽いが“非障害性”の症状(例:isolated sensory)では IVT は DAPT に優越せず、「No Benefit」、
-
代わりに短期DAPTを推奨と、はっきり線引きされた。
-
-
ERの実務では、「この軽症は障害性か?」の判定を、IVT適応判断の中心に置く必要が強まった。
-
-
contraindicationの扱いが“治療遅延しない方向”に整理
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延長ウィンドウIVTのエビデンスが強化
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2019アップデートで既に WAKE-UP などが反映されていたが、
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今回は EXTEND, TRACE-III 等を含むメタ解析まで踏まえ、
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4.5–9h/4.5–24h の IVT が、CTPやDWI-PWI で選択された症例に対して Class 2a で推奨されている。
-
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2-4. EVT:適応が拡大・明文化された領域
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大虚血コア(large core)
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以前は ASPECTS 6〜10 など比較的コアが小さい群が主対象。
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今回は、ASPECTS 3–5 など大きなコアでも、一定条件を満たせばEVTを推奨/合理的とする記載がなされている。
-
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脳底動脈閉塞(BAO)の強い推奨
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2018版では BAO EVT に関するRCTが不十分で、推奨の強さは限定的だった。
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今回は BEST, BASICS, ATTENTION, BAOCHE などの RCT・メタ解析を受け、
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**NIHSS≥10・発症24h以内の BAO に対して「強くEVT推奨」**とされた。
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小児EVTの新規推奨
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2018版では、ほぼ小児EVTには触れられていなかった。
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2026版は、
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≥6歳+LVO+6h以内(〜24hまで延長可)に対して、EVTは有効であり得る(Class 2a)、
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**28日〜6歳でも、選択された症例ではEVTを考慮し得る(2b)**と具体的な推奨を提示。
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-
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medium/distal vessel occlusion に対するEVTは「No Benefit」
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M2/M3・PCAなど中〜遠位枝閉塞へのステントリトリーバーEVTは、
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**現時点で「No Benefit」**と明示された(2018ではグレーゾーンに近かった)。
-
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2-5. 小児 AIS 全般の扱い
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新規に、小児 AIS のプレホスピタル評価・画像・IVT・EVTの推奨が追加された点が大きい。
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成人スケールは小児では性能が悪い → 小児専用スケールの有効性はまだ不明(2b)。
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画像はまず MRI/MRA(なければ CT/CTA)で LVO を見つけよ、という流れ。
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ER実務では、「小児でも急性局所神経症状ならAISを疑って“大人と同じスピード感でストローク対応”」が、新ガイドラインでより強く後押しされている。
2-6. 支持療法(BP・血糖・嚥下)の大きな変更
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血圧:集中的降圧は基本やめる方向
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新エビデンスにより、
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IVT後のSBP<140目標は予後改善なし → 「No Benefit」、
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**EVTで完全再開通した例をSBP<140で抑え込むとむしろ有害(死亡・悪化増) → 「Harm」**とされた。
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2018版では「より低い方がよいかも」という余地があったが、今回は**<180/105 を守れば十分、それ以上下げない**方向に振れている。
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血糖:厳格管理を否定
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嚥下・PES
2-7. その他の実務的な変更