今週号は、
肝硬変を基礎疾患に持つ患者のマネジメント
に特化しています。
肝硬変もacute on chronicな病態なので、
急性増悪(Acute Decompensation: AD)があって、
その先にACLFに分類される病態があるけど、
ACLFは地域によって定義が異なっており、だから予後がまちまち。
マネジメントとしてはACLFとして対応すればよさそうですね。
あまり慣れない領域なので、勉強できるときに勉強しておきます。
あとはちょこっと肺炎の最新reviewを。
ステロイドとマクロライドに期待される免疫調整機能が勉強になりました。
消化器
肝硬変・ACLF
Review article: Evaluation and care of the critically ill patient with cirrhosis
肝硬変を基礎疾患にもつ重症患者の管理マニュアル、良レビュー。
肝硬変の病期・ICU入室の流れ
- 肝硬変は、まずcACLD(代償性)として無症状〜軽症で経過し、
その後dACLD(非代償性)となると、腹水・肝性脳症・静脈瘤出血・黄疸・感染・AKIなどの合併症が出現する。 - 非代償化した患者は、感染や出血などのトリガーにより、
- 急性増悪(Acute Decompensation: AD)
- 急性肝不全合併慢性肝不全(ACLF)
に移行し、多臓器不全・高い短期死亡率を来す。
以下のパスウェイが参考になる。

予後:ICU成績の現状
- ESLDでICU入りした患者の予後は、
MELD-Na・臓器不全数・昇圧薬/人工呼吸/RRTの有無に強く依存する。 - データとして、
- ICU内生存:59%、入院中46%、6か月38%
- 昇圧薬使用:生存20%、IMV:33%、RRT:31% など、かなりシビアな数字が示されている。
- しかし、近年は肝疾患治療(アルコール介入、B/C治療)、CRRTや血漿交換、ICU管理、肝移植アクセスの改善により、10年で院内生存が40%→63%に改善した報告がある。
肝硬変患者の特徴的循環動態
- 門脈圧亢進に伴う内臓血管拡張により、実質的な動脈循環血液量は低下している。
- 代償として、RAAS・交感神経系・バソプレシンが活性化し、腎血管収縮・Na水貯留・腹水・浮腫を来す。
- さらに、肝性心筋症(CCM)やPoPH(門脈肺高血圧)により、心拍出量の予備能低下や右心負荷が存在しうる。
- 敗血症では、NOやサイトカイン(TNFα, IL-1, IL-6)による末梢血管拡張・循環不全が重なり、臓器不全が進行。
初期輸液:
- 低血圧/ショックでは、最初の3時間で15–20 mL/kg程度の晶質液を推奨。
- 大量輸液が必要な場合、アルブミン併用を検討(HRS-AKI, SBP, 大量腹水穿刺後、重症敗血症など)。
- ただし、過剰輸液・陽性フルイドバランスは死亡率上昇と関連するため、IVC・心エコーでの評価に基づき慎重に管理。
ショック時の目標
- 最初の6時間で達成すべき目標として、
- MAP ≥65 mmHg
- SaO₂ >95%
- SCvO₂ ≥70%
- 血中乳酸の改善(lactate clearance)
- POCUSでIVC・心機能が「過不足ない」状態
が挙げられる。
- 乳酸値は、肝代謝障害もあるため絶対値だけでは判断しにくいが、経時的なクリアランス(特に入院3日目)が予後判定に有用とされる。
大量腹水穿刺とアルブミン
- HRS-AKIや心機能低下があると「大量穿刺は危ないのでは?」という懸念があるが、
- ターゲットを決めたアルブミン投与(8 g/L穿刺+心拍出量維持)を行えば、大きな循環不全なく安全に施行可能と報告されている。
- これは、腹腔内圧低下で一時的に静脈還流・心拍出が変動するため、心機能評価とアルブミン投与の組み合わせが重要というメッセージ。
昇圧薬
- ショック時の第一選択はノルエピネフリン。
- 反応不良例ではバソプレッシン/テリプレッシンを追加。
- HRS-AKIでは、テリプレッシン+アルブミンが第一選択で、持続投与がボーラスより副作用が少ないとされる。
- AVBでは、通常はオクトレオチドが安全だが、テリプレッシンの方が門脈圧低下作用は強力という位置づけ。
呼吸不全の要因
- 肝硬変特有の呼吸障害として:
- 肝肺症候群(シャント型低酸素血症)
- 門脈肺高血圧(PoPH)
- 肝性胸水・巨大腹水による制限性障害
- さらに敗血症や肺炎によるARDS、ボリュームオーバーによる肺水腫も加わる。
- 呼吸不全に対してできることは、
- 胸水穿刺・利尿・RRTでvolumeを軽くする
- HFNC/NIVによる非侵襲的サポート
- HPS/PoPHが疑われる場合の精査
- 肺保護換気(低一回換気量)

NIV vs IMV
- NIV/HFNCは、軽症~中等症の呼吸不全や、抜管後のサポートとして有用だが、
- IMVは、ARDSや重度低酸素血症、ショック合併などで不可欠だが、
- 肝硬変患者では人工呼吸器関連肺炎や循環抑制のリスクが高い。
- さらに、そもそも基礎疾患が重いため、ICU死亡率60–90%、1年死亡率89%と極めて不良。
肝性脳症に対する早期挿管の是非
- Grade IV HEで早期挿管すると気道保護のメリットがあると考えられてきたが、
- 2日以内に挿管した群の死亡率40% vs 非挿管群19% というデータがあり、「本当に早期挿管が良いか?」は不明。
- 実際には、肝予備能が極度に悪い症例ほど挿管されやすいバイアスもあり、単純な因果関係とは言えない。
ARDSにおける換気戦略
- 一般ICUと同様に、
- 一回換気量 6 mL/kg PBW
- Pplat <30 cmH₂O
を目標とする低容量換気が推奨される。
- ARDSでない場合は、10 mL/kgでもPplat <25であればアウトカム差はないとする報告もあるが、肝硬変では循環動態が不安定なことが多いため、心拍出への影響も考慮しつつ肺保護換気を優先するのが無難とされている。
HRS-AKI治療
- テリプレッシン+20%アルブミンが第一選択:
- テリプレッシン:持続静注がボーラスより有害事象(虚血・肺水腫)が少ない。
- 完全奏効(sCrが0.3 mg/dL以内まで戻る)は約32–70%と報告。
- ACLFにおけるHRS-AKIでは、ノルエピネフリン単独よりテリプレッシンの方が予後良好というデータもある。
RRT導入のタイミングとモダリティ
- 導入を検討する要因:
- CRRT(CVVHDF, SLED)の利点:
- 血行動態が安定しやすく、ゆっくりNa補正が可能。
- 頭蓋内圧の変動を抑えられる(肝性脳症や脳浮腫の懸念がある症例で重要)。
- 一方で、生存率や腎機能回復に関してはIRRTとCRRTで大きな差はないとされるため、実際には「循環動態・脳圧・施設リソース」でモダリティを選択する。
HEだけではない神経障害
- 肝硬変+重症状態では、

HEの治療
凝固障害と出血/血栓管理
- 肝硬変は「凝固因子低下」だけでなく、抗凝固因子も低下しており、全体として再バランスされた止血状態。
- そこにAKI・敗血症・ACLF進展などが加わると、このバランスが崩れて出血にも血栓にも傾きうる。
- 重要なポイント:
- AVBでは、
- 出血源は門脈圧亢進が主体であるため、オクトレオチド/テリプレッシン・内視鏡治療・抗生剤が最優先。
- VTE/門脈血栓:
栄養療法
| 項目 | 推奨内容 | 補足・コメント |
|---|---|---|
| 基本方針 | 栄養はできるだけ早期に開始(経腸/経静脈)。 | ICUでの絶食や不要な食事制限は栄養状態を急速に悪化させるため、可能なかぎり早く投与を開始。 |
| エネルギー目標 | 1日あたり 35–40 kcal / 理想体重kg または 測定REEの1.3倍。 | ICU栄養士が中心となり、個別に必要量を算出。 |
| 食形態・回数 | 100–200 mL程度の少量・高エネルギー食を複数回に分けて投与。 | 吐き気・腹満を避けつつ、24時間トータルで目標カロリーを満たす。 |
| 経路の優先順位 | 経腸栄養が第一選択。経口摂取が十分でない場合、経鼻チューブで補助栄養。 | 食道静脈瘤があっても、経鼻・経腸チューブは安全に挿入可能とされる。 |
| 経口摂取不十分時の対応 | 48–72時間経っても必要カロリーの 50%未満 しか経口で摂れない場合 → NGチューブで補助経腸栄養を追加。 | ICU入室後に食事量を「様子見」で放置しない、というメッセージ。 |
| 経腸栄養ができない場合 | 経腸栄養が不耐(イレウス、重度の嘔吐など)の場合は、静脈栄養(TPN/PPN)を開始。 | 肝硬変だからといって特別な静脈栄養液は不要で、一般のICUガイドラインに準拠。 |
| 血糖管理 | ランダム血糖は140–180 mg/dL程度を目標。 | 厳格なノーマル血糖(<110など)を追いかけると低血糖リスクが高いため、やや緩めを推奨。 |
| 微量栄養素 | 微量栄養素の評価と補充が必須。 | 欠乏は神経症状や免疫低下に直結する→別に表記 |
| 肥満患者 | 急性期にはカロリー制限をしない。回復期には 25–30 kcal/kg/日,蛋白2.0 g/kg/日 を目安。 | 肥満でも「栄養はいらない」わけではなく、重症期にはむしろ栄養支持が重要。 |
| BCAAベースの栄養 | 重症肝硬変ICUでの BCAA強化栄養の役割はまだ検討中。 | サルコペニアや高アンモニア血症の理論的背景はあるが、臨床アウトカムへの影響は限定的との記載。 |
| その他の注意 | 入院中の内視鏡・出血などで経腸栄養が中断されがちなので、**中断時間を最小限にする工夫(中断後速やかに再開)**が必要。 | HE、出血、手技のために「絶食」が続くと、栄養状態がさらに悪化する。 |
重症肝硬変患者における微量栄養素欠乏と補充の考慮ポイント
| 微量栄養素 | 推奨摂取量(RDA) | 欠乏リスクが高い集団 | 主な臨床症状・所見 | 肝集中治療における補充のポイント |
|---|---|---|---|---|
| ビタミンA | 3,000 U/日 | 胆汁うっ滞性肝障害(肝外胆道閉塞、肝内胆汁うっ滞など) | ・ビタ斑(Bitot’s spots) ・角膜乾燥 ・進行例で夜盲 | 経口で 10,000 U/日程度を投与し、血中濃度の改善を目安に調整する。腎機能障害がある場合は蓄積に注意。 |
| ビタミンD | 600 U/日 | 胆汁うっ滞性肝疾患 | ・骨代謝異常 ・低カルシウム血症 ・筋痙攣 ・テタニー | 25(OH)ビタミンDを測定して評価する。欠乏時はビタミンD₃ 60,000 IU を週1〜3回経口で補充。重度欠乏では注射製剤も選択肢となる。 |
| ビタミンE | 15 mg/日 | 胆汁うっ滞性肝疾患 | ・小脳失調 ・末梢神経障害 ・溶血性貧血 ・筋症 | 表内に具体的な補充量は記載なし。胆汁うっ滞例で欠乏しやすく、神経症状や溶血の背景として念頭に置く。 |
| ビタミンK | 90–120 μg/日 | 胆汁うっ滞性肝疾患、慢性栄養不良 | ・易出血性 ・表在性出血 ・紫斑 ・点状出血 | 胆汁うっ滞では経口ビタミンKで補充可能。G6PD欠損症では静注ビタミンKが溶血を誘発し得るため注意。 |
| チアミン(ビタミンB1) | 1.1–1.2 mg/日 | 慢性アルコール摂取、不良な食事、栄養不良、利尿薬による尿中喪失 | ・嘔吐 ・脚気 ・ウェルニッケ‐コルサコフ症候群 ・悪心 ・欠乏後 2週間程度で症状顕在化 | 肝不全でICU管理中の患者では、全例に静注100 mgを8時間ごとに投与すべきとされる。その後は経口補充へ移行。 |
| ビタミンB12 | 2.4 μg/日 | 慢性アルコール摂取、悪性貧血、腸管吸収障害、菜食主義 | ・巨赤芽球性貧血 ・口周囲・手指・指関節の皮膚色素沈着 ・末梢神経障害 ・脊髄亜急性連合変性 | 葉酸とB12は併用補充が推奨される。経口・注射いずれも有効。シアノコバラミン、メチルコバラミンのどちらでも良い。 |
| 葉酸 | 400–800 μg/日 | 低摂取、腸肝循環低下、肝貯蔵減少、尿中喪失増加 | ・巨赤芽球性貧血 ・舌炎 | 巨赤芽球性貧血の患者、およびアルコール摂取歴のある患者では全例で補充を考慮する。B12欠乏のマスクに注意。 |
| 亜鉛 | 8–15 mg/日 | 低栄養、低アルブミン血症、尿中喪失増加 | ・口角炎 ・皮膚炎 ・創傷治癒遅延 ・インスリン抵抗性 | 亜鉛欠乏は味覚異常・創傷治癒遅延・免疫低下の原因となる。補充量の目安は元素亜鉛として 50 mg/日。 |
| セレン | 50 μg/日 | アルコール性肝疾患、肝細胞癌 | ・ミオパチー ・心筋症 ・脱毛 | 表に具体的な補充レジメン記載はないが、欠乏時には心筋・筋障害や脱毛の原因となりうるため評価を考慮する。 |
| 銅 | 500–900 μg/日 | アルコール性肝疾患、代謝関連肝疾患(MAFLDなど) | ・汎血球減少 ・創傷治癒不良 ・末梢神経障害 ・運動失調 | 具体的な補充量記載はないが、血球減少や創傷治癒不良の原因として銅欠乏を念頭に置き、必要に応じ補充を検討する。 |
ALFとACLFの違いを解説して、それらの集中治療について解説した総説。ALFとACLFの違いを理解しやすい。
急性肝不全(ALF)や慢性肝不全急性増悪(ACLF)の全体像は以下の図の通り。

Fig2の左側はALFに関するまとめ。
- 正常肝に急性の原因(薬剤、ウイルス、虚血など)が加わる
- その結果、
- 肝機能検査異常
- INR ≥1.5
を満たした段階がALI(acute liver injury)と定義される。
- ALIに肝性脳症が加わると ALF(acute liver failure)となる
- ALFになると、
- 進行性の脳浮腫・頭蓋内圧亢進
- 多臓器不全
- 緊急肝移植(ELT)が必要となる状態
などに進展しうる
Fig2の右側は、慢性肝疾患(肝硬変)を背景とした経路。
- 非代償性肝硬変患者が、
- 感染
- 消化管出血
- アルコール性肝炎
- B型肝炎再活性化
などを契機に急速に全身状態が悪化し、ACLFに進展しうる。
- 非代償性肝硬変+急性イベントにより、
- 高い感染リスク
- 代謝異常
- 神経学的障害(肝性脳症)
- 急速に進行する多臓器不全
を呈する症候群がACLFである。
- ACLF患者の28日死亡率は23〜89%と非常に高く、臓器不全の数・重症度によって層別化される。
- ACLFの診断・重症度分類には、欧州CLIFコンソーシアムによる臓器不全基準とスコアリングがよく検証されている。
(このスコアリングについては次の総説で紹介します)
Fig 2を表にまとめると以下のようになる。
| 項目 | 急性肝障害〜急性肝不全(ALI / ALF) | ACLF(急性発症の慢性肝不全) |
|---|---|---|
| ベースライン肝 | 基本的に正常肝 | 慢性肝疾患・肝硬変(代償性〜非代償性) |
| トリガー | 薬剤(アセトアミノフェン、DILI)、ウイルス性肝炎、虚血性肝炎、熱中症など多彩 | 感染、アルコール関連肝炎、HBV再活性化、消化管出血などが主要トリガー |
| 中間段階 | ALI:肝血液検査異常+INR ≥1.5 の段階。ここでLTセンターへの転送を考慮。 | 急性増悪(acute decompensation):感染や出血を契機に、腹水・黄疸などの症状が悪化し、ACLFへ進行しうる状態。 |
| 重症段階の定義 | ALF:ALIに肝性脳症(EH)が加わった状態。 | ACLF:非代償性肝硬変に急性の原因が加わり、多臓器不全(肝、腎、脳、呼吸、循環、凝固など)を伴う症候群。 |
| 代表的な臓器不全 | 肝性脳症(EH)、脳浮腫・頭蓋内圧亢進、循環不全、AKI/CRRT必要性などが顕在化。 | 感染、ショック、腎不全(HRS-AKI含む)、重症肝性脳症(EH)、呼吸不全(PaO₂/FiO₂低下)、凝固障害などを組み合わせた臓器不全の集積。 |
| ICU転送のタイミング | ALI(INR ≥1.5)でLTセンターへ転送 → ALF(脳症出現)でICU管理が必要。 | 脱代償肝硬変+感染・出血などでACLFリスクがあればICU/専門肝ICU転送を検討。 |
| 予後と治療の要 | 病因診断と特異的治療+ELT適応評価。ELT不可例では高容量血漿交換など。 | ACLF grades 2–3では28日死亡率が高く(13〜43%など)、唯一の根治的治療は迅速な肝移植。 |
個別化されたゴール設定(Goals of care)
- ACLF患者のICU死亡率はかつて36–86%と非常に高かったが、ACLFの定義とスコアリングの確立、早期肝移植の導入により近年は改善している。
- ACLF grade 2–3でも、経験豊富なセンターでは肝移植の対象とされる。一方、ICU入室から5–7日間の集中的治療後も改善が乏しい症例では、「治療の無益性(futility)」を家族・チームとともに検討することが推奨される。
- ALI(INR≧1.5)段階で肝移植センターへ転送し、ALFへ進展した場合は肝移植適応や血漿交換の有無を含めた集中治療方針を検討する。
- アルコール関連ACLFでは、依存症専門医による再飲酒リスク評価を行い、リスクが低いと判断されれば、ICU入室中でも早期肝移植へ“fast-track”する選択肢がある。
※日本ではない
ACLFについて
ACLFの誘因と基本戦略
- 主な誘因:
- 細菌・真菌感染(特にSBPと肺炎)
- アルコール関連肝炎
- B型肝炎再活性化
- 消化管出血 など。
- 治療の柱は、
- 誘因の迅速な診断・治療
- 各臓器不全に対する集学的臓器サポート
- 肝移植の迅速な評価・手配
感染症対策
- ACLF患者の約60%が28日以内に感染を合併し、その多くが予後不良に直結する。
- 抗菌薬は地域の耐性菌状況に即した広域薬を初期に用い、菌同定後は速やかにde-escalationする。
- MDROコロナイゼーションの有無を、直腸・鼻腔スワブで定期スクリーニングし、培養陰性でも48時間経過後にはその情報を踏まえて抗菌薬を絞る。
- GM-CSFの投与は一部で有望な結果があるが、現時点で一般的推奨とするにはエビデンス不十分とされる。
アルコール関連肝炎合併ACLF
- ステロイド治療のLilleスコア>0.45(7日目)では非反応とみなし中止する。ACLFの存在はステロイド反応性を低下させる。
- ステロイド非反応群は極めて予後不良であり、再飲酒リスクが許容できれば早期肝移植を優先的に検討する。
消化管出血・静脈瘤出血
- 基本治療:
- INRは肝細胞機能の指標としては有用だが、実際の止血能とは必ずしも相関せず、ルーチンな凝固異常補正(FFPなど)は推奨されない。必要に応じてフィブリノゲン値やVET(TEG/ROTEM)で評価する。
- 10–15%の症例では内視鏡+薬物治療に抵抗性の出血があり、従来はSengstaken-Blakemoreバルーンが用いられたが、挿入困難・重篤合併症(誤挿入など)・抜去後再出血が多い。
- ランダム化試験により、自己拡張型被覆食道ステントは、バルーンに比べ止血率が高く合併症が少ないことが示され、TIPSや移植までのブリッジとして有用である(7–14日留置可能)。
特定臓器不全への対応
- ショック
- 脳機能障害・肝性脳症
- できるだけ鎮静を最小限にし、標準治療(ラクツロース+リファキシミン)を行う。
- 神経学的に他の原因が疑われる場合は、頭部CTを施行し鑑別する。
- 人工肝補助装置(MARS等)は、ACLFでの生存改善効果が示されておらず、現時点では標準治療ではない。
- 腎障害(AKI・HRS-AKI)
- AKI診断はICA/ADQIの定義(Cr 0.3 mg/dL上昇、または50%以上上昇、尿量低下など)を用いる一方、ACLFの「腎不全」はCr>2 mg/dLと定義され、両者の違いを理解して運用する。
- HRS-AKIとATNの鑑別が難しい場合、uNGAL<220 μg/g CrならATNを否定的に示唆する。
- HRS-AKIが疑われれば、テルリプレシン+アルブミンを速やかに開始し、エコーなどで循環動態・体液量を評価する。テルリプレシンは後負荷を増大させるため、心機能が低下した症例では慎重投与が必要。
- 反応不良例では、一般ICUと同様の基準で腎代替療法導入を検討し、多くは血行動態の面からCRRTが選択される。
- 呼吸管理・腹水
- 人工呼吸の設定自体は一般ICUと同様、肺保護戦略を基本とする。
- 緊満性腹水が呼吸状態を悪化させる場合は、大量腹水穿刺により横隔膜挙上を軽減する。
ALFについて
定義と臨床的意義
- ALl(acute liver injury):肝機能検査異常+INR≧1.5
- ALF:ALIに加え肝性脳症が出現した状態
- ALIになった時点で肝移植センターへの転送を行い、ALFへ進行した場合はICU管理が必要となる。
- 適切な治療とELT導入により、ALFの予後は大きく改善し、「治癒可能な疾患」となってきている。
病因検索
| 原因カテゴリ / 病因 | 臨床像(フェノタイプ) | 主な検査 | 肝組織の特徴 |
|---|---|---|---|
| ウイルス性肝炎(HAV, HBV, HCV, HEV) | 流行状況や曝露歴がある。倦怠感・発熱・下痢などウイルス性前駆症状。AST/ALT・INRが高度に上昇する。 | IgG・IgM抗体価、定量PCRによるウイルス量測定。 | 肝細胞の広範〜亜広範壊死(massive / submassive)、リンパ球浸潤。B型の再活性化では線維化の程度がさまざま。免疫染色でウイルス抗原を確認。 |
| 上記以外のウイルス(HSV, VZV, CMV, EBV, アデノウイルス, パルボB19 など) | 多くは免疫不全患者。HSV/VZVでは発熱と皮疹。全身播種感染・多臓器不全を伴いやすい。 | IgG・IgM抗体、定量検査PCR | 肝細胞の広範〜亜広範壊死、核内などのウイルス封入体。免疫染色でウイルス抗原を証明。 |
| アセトアミノフェン過量 | 若年者の自殺企図としての大量服用、あるいは偶発的な過量。代謝性アシドーシスと急性腎障害(AKI)を伴いやすい。 | 血中アセトアミノフェン濃度測定。 | 中心静脈域(小葉中心)優位の凝固壊死がびまん性に連続してみられる。 |
| Wilson病 | 若年発症。神経・精神症状の既往。Coombs陰性溶血性貧血。ビリルビン高値+ALP低値。トランスアミナーゼは中等度上昇でAST/ALT比が高い。 | 12–24時間尿中銅排泄増加、交換可能銅分画の増加、血清銅低値・セルロプラスミン低値。 | 大滴性脂肪化、グリコーゲンに富む核、線維化の程度はさまざま。 |
| 低酸素性肝炎(ショック肝) | うっ血性心不全や重症ショックの既往。AST/ALTおよびINRが急激に上昇し、その後急速に改善。回復期に一過性のビリルビン上昇。他臓器障害の所見をしばしば伴う。 | 他の急性肝不全原因を除外し、肝血流・血管の解剖学的異常がないか確認。 | 小葉中心帯優位の壊死が主体。 |
| 熱中症関連ALF | 高体温(>40℃)。激しい運動や熱波などの過度の身体負荷歴。コカインやMDMAなどのレクリエーション薬物使用を伴うことがある。AST/ALT・INRが非常に高く、横紋筋融解を合併しやすい。 | 他の原因を除外し、肝血管の形態・血流が保たれているか確認。 | 小葉中心帯優位の壊死(ショック肝に類似)。 |
| 急性 Budd–Chiari 症候群 | 骨髄増殖性腫瘍など血栓傾向の基礎疾患。腹痛、圧痛を伴う肝腫大と腹水。 | 超音波で肝静脈うっ血像、画像検査で静脈血栓(肝静脈/下大静脈)を確認。 | 中心静脈の拡張・うっ血像が主体。 |
| HELLP症候群(妊娠高血圧腎症関連) | 先行する子癇前症の既往。Coombs陰性溶血、トランスアミナーゼ高値、血小板減少。重症例では肝破裂へ進展しうる。 | 他のALF原因を除外することが重要。 | 微小血管内フィブリン沈着、好中球浸潤、脂肪変性、小葉壊死、門脈周囲出血などが混在。 |
| 妊娠急性脂肪肝(AFLP) | 妊娠後期にみられる腹痛・嘔吐、腹水。高度の凝固障害と脳症。口渇・多飲多尿を伴うことがある。 | Swansea基準を用いた臨床診断が標準。 | 小滴性(微小)脂肪化が特徴。 |
| 自己免疫性肝炎急性発症型 | 若年女性に多い。他の自己免疫疾患の既往を伴うことが多い。トランスアミナーゼおよびビリルビン高値。腹水を伴う亜急性経過をとることもある。 | γグロブリン高値。自己抗体陽性(ただし約半数では陰性)。 | 小葉中心性〜広範な壊死、リンパ形質細胞浸潤、interface hepatitis、線維化の程度は多様。 |
| 薬剤性肝障害(DILI) | 特定薬剤・サプリメントなどの曝露歴。急性〜亜急性の臨床経過。肝障害パターン(肝細胞障害型、胆汁うっ滞型、混合型など)はさまざま。 | 他のALF原因を系統的に除外。疫学情報(暴露薬剤、期間)を重視。 | 炎症性壊死パターン。しばしば広範〜亜広範肝細胞壊死とリンパ球主体の炎症浸潤。 |
| 悪性腫瘍浸潤(リンパ腫など) | 主に悪性リンパ腫、稀に上皮性腫瘍。発熱、胆汁うっ滞型肝障害(ALP/γ-GTP優位)、肝腫大とリンパ節腫大。 | 肝生検が診断の決め手。 | 類円形で異型性の強い腫瘍細胞が類洞内にびまん性に浸潤。 |
集中治療上のポイント
- 循環管理
- 炎症・敗血症により低血管抵抗+高心拍出量のショックを来しやすいが、過度の輸液は脳浮腫を悪化させるため注意が必要。
- 腎代替療法と高アンモニア血症
- 凝固異常
- PT/INRは著明に延長しても、全体としては「リバランス」された凝固状態であり、予防的なFFP大量輸血は推奨されない。
- 感染・真菌症
- 早期からの抗菌薬・抗真菌薬使用と標準的感染対策が必要。Candidaを中心とした侵襲性真菌症が約1/3に発生し、高い死亡率と関連する。
- N-アセチルシステイン(NAC)
- アセトアミノフェン以外のALFでも、脳症grade I–IIの段階でNAC投与により移植回避率が向上すると報告されており、本論文でも全てのALF早期例で投与を推奨している。深昏睡例では追加効果が乏しく、中止される。
脳浮腫・頭蓋内圧亢進への対応
- かつては硬膜外圧センサーによる侵襲的ICPモニタリングが行われていたが、合併症もあり、近年は多くのセンターで
- 経頭蓋ドップラーによる脳血流評価
- 視神経鞘径測定
を組み合わせた非侵襲的モニタリングに移行している。
- ICP上昇時の治療:
血漿交換
Prognosis algorithms for acute decompensation of cirrhosis and ACLF
肝硬変の急性増悪とACLFの予後判定アルゴリズムに関する総説。
肝硬変のステージとAD/ACLFの位置づけ
- 肝硬変は、長期間無症候で生活の質も保たれ予後良好な代償期(compensated)と、腹水・出血・脳症・黄疸・感染などの合併症が出現する非代償期(decompensated)に分けられる。代償期の中央値生存は12年以上だが、非代償化後は2〜4年に短縮する。
- 近年、非代償期の中でも、
- 「最近発症した腹水・脳症・消化管出血」などを呈する急性非代償化(acute decompensation, AD)と、
- ADに多臓器不全を伴うACLF
という2つの臨床フェーズが強調されるようになった。
- MELDスコアは安定した重症肝硬変の移植優先度決定に大きく寄与したが、近年は病因の変化などにより予測能が低下し、MELD-Na・MELD 3.0などが提案されている。
- しかしADやACLFでは短期死亡が高く(多くの研究で数十%)、MELDやMELD-Naの予測精度は十分ではないため、AD/ACLF専用の予後スコアが必要とされ、過去15年で多くの新規スコアが生まれた
ACLFのない急性非代償化(AD)の予後スコア:CLIF-C AD
スコア開発(CANONIC研究)
- CLIF-C ADスコアは、CANONIC研究(欧州29センター、肝硬変AD患者1349例の前向き研究)から開発された。うち1016例がACLFなしのADであり、その予後因子解析がベースとなっている。
- 主な肝硬変の原因はアルコール・C型肝炎で、現実的な日常診療を反映した集団である。
- 多変量解析から、
- 年齢
- 血清ナトリウム
- 対数変換白血球数(全身炎症の反映)
- クレアチニン(腎機能)
- INR(凝固機能)
の5項目が90日死亡の最良予測因子として特定され、これを組み合わせてCLIF-C ADスコアが構築された。
予測性能
- CLIF-C ADスコアのC-indexは
- 90日死亡:0.74
- 6ヶ月死亡:0.71
- 1年死亡:0.67
と、Child-Pugh(0.63〜0.65)、MELD、MELD-Naより有意に高かった。
- カットオフとして
- <45:低リスク(全体の死亡率より5倍低い)
- >60:高リスク(ACLF grade 1に匹敵する死亡率)
が示され、リスク層別化に有用である。
- 一部患者では、入院後48時間、3–7日、8–15日の経時的評価も行われ、スコア悪化は予後不良と相関し、1年死亡予測の精度も向上した。
外部検証と現実的なパフォーマンスの揺らぎ
- ロンドン・バルセロナ 225例の検証コホートでは、90日死亡でCLIF-C ADがChild-Pugh・MELDより優れていたものの、有意差は90日に限られた。
- 中国Ningboコホート(AD 1245例、HBV 67%)では、ベースラインおよび経時的CLIF-C ADが、28日・90日・180日・365日死亡のいずれでもChild-Pugh・MELD・MELD-Naより高いC-indexを示し、病因(HBV主体)による予測能の低下はみられなかった。
- ブラジルの前向きコホート(266例)では、
- CLIF-C AD高値群ほど入院中の新規合併症(90% vs 70% vs 49%)や90日死亡(62% vs 22% vs 10%)が高く、カットオフ45と60が良好な層別化に使えることが確認された。
- 一方、別のブラジル単施設95例やギリシャ104例、ポルトガル577例などでは、
他の臨床シナリオでの応用
- 静脈瘤出血
- 術前TIPSと術後ACLF
- 外科手術を予定した肝硬変患者で、TIPSなし45例 vs TIPSあり45例を比較した後ろ向き研究では、
- CLIF-C ADスコア高値(>45)、手術の侵襲度、TIPSなしであることが術後90日ACLF発症の独立因子であった。
- TIPSあり群では、CLIF-C AD>45でもACLF発症率が有意に低く、「CLIF-C AD>45なら術前TIPSを考慮」という戦略を支持するデータとなった。
- 外科手術を予定した肝硬変患者で、TIPSなし45例 vs TIPSあり45例を比較した後ろ向き研究では、
CLIF-C ADの限界
- 元のCANONICコホートですら90日死亡予測の誤分類が26%存在し、完全ではない。
- スコア45〜59の「グレーゾーン」に全体の約半数が含まれ、治療方針の明確な分岐点としては解釈しにくい。
アジアのACLF予後スコア
AARC ACLFスコア
- APASLは2009年にACLF定義を提示し、2019年にAARCデータベース(15カ国43施設、5228例)にもとづくアップデートを行った。
- AARCスコアの構成要素:
- 各項目を1〜3点にスコア化し、合計5〜15点。
- 開発コホート480例、検証コホート922例で28日死亡AUROC 0.80、検証群でも0.78と良好な成績。
- 点数別グレード:
- 5–7点(Grade I):28日死亡 12.7%
- 8–10点(Grade II):45%
- 11–15点(Grade III):86%
- Day 4・Day 7のスコア変化も重要で、グレードの上昇は死亡率増加、グレード低下は予後改善と相関する。
- ICUの大規模データベース(MIMIC III)での検証では、AARCスコアの28日死亡AUROCは0.75でChild-Pughより優れたが、MELD・CLIF-SOFA・CLIF-C ACLF-lactateとの有意差はなかった。また、対象にはACLF以外の重症肝硬変も含まれている点、慢性肝疾患だが肝硬変ではない症例を含まない点などが限界とされる。
- AARCコンソーシアム3692例の前向きコホートでは、
- Day7 AARCスコアが30日死亡予測で最も高いC-index(0.872)を示し、MELD-lactate、MELD、CLIF-C ACLF、NACSELD-ACLFを上回った。
- Day7スコア>12では30日死亡率94%と極めて高く、治療限界や移植適応を判断する閾値としての意義が示唆される。
COSSH-ACLF II(HBV関連ACLF)
- 中国COSSHは、HBV感染を背景にした患者を対象に、EASL-CLIF基準よりも感度の高いHBV-ACLF定義を提案(INR≥1.5+総ビリルビン≥12 mg/dLなど)し、肝不全単独から多臓器不全までをカバーする枠組みを作った。
- COSSH-ACLF IIスコアは、
- 開発コホート954例、外部検証321例(いずれもHBV-ACLF)では、28日死亡C-index 0.826、90日0.809と、CLIF-C ACLF、MELD、MELD-Naを上回る予測能を示した。
- 別の919例HBV-ACLF集団でも、COSSH-ACLF IIは90日死亡C-index 0.739で、CLIF-C ACLF、MELD、MELD-Naより優れていた。
アジアスコアの限界
- AARC研究ではACLFの誘因としてHBV再活性化・HEV感染・薬剤性肝障害が多く、アルコールや細菌感染主体の「西洋型」と病態がかなり異なる。
- AARCスコアは主に肝障害の重症度(ビリルビン・INR・乳酸)に依存し、肺・循環・脳・腎などの臓器不全を直接スコア化していない(クレアチニンを除く)。
- 肝性脳症評価には主観が入り得ること、乳酸やクレアチニンの「高値」が一定以上だとスコアが頭打ちになり、極めて重症な患者のリスクを過小評価し得る点も課題として挙げられる。
欧州のACLF予後スコア:CLIF-SOFA / CLIF-C OFs / CLIF-C ACLF
CLIF-SOFAとCLIF-C OFs
- CANONIC研究に基づき、EASL-CLIFコンソーシアムはACLFの欧州定義と重症度分類を提示した。
- まず多臓器不全を評価するためのCLIF-SOFAが開発され、
- これを簡略化したCLIF-C OFsがACLF診断・グレード分類に用いられ、
- 0臓器不全:ACLFなし
- 1臓器不全+他臓器軽度障害など:ACLF-1
- 2臓器不全:ACLF-2
- 3臓器以上不全:ACLF-3
といったステージングを行う。図1D・1Eには臓器別の閾値が一覧化されている(p.5)。
CLIF-C ACLFスコア
- 予後予測能を高めるため、CLIF-C OFsに
- 年齢
- 白血球数(炎症マーカー)
を加えたCLIF-C ACLFスコアが開発された。
- CANONICのACLF275例でのC-indexは、
- 28日:0.76
- 90日:0.73
- 6ヶ月:0.72
- 1年:0.71
であり、CLIF-C OFs単独やChild-Pugh、MELD、MELD-Naより有意に高かった。
- フランスのICUコホート225例での外部検証でも、28日・90日死亡についてCLIF-C ACLFが他スコアを上回った。
追加知見と限界
- CANONICの追跡解析では、
- ACLF診断後28日の経過で「最終ACLFグレード」が重要。ACLF-2/3からACLFが消失してACLF-0〜1相当まで改善した症例は、当初ACLF-1だった症例と同程度にまで予後が改善する。
- 初期のCLIF-C ACLFスコアが高いほど、「その後もACLF-2/3にとどまる=重症経過」のリスクが高い。
- HBV主体のNingboコホートでも、CLIF-C ACLFはMELD系より良好な予測能を示し、特にDay4–7の再評価で28日死亡C-indexが0.869と高値を示した。カットオフ45以上では28日死亡66%と高く、「早期移植を検討すべき群」として提案されている。
- 一方で、ギリシャ・ブラジル・フランス中間ケアユニットの後ろ向き解析などでは、CLIF-C ACLFがMELD、Child-Pugh、SOFAなどに対して優位性を示さない結果もあり、対象集団や医療体制によって性能が変動することが示唆される。
- 概念的な限界として、
北米:NACSELD-ACLF
定義と予後
- NACSELDは北米14センターの肝硬変入院患者データを前向きに集積。最初は「感染を伴う肝硬変入院」を対象として解析し、
- Grade III/IV肝性脳症
- ショック(MAP<60またはSBP 40低下+十分な輸液後)
- 機械換気
- 透析/腎代替療法
の4つの臓器不全を定義した。
- これらの2臓器以上の不全をACLFと定義したところ、30日死亡は、
- 1臓器不全:27%
- 2臓器以上不全:48%
と高率であった。
- 後に感染の有無にかかわらずACLFを定義し直し、2675例のデータで解析したところ、
- NACSELD-ACLFありの30日死亡:41%(感染あり48%、なし24%)
- ACLFなし:7%
となり、NACSELD-ACLFの有無が最も強い死亡予測因子であった。
- NACSELD-ACLFモデルの30日死亡AUROCは、
- トレーニングセット:0.807
- 検証セット:0.853
と高い。
外部検証と限界
- 米国のDPCに近い大規模退院データベースを用いた検証では、約152万件の入院のうち10万件以上がNACSELD-ACLFに該当し、院内生存と強く関連、AUROCは0.77であった。
- しかし、
- すべて後ろ向き解析であること
- コーディングエラーや検査値欠損(MELD・Child-Pugh・WBCなど)
という限界が大きい。
- また、NACSELD基準に含まれる臓器不全は、すでにかなり進行した状態(昇圧剤が必要なショック、人工呼吸、透析)であり、主として**「治療の限界・futilityを判断するためのスコア」**として有用で、早期のリスク層別化には向かない可能性があると述べられている。
総合的な考察と今後の展望
- 著者らは、
- いずれのスコアも死亡予測AUROCは概ね0.7〜0.8台にとどまり、0.8を大きく超えるものはない。患者数が多い研究でも、スコア性能には頭打ちが見られる。
- その理由として、
- これら膨大なマルチオミクスデータと詳細な臨床情報を統合するには、systems medicine(システム医学)的なアプローチが必要であり、
計算機は以下
Safe use of proton pump inhibitors in patients with cirrhosis
総説ではないけど、肝硬変にPPIを使いたくなった時に見る文献。基本はエソメプラゾール。
SBP(自然発生性細菌性腹膜炎)
- 24本の観察研究と7本のメタ解析が,肝硬変患者におけるPPI使用とSBPリスクを評価。
- すべてのメタ解析で,PPI使用とSBPリスク増加の有意な関連が報告されているが,
- ORは1.2〜2.8程度と幅があり,
- 研究間の異質性も高い。
- 治療期間・用量とリスクの関係は一貫せず,
- 長期投与・高用量でリスク増加とする研究もあれば,関連を認めない研究もある。
細菌感染症全般
- 11本の観察研究と2本のメタ解析で,PPI使用と感染症リスク(院内感染など)を検討。
- あるメタ解析では,細菌感染全体のOR ≈ 2.0 と報告されている。
- 用量依存性は研究により結論が異なり,
- 「不適切高用量/禁忌投与」で感染リスクが高いとする報告もある一方,
- 用量差がリスクに影響しないとする報告もある。
肝性脳症(HE)
- 6本の観察研究がPPI使用とHEリスクを検討。
- 4本でHEリスク増加,2本では有意差なし。
- 大規模なケースコントロール研究では,
- 累積定義日数(cDDD)が多いほどHEリスクが高いという用量依存性が示唆された。
- PPI別では,最大リスク:パントプラゾール>ランソプラゾール>オメプラゾール>エソメプラゾール。ラベプラゾールは症例数が少なく有意差なし。
→このことから、
- PK的に暴露が大きく増えるPPI(ランソ・パントプラゾール)が,HEリスク増加と関連している可能性を指摘し,
- 肝硬変患者ではPPIの適応を厳密に確認し,用量と期間を最小限にして慎重にモニタリングすべきと結論

それぞれが発生する機序はこんな感じ。
Proton Pump Inhibitors in Patients with Cirrhosis: Pharmacokinetics, Benefits and Drawbacks より引用
- 肝硬変では,PPIの最大血中濃度は健常者とあまり変わらない一方で,AUCと半減期は大きく増加することが特徴である。
- 全てのPPIがCYP2C19で代謝されるが,
- 一方,エソメプラゾールはS体のみでCYP2C19依存性が比較的低く,CYP2C19多型や肝機能低下の影響を受けにくいことから,PK変化が最小限に抑えられている。
| PPI | 欧州SmPCa(製品情報) | FDAラベル |
|---|---|---|
| エソメプラゾールEsomeprazole | - 軽度〜中等度の肝機能障害患者では,エソメプラゾールの代謝が低下する可能性がある。- 重度肝機能障害患者では代謝が低下し,AUC が2倍に増加する。そのため,重度肝機能障害患者では1日最大投与量20 mgを超えてはならない。- エソメプラゾールおよび主代謝物は,1日1回投与では蓄積する傾向はない。 | - 肝機能不全(Child–Pugh A:軽度,B:中等度,C:重度)患者各4例に,エソメプラゾール40 mgを1日1回投与し,正常肝機能のGERD患者36例と定常状態薬物動態を比較した。- 軽度および中等度肝不全患者では,AUCは正常肝機能患者の範囲内であった。- 重度肝不全患者では,AUCは正常肝機能患者の2–3倍であった。- Child–Pugh AおよびB患者では用量調節は推奨されないが,Child–Pugh C患者では20 mg/日を超えるべきではない。 |
| ランソプラゾールLansoprazole | - 軽度肝機能障害患者では,ランソプラゾールへの曝露(AUC)は約2倍となる。- 中等度〜重度肝機能障害患者では,曝露はさらに大きく増加する。- 中等度〜重度肝機能障害患者は定期的なモニタリング下に置き,1日投与量を50%減量することが推奨される。 | - さまざまな程度の慢性肝機能障害患者では,ランソプラゾールの平均血漿半減期は1.5時間から3.2–7.2時間に延長した。- 定常状態における平均AUCは,健康成人と比較して最大500%増加した。- 重度肝機能障害患者では用量減量を考慮すべきである。 |
| オメプラゾールOmeprazole | - 肝機能障害患者ではオメプラゾールの代謝が低下し,AUCが増加する。- しかし,1日1回投与では薬物の蓄積傾向はみられない。- 肝機能障害患者では10–20 mg/日で十分な場合がある。 | - 慢性肝疾患患者では,静注投与と比較した経口投与のバイオアベイラビリティが約100%まで増加し,初回通過効果の低下を反映している。- 血漿半減期は正常者の0.5–1時間から約3時間に延長した。- 血漿クリアランスは正常者の500–600 ml/minから70 ml/minへ低下した。- 特にびらん性食道炎治癒維持のような長期投与では,肝機能障害患者では用量減量を検討すべきである。 |
| パントプラゾールPantoprazole | - 肝硬変(Child–Pugh AおよびB)患者では,半減期は7–9時間に延長し,AUCは5–7倍に増加したが,最大血清濃度は健康成人と比べて1.5倍の増加にとどまった。- 重度肝機能障害患者では,パントプラゾール20 mg/日を超えてはならない。- 中等度〜重度肝機能障害患者において,H. pylori除菌を目的としたパントプラゾール40 mgの併用療法は,有効性・安全性に関するデータがないため使用すべきではない。- 重度肝機能障害患者では肝酵素を定期的にモニタリングし,肝酵素値が上昇した場合には投与を中止する。 | - 軽度〜重度肝機能障害(Child–Pugh A–C肝硬変)患者では,最大血中濃度は健康成人と比較してわずかに1.5倍の増加にとどまった。- 一方で,半減期は7–9時間に延長し,AUCは5–7倍に増加したが,この増加はCYP2C19 poor metabolizer(低代謝者)における増加と同程度であり,この場合は用量調節は不要とされる。- こうした薬物動態変化は,1日1回の反復投与でも最小限の薬物蓄積にとどまる。- 軽度〜重度肝機能障害患者においては用量調節は必要ないが,40 mg/日を超える用量は検討・検証されていない。 |
| ラベプラゾールRabeprazole | - 軽度〜中等度肝機能障害患者に20 mg単回投与したところ,AUCは健康ボランティアの約2倍となり,半減期は2–3倍に延長した。- しかし20 mgを1日1回7日間投与した場合には,AUCの増加は約1.5倍,Cmaxの増加は1.2倍にとどまった。- 肝機能障害患者では半減期12.3時間(健康ボランティアでは2.1時間)であった。- 胃内pHの変化に基づく薬力学的応答は,肝機能障害群と健康群で臨床的に同等であった。- 以上より,肝機能障害患者においても用量調節は不要とされる。 | - 慢性軽度〜中等度肝硬変患者10例にラベプラゾール20 mgを単回投与した試験では,AUCは約2倍,半減期は2–3倍に延長し,全身クリアランスは健康男性と比較して半分以下となった。- 軽度〜中等度肝障害患者12例に20 mgを1日1回8日間投与した試験では,AUCおよびCmaxは健康な同年齢・同性の対照と比べ約20%の増加にとどまり,統計学的有意差はなかった。- 重度肝機能障害患者でのラベプラゾール動態に関する情報はない。- 軽度〜中等度肝障害患者では曝露増加および消失の低下が認められるが,重度肝障害患者については臨床データがないため慎重投与が必要である。 |
Management of the acute on chronic liver failure in the intensive care unit
ACLFの集中治療管理を臓器不全毎に見渡すことができる総説。
ICU入室基準とタイミング
- ACLF患者のICU死亡率は,近年の報告では同程度の重症度の非肝硬変ICU患者と同等であり,「肝硬変だからICUに入れても意味がない」という時代ではないとされる。
- 重要なのは基礎疾患ではなく,入室時の重症度と臓器不全の数である。
- 推奨されるICU入室適応:
- 血管作動薬・人工呼吸器・RRTなど臓器サポートの必要性
- 大量出血(血行動態不安定,噴水状吐血など)
- III–IV度肝性脳症に伴う気道保護の必要性
- ショック(特に敗血症性ショック)
- 一方,ICU入室を控えるべき状況:
- ACLF患者がICU適応と判断された場合,6時間以内の早期入室が望ましいとされる。
誘因
- 細菌感染はACLFの最も重要な誘因・合併症であり,
- 診断時点で約30%に既に感染があり,
- 入院中に非感染例の60%が新たに感染を起こす。
- 主な病型は
- 細菌性腹膜炎(SBP)
- 肺炎
であり,多剤耐性菌(MDRO)によるものが増えている。
- 早期発見と適切なempiric抗菌薬の早期投与が短期生存率改善に直結する。特に敗血症性ショックでは時間当たりの遅延が予後悪化につながる。
- 抗菌薬戦略:
- 真菌感染(侵襲性カンジダ症・アスペルギルス症)は頻度は低いが,死亡率>50%と極めて予後不良。
重症アルコール関連肝炎(SAH)
- 西欧ではACLFの誘因の25–40%を占める。
- NIAAA基準に基づき診断されるが,鑑別が難しい場合には経静脈肝生検も考慮。
- 感染の合併率が高く(約45%),ACLFグレードが重いほどステロイドへの反応性が低下する。
- 治療方針:
- アジアの多くの国ではHBV再活性化がACLFの最も一般的な誘因。
- 早期にテノホビル(245 mg/日)またはエンテカビル(0.5 mg/日)を開始することで短期予後が改善する。
静脈瘤出血
- 食道/胃静脈瘤出血は,時にショックを伴う大量出血としてACLFを誘発しうるが,他の誘因よりも予後が良いサブグループである可能性も示唆されている。
- 対応のポイント:
- HEや呼吸苦,大量吐血がある場合は,内視鏡前の早期挿管で気道保護を推奨。
- テルリプレシン(0.5–2 mgを6時間毎)は死亡率を減少させる。
- 内視鏡で止血困難な場合,バルーンタンポナーデ(Sengstaken-BlakemoreやMinnesota tube)や自己拡張型食道ステントをbridgeとして使用し,その後の再内視鏡やTIPSへつなぐ。
- 早期/予防的TIPS(初回出血から72時間以内)は,従来の内視鏡+NSBBに比べ,再出血と1年死亡を減少させるとの報告。
- ただし,MELD>20,Child-Pugh>13,ACLF-3ではTIPSは相対的禁忌であり,高リスク症例では個別判断。
- すべての静脈瘤出血患者に予防的抗菌薬(再出血・感染減少)が推奨される。
臓器不全ごとの管理
肝不全
- 肝不全および凝固不全は,慢性肝疾患の進展したステージを反映し,ACLFの予後に大きく関わる。
- ACLFグレード2–3で初期治療後も改善しない場合,1ヶ月死亡率>50%とされ,救命的肝移植の評価を急ぐべきと記載される。
神経学的障害(肝性脳症)
- ACLFにおける意識障害の主因は肝性脳症だが,構造病変(脳出血など),代謝異常,薬物,せん妄も鑑別に含める。
- 管理の目標:
- アンモニア測定はルーチンでは推奨されないが,非典型例の鑑別に有用。低アンモニア血症での昏睡はHE以外を疑う。
- 具体的治療:
- ラクツロース:20 gを1時間毎に投与して最初の排便を促し,以後は1日2–3回の軟便を維持するよう調整。NGチューブや浣腸も可。
- リファキシミン:ラクツロース併用でHEイベントや入院を減少させ,死亡率・在院日数も減ったとするRCTあり。
- PEG-3350などのポリエチレングリコール製剤もラクツロースより速やかなHE改善と入院短縮の可能性。
- L-ornithine L-aspartate / ornithine phenylacetate などのアンモニアスカベンジャーが試験中。
- 鎮静:
呼吸不全
- 呼吸器合併症は
- 肺炎,ARDS,肺水腫,肝性胸水
- 肝肺症候群,門脈肺高血圧症
に大別される。腹水・胸水や浮腫により胸郭コンプライアンス低下も生じる。
- 管理の基本:
循環不全・ショック
- 肝硬変では,末梢・内臓血管の拡張により「有効循環血漿量」が低下した高心拍出・低SVRの高拍出状態となる。
- さらにACLFでは炎症が加わり,循環不全が顕在化する。加えて約40–50%に肝硬変性心筋症(特に拡張機能障害)が存在する。
- 評価と管理:
- ベッドサイドTTEで前負荷,心機能,ショックの型(低容量 vs 血管拡張 vs 心原性)を評価。
- 中心静脈カテーテルはCVP測定と血管作動薬投与ルートとして利用されるが,静的指標よりも動的指標(心エコー,PLRなど)が優れる。
- 乳酸は肝・腎でのクリアランス低下でも上昇するため,単回値よりも推移(クリアランス)を見る。
- 輸液:
- 初期は晶質液が第一選択。
- 肝硬変に特有の適応(SBP,HRS,LVP後など)では20%アルブミンが推奨。
- 血管作動薬:
- 難治性ショックでは,相対的副腎不全を考慮し,ヒドロコルチゾン200 mg/日を分割投与することがある。
- NSBBはショック・腎不全・持続低血圧時には一時中止し,代わりにソマトスタチン投与を検討。
腎不全・AKI
- AKIはACLFで最も頻度が高い臓器不全(30–75%)。
- 従来はHRSが強調されていたが,実際にはHRS-AKI,hypovolemia,ATN,薬剤性,糸球体障害など複合的である。
- 現行のHRS-AKI定義はKDIGOをベースに,
- sCr 0.3 mg/dL/48h以上の上昇,または
- sCr 50%以上の上昇
とされる。
- 鑑別:
- 尿沈渣,尿検査,尿中NGAL(>220 µg/g CrでATNを示唆)などを活用。
- 治療:
- RRT:
凝固異常・止血異常
- ACLFでは,凝固因子・抗凝固因子がともに低下した「再均衡した止血状態」となり,INRだけで出血リスクは評価できない。
- 感染・循環不全・腎不全などが加わると,このバランスが崩れて出血または血栓に傾く。
- TEG/ROTEM:
- 凝固開始,凝固速度,最大凝固強度,線溶などをリアルタイムに評価できる。
- 出血症例や侵襲的手技前の輸血指針として用いると,輸血量を大幅に減らしつつ,出血コントロールや死亡率を悪化させないことが示されている。
- 実臨床のポイント:
特殊治療:肝補助療法と早期肝移植
肝補助療法(MARS/Prometheus,TPE)
- MARSやPrometheusなどのアルブミン透析は,ビリルビンや毒素の除去により黄疸や脳症の改善が示されているが,長期生存率改善は一貫して確認されていない。
- ただし,再解析ではACLFグレード2–3に対して集中的に(≥4セッション)施行した場合の2–3週間の短期生存改善が示唆され,LTへのbridgeとしての役割が議論されている。
- TPE(血漿交換)は,ALFでは高容量TPEによる移植非施行例の生存改善が示されており,ACLFでも早期介入すれば有望な結果がいくつか報告されている。
- ただし4–6臓器不全の重症例では効果が乏しい。
- 現在,大規模RCT(APACHE trial)が進行中。
- 現時点では標準治療ではなく,高度黄疸・血管拡張ショック・腎不全・重度脳症を伴うACLF 2–3の移植候補者で,個別に検討されるbridge療法と位置づけられる。
早期肝移植
- ACLFの経過は動的であり,入室後早期の改善状況が予後を大きく左右する。
- ACLF 2–3の選択された患者に対する早期LT(listingからできるだけ早く施行)は,1年生存率約80%と良好。
- しかし,ACLF-3では:
- 待機リスト死亡率が高く,
- 術後感染や拒絶,長期臓器サポートなど術後合併症・医療コストが増大し,1年生存率<50%という報告もある。
- そのため,「移植してもほぼ救命できない」集団(too sick to transplant)を見極めるために:
- また,重症ACLFでは,DCDグラフトやsplit/生体ドナーグラフトの使用で1年生存はやや低下するものの,それでも非移植よりは明らかに有利であり,「どこまでリスクを取るか」はセンターごとの方針と患者の希望を踏まえた判断になる。
予後スコアと無益性判断
- ACLFの3つの主要定義(EASL-CLIF,NACSELD,AARC)それぞれに対応したスコアが存在する。
- Child-PughやMELD/MELD-Naは肝機能中心で,ACLFの鍵となる多臓器不全を十分に反映しないため,予後予測能力が劣る。
- CLIF-C ACLFスコア:
- 90日死亡率予測に優れ,MELD-Naより高い予測性能が示されている。
- ACLF患者の肝移植優先度を決めるツールとして,MELD-Naに代わる候補とされる。
- AARCスコア:
- 特にACLF発症7日目のスコアが短期予後の予測に有用とされる。
- いずれのスコアも診断時よりも3–7日間の完全な集中治療後に再評価した方が予測精度が高い。
- 無益性(futility)の目安:
- 3–7日目のCLIF-C ACLF≥70,あるいは臓器不全が4つ以上の場合,28日死亡率>90%。
- 肝移植の選択肢がない場合は,積極的治療を継続するか,緩和ケアへ移行するかをチーム・家族・患者で十分に話し合うべき状況とされる。
※ACLFの定義は地域によってだいぶ異なる
| 障害臓器 | APASL(Asian Pacific Association for the Study of the Liver)における臓器不全の定義 | EASL-CLIF(European Association for the Study of the Liver–Chronic Liver Failure)における臓器不全の定義 | NACSELD(North American Consortium for the Study of End-stage Liver Disease)における臓器不全の定義 |
|---|---|---|---|
| 肝臓 | 総ビリルビン ≥5 mg/dL かつ INR ≥1.5 | 総ビリルビン >12 mg/dL | ―(肝機能についての項目はなし) |
| 腎臓 | Acute Kidney Injury Network(AKIN)基準 を満たす急性腎障害 | 血清クレアチニン ≥2.0 mg/dL または 腎代替療法(RRT)の施行 | 透析またはその他の 腎代替療法が必要 な状態 |
| 脳 | West-Haven 肝性脳症グレード 3–4 | West-Haven 肝性脳症グレード 3–4 | West-Haven 肝性脳症グレード 3–4 |
| 凝固 | INR ≥1.5 | INR ≥2.5 | ―(凝固についての項目はなし) |
| 循環 | ―(循環不全の定義は設定されていない) | 血管収縮薬(テルリプレシン/カテコラミン)の使用 | ショック:十分な輸液と心拍出が保たれているにもかかわらず、平均動脈圧 <60 mmHg あるいは 収縮期血圧がベースラインから 40 mmHg 低下 した状態が持続する。 |
| 呼吸 | PaO₂/FiO₂ ≤200 または SpO₂/FiO₂ ≤214、あるいは 人工呼吸管理を要する場合 | 人工呼吸管理を要する場合 | (図では明示されていないが、NACSELD では実務上 人工呼吸管理が必要な状態 が呼吸不全に相当) |
APASL(アジア太平洋肝臓学会)
- ベース:慢性肝疾患/肝硬変
- 急性肝誘因(たとえばウイルス性肝炎,アルコール関連肝障害など)により
- 総ビリルビン ≥5 mg/dL + INR ≥1.5 の急性肝不全が起こり、
- 4週間以内に腹水や肝性脳症が出現
EASL-CLIF(欧州肝臓学会‐CLIF コンソーシアム)
- ベース:肝硬変の急性代償不全(ascites, HE, 出血, 感染などで入院)
- その際に、SOFA を改変した “CLIF-SOFA” に基づく臓器不全が1つ以上ある場合を ACLF と定義。
- 臓器不全の例:
- 肝:ビリルビン >12 mg/dL
- 腎:Cr ≥2.0 mg/dL または RRT
- 脳:HE grade 3–4
- 凝固:INR ≥2.5
- 循環:バソプレッサー使用
- 呼吸:人工呼吸器管理
NACSELD(北米コンソーシアム)
- 対象:感染などで入院した肝硬変患者
- 脳・循環・腎・呼吸のうち 2臓器以上が不全になった状態を ACLF とする,という非常にシンプルな枠組み。
Navigating the Labyrinth: Intensive Care Challenges for Patients with Acute-on-Chronic Liver Failure
ACLFの定義の違いを解説し、それによる予後の評価などについて概説。こちらも臓器不全毎の対応がまとまっている。
ACLFの概念と定義の整理
- 2002年にJalan & Williamsが「肝硬変の急性増悪+多臓器不全+高度炎症」としてACLFを提唱、その後EASL, APASL, NACSELDなどがそれぞれ定義・診断基準を出している。
- APASL
- まず「肝そのもの」に着目
- 慢性肝疾患や肝硬変(診断済・未診断を問わず)に、感染・アルコール・外傷などの急性の誘因が乗って
- ビリルビン≥5, INR>1.5, 4週以内に黄疸と腹水・脳症を来すという肝機能悪化を重視。
- EASL-CLIF
- 肝だけでなく肝外臓器不全の数と種類で定義
- 6臓器のうち1つでも不全(定義表あり)ならACLFとし、臓器不全数でGrade 1〜3に分類し、短期死亡のリスク層別化を行う。
- NACSELD
- 肝の詳細な重症度よりも、肝以外の臓器不全が2つ以上あるかに注目し、比較的シンプルな定義としている。
これらの違いにより、同じ患者集団から抽出される「ACLF患者数」が大きく変わり、28日・90日死亡率の数字も変わることが示され、「どの定義を用いるか」が臨床研究や予後推定に影響する。
重症度と予後予測(CLIF-C ACLFスコア)
- CANONIC研究は、ヨーロッパの大規模コホートでACLFを前向きに解析し、
- 臓器不全数
- 年齢
- 白血球数
などを組み合わせてCLIF-C ACLFスコアを作成。
- スコアが高い(≧64)と1か月死亡率は90%に迫ることが示され、
- 「積極治療の継続か、緩和ケアへの移行か」
- 「肝移植の適応があるか」
などの判断に役立つ「ダイナミックな予後予測ツール」として評価されている。
ICU入室基準とスコアの使い方
循環管理の実際
- 輸液
- 昇圧薬
β遮断薬(NSBB)の扱い
- 门脈圧低下・静脈瘤出血予防を目的に使用されるNSBBは、
- 腸管血流や細菌トランスロケーションの抑制を通じて炎症を減らしうる可能性がある。
- CANONICデータでは、NSBB投与中のACLF患者のほうが28日死亡率が低いという結果があり、
- 低血圧・腎不全が顕著な例を除き、自動的に中止する習慣は見直すべきと示唆している。
AKI/HRSとRRTのタイミング
- ACLFにおけるAKIは、
- 前負荷低下
- HRS(腎血管収縮)
- 薬剤性腎障害
- 敗血症性AKI
の複合であることが多く、早期の循環評価と原因同定が重要。
- HRS-AKIでは、
- RRT開始タイミングについて、
- 「全員をAKI IIの時点で早期透析」→有害イベント増加・生存利益なし
- 「AKI IIIまで待つが、72時間以上だらだら様子を見る」と、実際にはほとんどの症例が透析に至り、開始遅延群で死亡率悪化
- 結論としては、
- 回復が見込める軽症例には「待つ」
- しかし、いずれ透析が不可避と予測される例では、合併症が増える前に早期に開始した方がよい
という「個別化戦略」を支持している。
感染症管理・抗菌薬戦略
- 抗菌薬は「時間との勝負」であり、低血圧発症後の投与遅延は死亡率を直線的に悪化させる。
- 一方で、多剤耐性菌・真菌感染が増加しているため、
HEと脳の反応
- ACLFでは、アンモニアだけでなく、炎症・電解質異常・BBB障害など多因子がHEに関与する。
- ラクトロース+リファキシミンが標準。PEGやLOLAはHE改善スピードや短期転帰に有望な結果もあるが、
- 大規模試験での死亡率改善はまだ示されていない。
- 肝補助デバイスはアンモニア低下・HE改善には役立つが、根本的な生存利益にはつながっていない。
凝固管理とVETの活用
- ACLFでは、INR↑, 血小板↓だからといって「すぐ出血する」というわけではなく、
- vWF↑, FVIII↑, ADAMTS13↓により、むしろ微小血栓形成が起こりやすい環境にもなっている。
- したがって、
肝補助デバイスと肝移植
- ELAD, MARS, Prometheusなどの試験では、
- ビリルビン低下やHE改善などの短期の生化学的改善は得られるが、
- 28日・90日生存率では標準治療と差が出ない。
- 著者らは、
- 「肝移植までのブリッジとして選択的に使う余地はある」
- しかし「透析のような長期生命維持としての役割はまだ証明されていない」
と総括している。
- 肝移植の「無益性」をどう定義するかについて、
- ICUで高度循環・呼吸・感染サポートを要する状態で、どこまで移植を行うべきか、
- 統一基準はまだなく、今後の課題とされている。
| 項目 | EASL | APASL | NACSELD |
|---|---|---|---|
| 定義 | 既存の肝疾患の急性増悪が、しばしば何らかの誘因を契機として起こり、臓器不全により 4 週間死亡率が上昇する状態。 | 既知/未知の慢性肝疾患において、4 週以内に黄疸と止血異常をきたし、腹水/肝性脳症を合併し、高い 4 週死亡率を伴う急性肝機能悪化。 | 肝硬変の有無を問わない慢性肝疾患で、治療しなければ 3 か月以内に死亡に至る状態。 |
| 肝不全の基準 | ビリルビン > 12 mg/dL | ビリルビン > 5 mg/dL かつ INR > 1.5 または プロトロンビン活性 < 40% | 特に規定なし(Not specified) |
| 肝外臓器不全の基準 | 腎:Cr ≥ 2.0 mg/dL または透析脳:West Haven HE グレード 3–4循環:いかなる血管作動薬使用呼吸:PaO₂/FiO₂ ≤ 200 mmHg、SpO₂/FiO₂ ≤ 214、または人工呼吸管理 | 腎:透析脳:HE グレード 3–4循環:ショック(MAP < 60 mmHg)呼吸:人工呼吸管理 | 腎:透析脳:HE グレード 3–4循環:ショック(MAP < 60 mmHg)呼吸:人工呼吸管理が必要 |
| 急性増悪の主な誘因(acute insult) | 主に アルコール と 細菌感染 | 主に ウイルス性急性感染 | 主に 細菌感染(詳細な規定なし) |
| 急性増悪の時間枠 | 特に規定なし | 4 週間以内 | 3 か月以内 |
| 重症度評価スコア | CLIF-SOFA スコアを使用 | 特定のスコア指定なし | 特定のスコア指定なし |
| ACLF グレード | 臨床像(EASL 基準) |
|---|---|
| No ACLF | 臓器不全なし、または「腎以外」の単一臓器不全のみ。血清クレアチニン < 1.5 mg/dL。肝性脳症(HE)なし。 |
| ACLF Grade 1 | 以下のいずれか:・単一の腎不全(renal failure)・腎以外の単一臓器不全かつ Cr 1.5–1.9 mg/dL・腎以外の単一臓器不全 + HE グレード 1–2 のいずれか/合併。 |
| ACLF Grade 2 | 2 つの臓器不全を有する。 |
| ACLF Grade 3 | 3 つ以上の臓器不全を有する。 |
| ACLF 分類 | 28 日死亡率 | 90 日死亡率 | 180 日死亡率 |
|---|---|---|---|
| No ACLF | 10% | 24% | 38% |
| ACLF Grade 1 | 21% | 42% | 47% |
| ACLF Grade 2 | 57% | 74% | 79% |
| ACLF Grade 3 | 87% | 95% | 96% |
AASLDからのACLFガイドライン。
ACLFの最低限の定義要素の提案
- 地域ごとにAPASL / EASL-CLIF / NACSELD など複数定義があり混乱しているため、以下3点を「最低限の必須要素」として提案:
- 慢性肝疾患(肝硬変の有無は問わない)における急性発症・急速な全身状態悪化
- 高ビリルビン+INR延長によって定義される肝不全
- 少なくとも1臓器の「肝外臓器不全」(神経・循環・呼吸・腎のいずれか)
ACLFの予後:短期死亡率は高く、臓器不全数が決定因子
- ACLF発症後の28日死亡率は30〜50% に達し、臓器不全の数と重症度が主要な決定因子。
- 一般的な肝硬変予後スコア(MELD, MELD-Na)は肝機能には敏感だが、肝外臓器不全を十分に反映できず、ACLFの死亡リスクを過小評価しうる。
ACLF専用スコアの推奨(NACSELD, CLIF-C, AARC など)
- NACSELD-ACLFスコア:高度の肝外臓器不全(脳・腎RRT・呼吸器・循環ショック)+年齢・MELD・WBC・アルブミン。
- CLIF-C ACLF:肝・肝外臓器不全に加え年齢・WBC。入院時〜7日目まで逐次計算可能。
- AARCスコア:総ビリルビン・Cr・INR・乳酸・HEグレード。
- これらACLFスコアはMELDやICUスコア(SOFA等)より短期死亡の予測性能が高く、ACLF・重症肝硬変患者の予後評価にはこれらを優先すべき
臓器別マネジメント
脳:HE・意識障害
- 鑑別診断の徹底
- アンモニア測定
- 治療
- 鎮静・鎮痛
循環:ショック・血行動態管理
- 病態の特徴
- 肝硬変では、腹腔内血管拡張を中心とした低SVR・高心拍出。ACLFでは炎症が加わり、さらに顕著になる。
- 評価
- 身体所見に加え、POCUS/TTEで
- IVC径・呼吸性変動
- 左右心機能
- 収縮能・心拍出
を評価し、hypovolemiaかvasodilatationか、あるいは心原性要素が強いかを判断。
- 身体所見に加え、POCUS/TTEで
- 輸液・アルブミン
- 血管作動薬・MAP目標
- 副腎不全とステロイド
- 相対副腎不全は非重症入院肝硬変でも約半数で認め、感染・ショック・循環不全のリスクを高める。
- 高用量ノルアドレナリンを要する難治ショックでは、ヒドロコルチゾン200mg/日(50mg q6hまたは持続投与)を推奨。
呼吸:HFNC・NIV・人工呼吸
- 肝疾患特有の要因
- HPS:シャントによる低酸素血症
- POPH:肺高血圧と右心負荷、重症例はLT禁忌
- 肝性胸水・緊満腹水:肺・胸郭コンプライアンス低下
→ これらを評価し、胸腔穿刺・腹水穿刺・肺血管拡張薬などを組み合わせる。
- HFNC・NIVの位置づけ
- 人工呼吸(ALI/ARDS)
- ALI/ARDSでは
- 一回換気量:6 mL/kg PBW(非ARDSなら6–10 mL/kg PBW)
- プラトー圧<30 cmH₂O
- 軽症ALI:低PEEP戦略(<10 cmH₂O)
- 中等症〜重症:高PEEPも検討しつつ、血行動態悪化に注意
といった「lung protective ventilation」を推奨。
- ALI/ARDSでは
腎:AKI / HRS-AKI
- AKIのフェノタイプをPRA / ATN / HRS-AKIに分け、
- 尿沈渣・蛋白・血尿・円柱などで構造的病変を疑う
- NGALやFENa・FEUreaなどバイオマーカーも参考にATNと機能的AKIを鑑別。
- HRS-AKIの診断は
- 48時間以内のCr上昇≥0.3 mg/dL または基準値から50%以上上昇
- 造影剤・ショック・明らかな腎実質疾患の否定
- 肝硬変+腹水を伴うこと
などICA基準に基づく。
- 治療のステップ
感染症マネジメント
- 疫学とリスク
- ACLF誘因としての感染は約半数。院内感染・MDR菌・真菌感染が増加しており、MDR菌は培養陽性の少なくとも40%。
- 若年男性・アルコール性肝硬変・高MELD・侵襲的手技・nosocomial感染などがACLF移行の危険因子。
- 診断の難しさ
- 診断・初期対応
- ACLF・入院肝硬変での状態悪化(意識悪化・Na低下・AKI・血行動態悪化など)があれば、感染を疑って再評価。
- 腹腔穿刺・血液/尿培養・胸部X線を含むフルワークアップを推奨。
- 抗菌薬
- 感染部位・重症度・獲得経路(市中/医療関連/院内)・施設の耐性状況を考慮してempiric therapyを選択し、初回投与はERで速やかに行うべき(1時間遅延ごとに死亡リスク上昇)。
- 48時間以内の臨床改善がなければMDR・真菌感染を疑い、抗菌薬拡大+抗真菌薬を検討。
- 培養結果が判明したら速やかにde-escalationし、MDR菌選択圧を減らす。
肝移植とfutility
- 候補選択のポイント
- 72時間〜1週間での臓器不全の「悪化が止まっているか、むしろ改善しているか」
- 呼吸不全(PaO₂/FiO₂、ARDS重症度)と循環不全の程度
- 感染のコントロール状況
- 年齢・機能予備能・合併症
- 禁忌寄りの因子
- PaO₂/FiO₂<150の重症ARDS
- 進行性・持続性ショック(高用量血管作動薬)
- コントロール不良の敗血症
- 72時間以上の人工呼吸支持が必要なHEなど。
- futilityの数値的目安
- CLIF-C ACLF>70(入室時・Day3)
- 4臓器以上不全が持続
は28〜90日の死亡率がほぼ100%であり、LT適応の有無と合わせて治療制限・緩和ケアへの移行を検討すべきとされる。
緩和ケアと今後の方向性
- ACLF/ICU肝硬変は
- 高い症状負担
- 多くの侵襲的処置
- 高医療費・再入院率
を伴うため、診断・ICU入室時点で緩和ケアコンサルトを入れることを提唱。
- 提示される質指標(Table 8)では、
- LTリスト入りそのものが緩和ケア導入の最大の障壁となっている現状を問題視し、「治療的ケアと緩和ケアは両立する」と明言している。
- 将来の研究課題として、
Future Management of Sepsis in Liver Cirrhosis
肝硬変患者に発症した敗血症のマネジメントに関する総説。実臨床を変えるものではないけど、こんな感じに世界は進んでいるのか~とわかる。
疫学と病原体の変遷
- 肝硬変患者では、入院中の感染症が1/3~半数を占め、UTI・菌血症・肺炎・SBP が主要な病型である。
- 過去 10 年で、
- 真菌感染(カンジダ・アスペルギルス)は頻度は 9–15%程度だが、ACLF・長期入院・広域抗菌薬使用例で増加しており、予後不良因子となる。
- ウイルス感染(HBV再活性化やインフルエンザ、RSVなど呼吸器ウイルス)は ACLF 誘因として重要であり、最近のコホートでは呼吸器ウイルス関連敗血症が35%に達し、約半数がウイルス単独敗血症だったと報告される。
MDR/XDR のリスク因子
- MDR 感染のリスク因子:
- 真菌感染(特にカンジダ血症)のリスク:
- 直近の抗菌薬使用、GI内視鏡、ACLF、静脈栄養用CVカテ、15日以上の長期入院
- 一方、リファキシミン長期内服は保護因子とされる(腸管内真菌の競合や細菌叢変化が示唆される)。
抗菌薬治療と新規薬剤
- AASLD/EASL ガイドラインに沿って、
- 市中感染: 第3世代セフェム(ceftriaxone / cefotaxime)
- 医療関連・院内感染: piperacillin–tazobactam、地域により carbapenem などを初期選択。
- ESKAPE(E. faecium, S. aureus, K. pneumoniae, A. baumannii, P. aeruginosa, Enterobacter spp.)が ICU 肝硬変の MDR の主役であり、感染対策とステュワードシップが不可欠とされる。
- CRKP に対しては ceftazidime–avibactam を含むレジメンが、治療失敗率7% vs 38%、院内生存率も改善したとされ、肝硬変においても早期使用が推奨される方向。
肝硬変における敗血症循環動態の特徴
- Sepsis-3 に基づき、
- 単なる敗血症
- 敗血症性低血圧
- 敗血症性ショック(十分な輸液後も MAP ≧65 mmHg 維持に血管作動薬が必要かつ乳酸 >2)に分類される例は、肝硬変ではもともとの末梢血管拡張・高心拍出・血管床再配分のため、ショックの発見が遅れやすい。
静的 vs 動的モニタリング
- 静的指標:
- MAP と CVP が中心だが、ASCITES による腹腔内圧上昇で CVP が誤解を招き得ること、MAP が保たれていても微小循環は破綻している可能性があることに注意が必要。
- 動的指標:
微小循環と組織灌流
- ベッドサイド指標:
- mottling score、CRT、中心–末梢温度差などを用いて微小循環の破綻を評価。
- 膝周りの mottling score は死亡の特異度が高く(OR 42.4)、CRT≦3秒を達成した時点で輸液を止めても安全とする RCT も紹介されている。
- マクロ vs ミクロ:
- lactate は肝硬変では代謝障害の影響で特異度が低く、単独指標としては限界があるため、連続測定+他の微小循環指標と組み合わせて評価すべきとする。
- 高度なモニタリング:
- sidestream dark field (SDF) / incident dark field (IDF) imaging による舌下微小血管の観察、NIRS+VOT による組織酸素化と酸素抽出能評価などが、研究段階ながら紹介されている。
輸液戦略
- EGDT vs リベラル輸液を比較した ARISE・ProCESS・ProMISe で、生存率の優位差がなく、むしろ過剰輸液の害が懸念されるようになった。
- CLASSIC・CLOVERS では、制限的輸液+早期バソプレッサーでも死亡率増加はなく、むしろ浮腫合併症の減少が示唆された。
- 肝硬変ではさらに、
- キャピラリリーク → 3rd spaceへの貯留 → 腹水増悪 → 細菌移行悪化という悪循環が指摘され、過剰輸液は特に有害と考えられる。
- 輸液の種類
バソプレッサー・補助療法
- 第一選択はノルアドレナリンだが、肝硬変の強い血管拡張では反応性が乏しいことがある。
- 内因性バソプレシン欠乏を補う形でバソプレシン追加がしばしば必要となり、NE 量削減に貢献する。
- テルリプレシンは HRS で実績があるが、重症肝硬変では呼吸不全リスク(黒枠警告)があり、敗血症ショックへの routine 使用は推奨されず、慎重適応。
- さらにアンジオテンシン II やエスモロールなど、新規・再評価中の薬剤が紹介されているが、肝硬変に特化したエビデンスは乏しいとされる。

※大体やることはいつも一緒。
ただ、アルブミンがやや閾値低く記載されている点が通常の敗血症診療と異なる。
Rapid Diagnostics(迅速診断とバイオマーカー)
従来のスコア・マーカーの限界
- SIRS は肝硬変入院患者の 42.7%に認められたが、感染の有無や死亡と独立した予測因子にはならず、さらに SIRS 陰性菌血症が 91%と極めて多い。
- CRP はアルコール性肝炎・SIRS・感染でそれぞれ異なるカットオフが検討されているものの、進行肝障害では合成能低下のため反応性が鈍る。
- PCT は肝機能障害に応じてカットオフを調整すべき(TBil <5 で 0.38, >20 で 0.94 ng/mL など)。
新規バイオマーカー
- Presepsin(sCD14-ST):メタ解析では AUC 0.88、感度84%・特異度76%で敗血症診断に有望。肝性脳症を伴う肝硬変でも 980 pg/mL で感度80%・特異度82%と報告。
- sTREM-1:660 pg/mL 以上で感染リスク上昇と 90日死亡の予測因子(HR 約3)となりうる。
- PSP:ICU で、臨床悪化の 3–5日前から上昇し、従来マーカーより早期に敗血症を予測し得る(AUROC 0.85)。
- circRNA / miRNA:炎症・免疫調節・内皮障害に関わる複数の circRNA や miRNA-486-5p, miRNA-122, miRNA-150 などが、早期敗血症・重症度・28日死亡のバイオマーカー候補として示される。
新しい分子診断・迅速検査
- Multiplex PCR:2–6時間で複数菌を同時検出、耐性遺伝子も同定可能。ただし検出パネルに含まれる菌種に限られる。
- mNGS:24–48時間で細菌・真菌・ウイルス・多菌種感染まで包括的に検出。腹水感染では培養より高感度で、特に culture-negative SBP に有用とされるが、コストと解釈の難しさが課題。
- MALDI-TOF:15–60分で菌種同定、SBP では Gram陰性菌97.6%を正確に検出し、約 17時間の抗菌薬最適化時間短縮につながったとされる。
- LFA:アスペルギルスガラクトマンナン LFA は ICU で感度88–94%・特異度81%と良好で、ベッドサイド真菌診断に有用。
- bactDNA 検出:16S rRNA PCR 等で、細菌移行のマーカーとして有用だが、無菌腹水中でもしばしば陽性で、死亡予測には独立して寄与しないとされる。
- 表4でこれらの診断法のメカニズム・TAT・感度・特異度・利点・限界が整理されている
Lab-on-a-chip / Microfluidics の展望
- LOC(lab-on-a-chip)によるマイクロ流体デバイスは、少量サンプルで CRP, PCT, IL-6, presepsin など複数マーカーを同時測定可能で、ICU・資源制約地域でのベッドサイド診断手段として期待される。
Molecular Pathway Interventions(分子経路標的治療)
病態シグナルの整理
- PAMP/DAMP → PRR(TLR 等)→ NF-κB / IRF / AP-1 活性化 → サイトカイン産生と内皮活性化という、敗血症免疫反応の基本経路を整理。
- STING–IRF3–NF-κB 経路:ミトコンドリア DNA 上昇と septic shock・死亡との関連。
- 補体系:C3a/C5a などアナフィラトキシンによる炎症・血管透過性亢進。
- ROS/NLRP3 inflammasome → IL-1β/IL-18 産生 → 細胞死と炎症増幅。
- ミトコンドリア障害やネクロプトーシスなど、代謝障害と細胞死の経路も敗血症臓器障害に関与。
これまでの標的治療と限界
- IL-1RA, 抗 TNF, 抗 IL-6 など多数の RCT が行われたが、全体として全死亡の明確な改善は得られていない。
- 内皮保護療法として、組換えトロンボモジュリンや HMGB1 分解などが初期試験で有望な結果を示したものの、まだ標準治療ではない。
精密医療・エンドタイプ
- 遺伝子発現プロファイルに基づき、炎症優位型・免疫麻痺型などの「sepsis endotype」を定義し、それぞれに応じて免疫抑制解除や抗炎症療法を選択する発想が紹介される。
- こうした endotype に基づく層別化が、これまで失敗してきた免疫調整治療の再評価につながる可能性があると論じられる。
Extracorporeal Therapies(血液浄化療法)
理論的背景と仮説
- 「cytokine peak concentration」仮説:早期にサイトカインピークを除去すれば炎症カスケードを止められる。
- 「threshold immunomodulation」仮説:持続的除去で組織レベルの炎症をじわじわ下げる。
- 「mediator delivery」仮説:高置換量でリンパ・間質から血中へ mediator を引き出し除去する。
- 「cytokinetic theory」:BPT により単球・好中球・リンパ球機能を再プログラムする。
主なモダリティ
- HVHF / CRRT / IHD
- Cytosorb, oXiris, PMX-B(ポリミキシンBカラム)
- TPE, CPFA
- SPAD, DIALIVE, MARS などの肝補助系
エビデンスの概略
- 多くの単施設研究で IL-6/TNF 低下、MAP 改善、SOFA/APACHE 低下、バソプレッサー減少、観察死亡率の低下が報告される一方、IVOIRE などの大規模 RCT では死亡率改善は示されていない。
- 図3に、ACLF/肝不全を含む ECT の適応・逆効果・注意点(出血、血行動態悪化など)がまとめられている。
Artificial Intelligence(AI)と敗血症管理
早期検出とリスク層別化
- 機械学習アルゴリズム(ランダムフォレスト、SVM, DNN など)は、
- 既存の SOFA/MEWS/qSOFA より 6–48 時間早く敗血症発症を予測できるとの報告が複数ある(Giannini, Barton ら)。
- ACLF や sepsis-AKI に特化した死亡予測モデルも、従来スコアより高い AUC を示している。
肝硬変+敗血症への応用可能性
- 大規模肝硬変データセットで学習した AI により、
- 急性代償不全や ACLF 発症、入院死亡を早期予測し、
- EHR に統合することで「高リスク肝硬変患者に対する自動アラート」を出すことが可能と論じられる。
- POCUS 画像の AI 解析により、容量状態・心機能・腹水量を自動評価し、輸液とバソプレッサーの個別化に役立つ可能性も示される。
呼吸器
市中肺炎
Severe community-acquired pneumonia: current concepts and controversies
重症CAPに関するICMからの最新の総説。
疫学・重症度スコア・予後
- 発生頻度と負担
- 重症度スコア
| 区分 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 大基準 | 敗血症性ショック | 昇圧薬による治療を要する敗血症性ショック |
| 大基準 | 呼吸不全 | 機械的換気(人工呼吸)を要する呼吸不全 |
| 小基準 | 呼吸数 | 呼吸数 > 30 回/分 |
| 小基準 | 酸素化 | PaO₂/FiO₂ 比 < 250 |
| 小基準 | 画像所見 | 多葉性浸潤影(multilobar infiltrates) |
| 小基準 | 意識状態 | 意識障害または見当識障害(confusion or disorientation) |
| 小基準 | 腎機能 | BUN > 20 mg/dL または 尿素窒素 > 7.4 mmol/L |
| 小基準 | 白血球 | 白血球数 < 4,000 /mm³(感染によるものであり,化学療法誘発ではない) |
| 小基準 | 血小板 | 血小板数 < 100,000 /mm³ |
| 小基準 | 体温 | 低体温 < 36 ℃ |
| 小基準 | 血圧 | 積極的な輸液を要する低血圧 |
IDSA/ATS2007の重症CAPの定義:大基準を1つ以上または小基準を3つ以上満たす場合
| 項目(頭字語) | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| S(Systolic BP) | 収縮期血圧 < 90 mmHg | 2 点 |
| M(Multilobar) | 胸部X線で多葉性浸潤 | 1 点 |
| A(Albumin) | アルブミン < 35 g/L | 1 点 |
| R(Respiratory rate) | 呼吸数 25 回/分以上 | 1 点 |
| T(Tachycardia) | 心拍数 125 回/分以上 | 1 点 |
| C(Confusion) | 急性の意識混濁 | 1 点 |
| O(Oxygen low) | 低酸素血症(下記の年齢別定義を満たす) | 2 点 |
| P(pH) | 動脈血 pH < 7.35 | 2 点 |
| 年齢 | 低酸素血症の定義 |
|---|---|
| 50歳以下 | 以下のいずれかを満たす:① PaO₂ ≤ 70 mmHg、② SpO₂ ≤ 93%、③ PaO₂/FiO₂ 比 < 333 |
| 50歳超 | 以下のいずれかを満たす:① PaO₂ ≤ 60 mmHg、② SpO₂ ≤ 90%、③ PaO₂/FiO₂ 比 < 250 |
SMART-COP:集中治療レベルの呼吸・循環サポート(人工呼吸または昇圧薬)を要するリスク予測スコア:0–2点:低リスク、3–4点:中等度、5–6点:高リスク、7点以上:極めて高リスク
- 短期・長期予後
起炎菌の特徴
- 古典的には肺炎球菌が最多だが、
- EPIC研究では、系統的なウイルス検査により、ウイルス単独22%、細菌単独19%、混合4%など、ウイルスの寄与が大きいことが示された。
- 混合感染では予後がより不良であるため、ウイルス陽性でも細菌共感染を必ず考慮する必要がある。
- 代表的細菌:
- Streptococcus pneumoniae
- メチシリン感受性S. aureus(MSSA)
- 腸内細菌科(Klebsiella, E. coliなど)
- 非典型病原体:Legionella pneumophila, Mycoplasma pneumoniae など。レジオネラはCAP全体の≤5%だが、sCAPでは比率が高い。
- 資源や地域によっては、MRSA、P. aeruginosa、Acinetobacter spp.、多剤耐性Enterobacteralesも問題となる。
- GLIMP研究など多国間データから:
- Aspiration
- 特殊宿主・暴露:
- 結核、フランシセラ、地域性真菌症(コクシジオイデス、ブラストミセス、ヒストプラズマ)などは、免疫抑制・地域性・特別な曝露歴がある場合に考慮する。
- 起炎菌予測のために、直近の入院歴、抗菌薬使用、呼吸器検体培養歴、医療ケアとの接点を詳細に評価すべきとされる。
免疫・炎症応答の病態生理
- 近年のトランスレーショナル研究により、
- GRα(グルココルチコイド受容体α)によるストレス応答
- ストレス下で分泌されるコルチゾールにより活性化され、
- 自然免疫初期応答(priming)
- 炎症制御と免疫応答の微調整(modulatory)
- 免疫回復と組織修復(restorative)
の3段階で免疫を統合制御する。 - 初期にはNF-κBやAP-1などの炎症転写因子と協調して防御反応を増幅しつつ、同時にGILZやAnnexin-1などの抗炎症分子も誘導して「過度な炎症」を抑制する。
- 獲得免疫期にはリンパ球の生存・増殖・サイトカイン産生を調整し、病原体防御と自己組織保護のバランスをとる。
こうした機構の理解が、ステロイド治療を「単なる消炎」ではなく、恒常性回復を支援する治療として捉え直す理論的基盤となっている。
臨床診断・画像診断
- 典型症状:発熱、咳、呼吸困難、胸痛、意識障害、血圧低下など。高齢者では無熱も多く、最大3割で発熱を欠く。
- 画像所見:
バイオマーカー(CRP・PCTを中心に)
- 診断面
- CRP:感度は比較的高いが特異度は中等度で、症状出現からの時間が長いほど値は高くなりうる。
- PCT:より細菌感染に特異的とされるが、こちらも単独では診断能は限定的で、3日以上経過すると値が大きく低下しうる。
- 両者ともウイルス vs 細菌CAPの鑑別能は限定的。
- 抗菌薬治療モニタリング
- 現状の推奨:
微生物学的診断
- 従来検査:
- 下気道サンプル培養、血液培養、尿中抗原(肺炎球菌・レジオネラ)、ウイルス検査など。
- 良質な喀痰(扁平上皮細胞が少なく白血球が多い)は実際には採取困難で、診断率は14%程度の報告もある。
- 挿管患者では、気管吸引・BALなどの侵襲的サンプルが喀痰より高い診断率(56% vs 39%)。
- それでも、最大約半数のsCAPで起炎菌は同定できない。
- 迅速分子診断:
- 限界と今後の課題:
支持療法(特に呼吸管理)
- 軽〜中等度急性呼吸不全:
- まずはCOT(鼻カニュラやマスク)が用いられるが、HFNTはCOTより挿管リスクを下げるとされ、重症低酸素血症では第一選択となりつつある。
- HFNTは死亡率を明確に下げるとは言えないが、快適性が高く、分泌物排出や加湿などの面で利点がある。
- NIV(非侵襲換気):
- 侵襲的機械換気(IMV):
- VV-ECMO:
- 以下のような極めて重症のARDS基準を満たす場合に検討:
- P/F<50 mmHgが3時間超、
- P/F<80 mmHgが6時間超、
- pH<7.25かつPaCO₂≥60 mmHgが6時間超、
- ECMOセンターなど経験豊富な施設で行うべきとされる。
- 以下のような極めて重症のARDS基準を満たす場合に検討:
抗菌薬治療戦略とマクロライド・新規薬
- 基本戦略
- 耐性菌リスクがある場合
- 治療期間
- sCAPでは、臨床的安定が得られれば少なくとも5日間が推奨されるが、
- 免疫抑制、起炎菌(レジオネラ、PVL産生S. aureusなど)、合併症の有無によって延長が必要となる。
- sCAPでは、臨床的安定が得られれば少なくとも5日間が推奨されるが、
| 臨床シナリオ | 推奨レジメン | 備考 |
|---|---|---|
| P. aeruginosa・MRSA・PVL産生 S. aureus のリスクがない sCAP |
3GC(第3世代セフェム)+マクロライド - 3GC:セフトリアキソン 2 g/日 または セフォタキシム 2 g ×3回/日 - マクロライド例:アジスロマイシン 500 mg(1日目)、以後 250 mg/日 または クラリスロマイシン 500 mg ×2回/日 - βラクタムアレルギーの場合:レボフロキサシン 500 mg 1〜2回/日(単剤) |
3GC:third-generation cephalosporins(第3世代セフェム) |
| P. aeruginosa 感染リスクがある sCAP* |
抗緑膿菌活性+抗肺炎球菌活性を有するβラクタム+マクロライド - 抗Psa βラクタム:ピペラシリン/タゾバクタム 4.5 g ×4回/日、セフタジジム 2 g ×3回/日、セフェピム 2 g ×3回/日、イミペネム 0.5 g ×4回/日、メロペネム 1 g ×3回/日 から、局所疫学に応じて選択 - これらにマクロライドを併用 |
初期は広域カバーし、起炎菌・感受性判明後にde-escalation |
| MRSA 感染リスクがある sCAP** |
3GC+マクロライド+リネゾリド - 3GCは上記と同様 - リネゾリド 600 mg ×2回/日 |
代替レジメン:3GC+マクロライド+バンコマイシン 15 mg/kg ×2回/日 |
| PVL産生 S. aureus 感染を示唆する臨床像を伴う sCAP*** |
3GC+マクロライド+リネゾリド - リネゾリド 600 mg ×2回/日 |
代替レジメン:3GC+バンコマイシン+クリンダマイシン 600 mg ×4回/日(抗毒素作用を期待) |
| PCRでインフルエンザ確認(またはインフルエンザ流行期でPCR未実施) | 上記それぞれのレジメンに オセルタミビル 75 mg ×2回/日 を追加 | インフルエンザ肺炎が疑われる/確認された場合の抗ウイルス薬追加 |
*P. aeruginosa リスク因子:COPD、気管支拡張症、嚢胞性線維症などで 過去に P. aeruginosa の感染または定着歴 があることが主なリスク。多くは「過去12か月以内の入院歴+抗菌薬使用歴」を伴う。
**MRSA リスク因子:市中発症の S. aureus 肺炎は多くが インフルエンザ等ウイルス性肺炎の二次感染。
メチシリン感受性か耐性かは地域の通常の菌交代状況に基づいて判断。
MRSAは「過去の感染/保菌歴、入院歴、過去12か月以内の抗菌薬使用」で頻度が高くなる。
***PVL産生 S. aureus を疑う状況:若年者に多い重症敗血症で、しばしばウイルス感染後、
喀血、白血球減少、皮疹、壊死性肺炎像(多発結節+空洞形成)などを伴う稀な病態。
早期に抗毒素作用が期待される薬剤(クリンダマイシン、リネゾリド、リファンピシン)を含む治療が必要。
- マクロライドの免疫調節作用
- 新規抗菌薬
- 大規模RCTの結果
- なぜ結果が異なるのか?
- 統合的なエビデンス
- 安全性・病原体別の注意点
- その他の免疫調節・抗炎症薬