りんごの街の救急医

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Real ER Round No.9:尿管結石の疼痛緩和手段としての滅菌水皮内注射

尿管結石による痛みは、それはもう激痛です!(経験者)

 

一刻も早く鎮痛をするようにしましょう!

 

でも、なんでもかんでもアセリオ®では芸がなく、

そもそも尿管結石への鎮痛薬としては1st choiceではありません。

かといっていきなりオピオイドをドカンといくのはリスクの観点からあまり推奨されません。

 

 

尿管結石への鎮痛薬の1st choice:NSAIDs

これはご存じの方が多いとは思いますが、

尿管結石にはNSAIDsが最も効果的であると考えられています。

 

尿管結石で疼痛が起きるメカニズムを考えてみましょう。

尿管結石により尿の流れが妨げられる

→ 尿管が伸展され、プロスタグランジンが放出される

→ 血管拡張と利尿が起きることも合わさって腎内圧が上昇する

→ 疼痛が発生する

 

そのため、プロスタグランジンの放出を抑えて尿管平滑筋を緩められるようにすることが疼痛緩和に有効そうです。

 

というわけで、COX1およびCOX2を阻害するNSAIDsが効果的であるというのは病態生理学的にも合点がいきます。

 

実際にいろいろな研究でも有効性が証明されています。

 

たとえば、2018年のSR&MA(36RCT4887人を対象)では、

NSAIDsはアセトアミノフェンオピオイドに比較して、30分時点での疼痛改善に効果的であり、追加の鎮痛薬を必要とする割合も少なかったと報告されています

Eur Urol . 2018 Apr;73(4):583-595.)

 

内服ができそうなら内服でよいと思いますし、

座薬・筋注など別の形態の製剤を使うことをシーンに応じて検討してください。

(点滴静注は保険の観点から難しいと思います)

 

最近よくやるめっちゃ効果的な方法

最近よくやるのが

「滅菌水皮内注射」です。

 

今回のメインはこの疼痛緩和手段をご紹介することです。

 

患者が痛がるところの周囲に滅菌水を皮内注射するだけです。

背部だけでなく腹部を痛がる患者もいますが、いずれの部位においても効果があります。

 

なんじゃそりゃ!?と思うかもしれません。

介助してくれている看護師には白い目で見られているかもしれませんが、

効果はバツグンです!

 

滅菌水皮内注射は尿管結石の疼痛緩和において、

NSAIDs、アセトアミノフェンオピオイドと比較して同等の効果があるという報告がされています。

(J Emerg Med . 2024 Feb;66(2):83-90.)

 

私も実際にNSAIDsに効果がないときの第2選択として試すことが多いですが、

NSAIDsを選択しにくい患者群(妊婦、心不全や腎不全がある患者)には第一選択として滅菌水皮内注射を行い、効果を実感しています。

 

方法はとても簡単です!

患者が最も疼痛を感じている部分の周囲4か所に、インスリン注射針を用いて滅菌水を0.5mlずつ皮内注射するだけです。

 

15分以内に疼痛緩和が始まり、合併症が少なく、忍容性は高かったとされています。

実臨床でも同様の効果があることを確認しています。

 

なぜ効果があるのかについては諸説あります。

・滅菌水の浸透圧変化による皮膚刺激が内因性オピオイド放出につながる

・疼痛のゲートコントロール理論

(※ぶつけたときにそこをさすったり押さえたりするとちょっとよくなるようなアレ)

なとが提唱されています。

 

今後の研究では、

「何mlが疼痛緩和効果が最も高まるのか」

「何か所に注射するのがよいのか」

などという議論があると思うので、また面白い展開が期待できます。

 

(J Emerg Med . 2024 Feb;66(2):83-90.)

 

ぜひ試してみてください!

 

 

もうすこし詳しく学びたい場合にはコチラ👇

www.igaku-shoin.co.jp