ガイドラインには記載がありますが、
意外と認知度が低い心原性失神の原因について共有したいと思います。
もしかしたら、ERでは「異常なし」として見逃されているかも⁉
ガイドラインを見てみましょう。
・交代性脚ブロックを認める場合
・慢性の2枝または3枝ブロックがあり、投与不可欠な薬剤の使用が房室ブロックを誘発する可能性の高い場合
・慢性の2枝または3枝ブロックとWenckebach型2度房室ブロックを認め、失神発作の原因として高度の房室ブロック発現が疑われる場合
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定義と実際の波形
まず定義と波形から確認します。
二枝ブロック
・二枝ブロック…右脚ブロック/左脚前枝ブロック/左脚後枝ブロックのうち、どれか2つがあると診断される
右脚ブロックはわかりやすいと思いますが、左脚前枝および後枝ブロックはあまりなじみがないこともあるかもしれません。
ちなみに、この観点からいくと左脚ブロックは二枝ブロックと考えられます。
二枝ブロックの実際の波形を紹介します(UpToDateより引用)。
これは右脚ブロック+左脚前枝ブロックです。
これは右脚ブロック+左脚後枝ブロックです。
こちらは、上記左脚ブロックに比較して著しく頻度は落ちるため、そこまで覚えなくてもよいと思います。
こんなん覚えられん…と絶望的になりますが、
ERでは、「右脚ブロックに軸偏位を合併することはない」
と簡単に覚えておけばいいです。
失神で来た患者さんの右脚ブロックにヤマを張っておいて、
もし軸偏位を合併していたら教科書と照らし合わせて、左脚○○ブロックがある!
というように診断できれば十分です。
右脚ブロックに加えて、
・左軸偏位 → 左脚前枝ブロック
・右軸偏位 → 左脚後枝ブロック
と簡単にふんわり覚えておくことをオススメします。
三枝ブロック
交代性脚ブロック
マネジメント
二枝/三枝ブロックはたまたま見つけただけであれば、
まとめ
・交代性脚ブロック、症候性二枝ブロック/三枝ブロックはペースメーカー適応がある
・交代性脚ブロックは、右脚ブロック型波形と左脚ブロック型波形が交互に出ることが特徴
・二枝ブロックの探し方は、まず右脚ブロックを探すこと。それに軸偏位があるときには、左脚前枝または左脚後枝ブロックが合併しているのではないかと疑う
・二枝ブロックに1度房室ブロックが合併していれば、三枝ブロック