りんごの街の救急医

青森県弘前市の救急科専門医による日々の学習のまとめブログです!間違いなどありましたら是非ご指摘下さい。Twitterでも医療系のつぶやきをしています@MasayukiToc

review: Surviving sepsis campaign 2021

久しぶりの更新になりました。
 
りんごの街から引っ越しをして、うなぎと餃子の街に研修に来ており、
なんやかや準備とかで忙しかったのでさぼっていました。
※漁業や料理の研修ではありません※
 
新しい環境に慣れるまではたぶんあまり更新しません。
でも、これは超重要トピックなので勉強しました。
 
敗血症のガイドラインですが、5年ぶりの改訂になるんですね!
 
前回のガイドラインでは、qSOFAという聞き慣れない指標が鳴り物入りで出てきて
うお~という感じでしたが、やっぱりqSOFA使用の推奨度は落ちましたねぇ。
そのほか、いろいろマイナーチェンジがありますよ!
 
Evans L, et al. Surviving sepsis campaign: international guidelines for management of sepsis and septic shock 2021. 
Intensive Care Med. 2021 Oct 2. Epub ahead of print. 
PMID: 34599691.
 

 

スクリーニングと初期蘇生

qSOFA

●敗血症または敗血症性ショックの単一のスクリーニングツールとしてSIRS, NEWS, MEWSなどと比較して、qSOFAを使用しないことを推奨する
(Strong recommendation, moderate-quality evidence)
 
まずコレです!
5年前は必死にqSOFAなるものを覚えて研修医にも教えていましたが、
敗血症のスクリーニングツールとしてqSOFAの有用性が研究されてきており、
その有用性については議論が残るところとなっているそうです。
 
SIRSやMEWSやNEWSなんかと比較するとより特異的ではあるけども、
感度が低いことが指摘されています。
敗血症においてqSOFA陽性であった患者は24%しかおらず、これらの患者が悪い転帰をたどった患者の70%を占めていたという報告もあります。
 
とはいえ、結構使いやすいとは思うので今後も使うとは思います。
ただし、いずれも完璧なツールではないためその限界を理解して使用することが重要でしょう。
 

乳酸

●敗血症を疑う成人患者では、乳酸値を測定することを提案する
(Weak recommendation, low-quality evidence)
 
・これまでの研究によれば、乳酸値の上昇またはそれがないことは、敗血症の最終診断の可能性を優位にそれぞれ増加または減少させることが示されている
・ただし、乳酸値だけでは診断確定に十分な感度も特異度もないことには留意すること
 

初期蘇生

●敗血症と敗血症性ショックは緊急を要する病態であり、治療と蘇生を直ちに開始することが推奨される
(Best Practice Statement)
 
●低灌流を示唆する敗血症または敗血症性ショックの患者に対しては、3時間以内に少なくとも30ml/kgの晶質液を投与することを提案する
(Weak recommendation, low-quality evidence)
 
●成人の敗血症または敗血症性ショックに対しては、身体所見や静的指標だけではなく、動的な指標を用いて輸液蘇生を行うことを推奨する
(Weak recommendation, very low-quality evidence)
※動的指標とは、passive leg raiseや輸液ボーラス投与に対する反応(SV, SVV, PPVまたは使用可能であれば心エコーを使用)を見ること
 
●成人の敗血症または敗血症性ショックにおいて、乳酸値が上昇している場合にはそれを低下させるように蘇生を行うことを提案する
(Weak recommendation, low-quality evidence)
※初期蘇生中の乳酸値は臨床的背景や他の原因を考慮して解釈すること
 
●成人の敗血症性ショックに対しては、蘇生の指標として補助としてCRTを使用することを提案する
(Weak recommendation, low-quality evidence)
 

MAP

●血管作動薬を使用している敗血症性ショックに対しては、MAP≧65mmHgを指標に蘇生することを推奨する
(Strong recommendation, moderate-quality evidence)
 

ICUへの入室

ICU入室を要する敗血症または敗血症性ショックは、受診から6時間以内にICUへ入室させることを提案する
(Weak recommendation, low-quality evidence)
 

感染

感染の診断

●敗血症または敗血症性ショックを疑うが感染源がはっきりしない場合には、継続的に再評価すること/代替診断がないか検索すること/代替診断が強く疑われるか確定的であれば経験的抗菌薬投与を中止することを推奨する
(Best Practice statement)
 

抗菌薬投与までの時間

●敗血症性ショックや敗血症の疑いが強い場合には、即座に(可能であれば覚知から1時間以内)抗菌薬投与をすることを推奨する
(Strong recommendation, low quality of evidence (Septic shock)
Strong recommendation, very low quality of evidence (Sepsis without shock))
 
●ショックを伴わない敗血症の可能性がある場合には、急性疾患の原因が感染性か非感染性かを迅速に評価すること
(Best Practice Statement)
※迅速な評価には病歴聴取/身体所見/臨床検査を行い、敗血症を模す可能性のある疾患への即時治療を含む。可能な限り、3時間以内にこの評価を行い、敗血症の可能性が高いと思われる場合には適切に抗菌薬治療を行う必要がある
 
●ショックを伴わない敗血症の可能性がある場合には、時間を決めて迅速な検査を行い、覚知から3時間以内に抗菌薬投与を行うことを提案する
(Weak recommendation, very low quality of evidence)
 
●感染の可能性が低いかつショックを伴わない場合には、抗菌薬投与を延期し、患者の綿密なモニタリングを続けることを提案する
(Weak recommendation, very low quality of evidence)
 

抗菌薬投与開始のためのバイオマーカー

●敗血症または敗血症性ショックを疑う場合には、抗菌薬開始の指標としてプロカルシトニンを使用しないことを提案する
(Weak recommendation, very low quality of evidence)
 
・プロカルシトニンは健常状態では検出されず、特に細菌感染に伴う炎症に反応して上昇することが知られている
・理論的には臨床評価に加えてプロカルシトニンを使用することで重篤な細菌感染症の診断が容易になり、早期に抗菌薬投与をできる可能性があるが…。
・30件の研究(3244人)を含めMAによれば、重症患者の敗血症に対するプロカルシトニンの感度77%/特異度79%であった
・プロカルシトニンをガイドに治療を開始するプロトコルと通常ケアを比較して3つのRCTのMAによれば、有用性は見いだせなかった
 ◦短期死亡…RR 0.99; 95% CI 0.86–1.15
 ◦ICU入室期間…MD 0.19 days; 95% CI − 0.98 to 1.36
 ◦入院期間…MD 7.00 days; 95% CI − 26.24 to 12.24
 ※長期死亡率/再入院率/非入院日数に関しては報告されていなかった
 
後述されますが、抗菌薬開始のバイオマーカーとしてはプロカルシトニンはいまいちですが、治療終了の目安としてはいいかもしれません。
 

抗菌薬の選択

MRSA感染リスクが高い敗血症または敗血症性ショックでは、経験的抗菌薬によるMRSAカバーを行うことを推奨する
(Best Practice statement)
 
MRSA感染リスクが低い敗血症または敗血症性ショックでは、経験的抗菌薬によるMRSAカバーを行わないことを提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 
・報告によれば重症患者の5%でMRSAが培養で陽性になることが知られている
 ◦近年は減少傾向のよう、また地域によっても異なる
MRSAのリスク因子として以下が考えられている
MRSA感染またはコロニー形成の既往
・最近の抗菌薬静注使用歴
・再発性皮膚感染症または慢性創傷の既往
・体内デバイスの存在
・最近の入院歴
・重症度
 
敗血症または敗血症性ショックでMDRリスクが高い場合には、グラム陰性菌への活性を持つ抗菌薬を併用することを提案する
(Weak recommendation, very low quality of evidence)
 
●敗血症または敗血症性ショックでMDRリスクが低い場合には、グラム陰性菌への活性を持つ抗菌薬を併用しないことを提案する
(Weak recommendation, very low quality of evidence)
 
・多剤耐性菌を考慮するのは以下の場合
・過去1年以内に耐性菌による感染またはコロニー形成の既往
・多剤耐性菌の地域的流行
・院内感染や医療関連感染
・過去90日以内の広域抗菌薬の使用
・選択的消化管除菌(SDD)の併用
・過去90日以内の高流行地域への渡航
 (https:// resis tance map. cddep. org/)
・過去90日以内の海外での入院歴
 
●敗血症または敗血症性ショックにおいて、原因微生物とその感受性が明らかになった場合には抗菌薬の併用を行うことは差し控えることを提案する
(Weak recommendation, very low quality of evidence)
 

抗真菌薬

●敗血症または敗血症性ショックで真菌感染リスクが高い場合には、経験的抗真菌薬投与を行うことを提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 
●敗血症または敗血症性ショックで真菌感染リスクが低い場合には、経験的抗真菌薬投与を行わないことを提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 
エビデンスのある分野ではないが、真菌感染の特定のリスク因子を持つ患者においては恩恵がある可能性がある
・以下の場合には抗真菌薬投与を考慮してもよい
 
カンジダ感染のリスク因子
・複数の部位でのカンジダコロニー形成
・血清β-Dグルカン
・好中球減少
・免疫抑制状態
・重症…APACHE scoreが高い
・長期間のICU滞在
・中心静脈カテーテルおよびその他の血管内デバイス
・違法薬物使用
・非経口栄養(TPN)
・広域スペクトル抗菌薬
・消化管穿孔、吻合部漏出
・緊急での消化管/肝胆膵手術
・急性腎不全、血液透析
・重症熱傷
・手術歴
酵母による感染のリスク因子
・クリプトコッカス/ヒストプラズマ/ブラストミセスなどの抗原マーカー
HIV感染
・固形臓器移植
・高用量ステロイド療法
・造血幹細胞移植
・特定の生物学的製剤
・糖尿病
侵襲性真菌感染症のリスク因子
・好中球減少
・血清/気管支肺胞洗浄液のガラクトマンナン
・造血幹細胞移植
・固形臓器移植
・高用量ステロイド療法
・特定の生物学的製剤
 

抗ウイルス薬

●抗ウイルス薬投与については推奨がない
 

抗菌薬の投与方法

●敗血症または敗血症性ショックに対しては、βラクタム薬の投与方法に関して、従来のボーラス間欠投与より、初回ボーラス注入後の持続注入をすることを提案する
(Weak recommendation, moderate quality of evidence)
 
・2つのMAで、βラクタム薬の持続注入による短期死亡率の低下が支持されている
 ◦RR 0.70、95%CI 0.57-0.87
・負荷投与は必須であるため、初回投与は必ずおこなう
 
●敗血症または敗血症性ショックに対しては、一般的に認められているPK/PDの原則および薬剤の特性に基づいて抗菌薬の投与戦略を最適化することを推奨する
(Best Practice Statement)
 

ソースコントロール

●敗血症または敗血症性ショックでは、ソースコントロールを要する特定の解剖学的診断を迅速に確定または除外し、必要な処置を可能な限り速やかに行うことを推奨する
(Best Practice Statement)
 
●敗血症または敗血症性ショックでは、感染源となりうる血管内デバイスを迅速に除去することを推奨する
(Best Practice Statement)
 

抗菌薬のde-escalation

●敗血症または敗血症性ショックでは、抗菌薬のde-escalationができないか毎日評価することを提案する
(Weak recommendation, very low quality of evidence)
 

抗菌薬の投与期間

●感染源コントロールを行った敗血症または敗血症性ショックでは、抗菌薬投与期間はより短く設定することを提案する
(Weak recommendation, very low quality of evidence)
 
感染症ごとにある程度は決まっています。
もちろん、重症度や臨床経過によるところはあります。
 

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抗菌薬中止のためのバイオマーカー

●感染源コントロールを行った敗血症または敗血症性ショックで、抗菌薬投与期間が明確に設定できない場合には、プロカルシトニン+臨床的評価により抗菌薬終了期間を決定することを提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 

血行動態へのマネジメント

輸液

●敗血症または敗血症性ショックでは、蘇生輸液の第一選択として晶質液を使用することを推奨する
(Strong recommendation, moderate quality of evidence)
 
●蘇生輸液として生食の代わりにリンゲル液などを使用することを提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 
●大量輸液を要した場合には晶質液単独ではなくアルブミンを併用することを提案する
(Weak recommendation, moderate quality of evidence)
 
●蘇生輸液としてでんぷん液やデキストランなどは使用しないことをそれぞれ推奨/提案する
(Strong recommendation, high quality of evidence/ Weak recommendation, moderate quality)
 

血管作動薬

●敗血症性ショックでは、ノルアドレナリンを血管作動薬の第一選択として使用することを推奨する
(Strong recommendation)
ノルアドレナリンが使用できない場合には、アドレナリンまたはドパミンが代替薬として使用できる。しかし、これらの薬剤は不整脈を誘発するリスクがあることから、ノルアドレナリンを使用できるよう努力することを要求する。
 
ノルアドレナリンを使用しているが目標MAPを達成できない敗血症性ショックでは、ノルアドレナリン増量するより、バソプレシンを併用することを提案する
(Weak recommendation, moderate-quality evidence)
※通常はノルアドレナリン使用量が0.25-0.5γに達した場合にバソプレシンを併用する
 
ノルアドレナリン+バソプレシンでも目標MAPを達成できない敗血症性ショックでは、アドレナリンを追加することを提案する
(Weak recommendation, low-quality evidence)
 
●敗血症性ショックに対して、テルリプレシンを使用しないことを提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 

強心薬

●十分な血管内容量と動脈血圧にも関わらず、心機能異常により低灌流状態が続く場合にはドブタミンを併用することを提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 
●十分な血管内容量と動脈血圧にも関わらず、心機能異常により低灌流状態が続く場合にはレボシメンダンを使用しないことを提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 
血管作動薬や強心薬についてのまとめが以下です。

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モニタリングと血管内アクセス

●敗血症性ショックでは、可能であれば動脈血圧の侵襲的モニタリングを行うことを提案する
(Weak recommendation, very low quality of evidence)
 
●敗血症性ショックでは、目標MAPを達成するために末梢ラインから血管作動薬を開始し、CVCの準備のために投与が遅れないようにすることを提案する
(Weak recommendation, very low quality of evidence)
 

どのくらい輸液を行うか

●敗血症および敗血症性ショックの患者で、初期蘇生後も低灌流と血管内用量低下の徴候がある場合、蘇生後24時間の間に輸液制限を行うか行わないかについての推奨をするのに十分な根拠がなかった
 
・初期蘇生ボーラス後の最適な輸液指標はまだ明確ではない
・蘇生開始から72時間における輸液量は大量輸液(13L)を行うより約7-8L程度の輸液を行う方が死亡率が低いことが報告されている
 ◦ProCESS, ARISE, ProMISeなど
・臓器への灌流を改善するために使用する輸液が血管の恒常性を損ない、逆に臓器の機能障害につながる可能性があることが示唆されている
・CLOVERS trialやCLASSIC trialなどが現在進行中
 
このへんのことがクリアカットにわかるような絶対的な指標ができないかなぁ~。
できないだろうなぁ~。
 

呼吸管理

酸素化の目標値

●敗血症による低酸素性呼吸不全における保存的酸素目標値(conservative oxygen targets)の使用に関する推奨を行うのに十分な根拠がない
 
・conservative oxygen targetsはPaO2 55-70mmHg, SpO2 88-92%と一般的に定義されている
・理論的には酸素曝露量を減らすことで臓器への酸素毒性を減らすことができるが。これまでに行われたRCTではそれぞれ異なる結果が示唆されており、現時点では推奨が記載できないことになっている
 

HFNC

●敗血症関連低酸素性呼吸不全では、HFNCの使用を提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 

NIV

●敗血症関連低酸素性呼吸不全に対するNIVの使用に関する推奨は根拠が不十分でできない
 

ARDSに対する戦略

●敗血症関連ARDSに対しては6ml/kgの低換気量による肺保護戦略を推奨する
(Strong recommendation, high quality of evidence)
 
●ARDSではプラトー圧が30cmH2Oを超えないようにすることを推奨する
(Strong recommendation, moderate quality of evidence)
 
●中等症~重症のARDSではhigh PEEP戦略を用いることを提案する
(Weak recommendation, moderate quality of evidence)
 
●呼吸不全かつARDSではない場合でも、低換気量戦略を用いることを提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 
●中等症~重症ARDSに対しては、従来のリクルートメント手技を行うことを提案する
(Weak recommendation, moderate quality of evidence)
 
リクルートメント手技を行う際には、PEEP漸増戦略をとらないことを推奨する
(Strong recommendation, moderate quality of evidence)
 
●中等症~重症のARDSでは、1日12時間以上の腹臥位呼吸を行うことを推奨する
(Strong recommendation, moderate quality of evidence)
 
●中等症~重症のARDSでは、間欠的な筋弛緩薬の使用を提案する
(Weak recommendation, moderate quality of evidence)
 
●重症ARDSでは、人工呼吸器使用に失敗した場合にはVV-ECMOを使用することを提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 

上記以外の追加治療

ステロイド

●血管作動薬を要する敗血症性ショックに対してcorticosteroid静注を使用することを提案する
(Weak recommendation; moderate quality of evidence)
 
※hydrocortisone 200mgを持続静注または50mg 1日4回投与を行う。ノルアドレナリンまたはアドレナリンを0.25γ以上の用量で最低4時間以上使用した患者への投与が推奨される。
 

polymyxin B

●敗血症または敗血症性ショックに対するpolymyxin Bを使用した血液浄化を行わないことを提案する
(Weak recommendation; low quality of evidence)
 
●他の血液浄化療法については推奨を行うには十分な証拠がない
 

輸血

●敗血症または敗血症性ショックに対しては、制限的輸血戦略を推奨する
(Strong recommendation; moderate quality of evidence)
 
※一般的には輸血閾値は7g/dLではあるが、濃度だけではなく、全体的な臨床状態や心疾患/出血などの状況を考慮して対応すること
 

免疫グロブリン

免疫グロブリン投与をしないことを提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 

ストレス潰瘍予防

●消化管出血リスクがある場合には、ストレス潰瘍予防をすることを提案する
(Weak recommendation, moderate quality of evidence)
 
※リスク因子として以下が提案されている(もっと広くてもいいかも)
 ◦凝固障害
 ◦ショック
 ◦慢性肝疾患
 

VTE予防

●敗血症または敗血症性ショックに対しては、薬物的なVTE予防を推奨する
(Strong recommendation, moderate quality of evidence)
 
●VTE予防にはUFHよりもLMWHの使用を推奨する
(Strong recommendation, moderate quality of evidence)
 
●VTE予防として、薬物治療に加えて機械的予防策を併用しないことを提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence
 

RRT

●RRTを必要とするAKIを合併した敗血症または敗血症性ショックでは、持続的または間欠的RRTが推奨される
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 
●RRTの適応がないAKIを合併した敗血症または敗血症性ショックでは、RRTを行わないことを提案する
(Weak recommendation, moderate quality of evidence)
 

血糖コントロール

●敗血症または敗血症性ショックでは、血糖値≧180mg/dLの場合には血糖コントロールを行うことを推奨する
(Strong recommendation; moderate quality of evidence)
 
※治療後のターゲットは144-180mg/dL
 

ビタミンC

●敗血症または敗血症性ショックに対するビタミンC静注は行わないことを提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 
…当時Maric cocktailにはすごく期待していたんですけどね。
 

炭酸水素ナトリウム

●乳酸アシドーシスを呈する敗血症性ショックに対して、血行動態改善や血管作動薬減量を目的とした炭酸水素ナトリウム投与はしないことを提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 
●pH≦7.2の重篤代謝性アシドーシスを伴う敗血症性ショックかつAKI(AKIN score 2-3)に対しては、炭酸水素ナトリウム投与を提案する
(Weak recommendation, low quality of evidence)
 

栄養

●経腸栄養が可能であれば、72時間以内に経腸栄養を開始することを提案する
(Weak recommendation; very low quality of evidence)
 

長期的予後とケアの目標

●敗血症または敗血症性ショックでは、患者及び家族とケアの目標や予後について話し合うことを推奨する
(Best Practice Statement)
 
●敗血症または敗血症性ショックでは、ケアの目標を早めに(72時間以内)定めて取り組むことを推奨する
(Weak recommendation, low-quality evidence)
 
●患者および家族の症状と苦痛に対処するために、必要に応じて緩和ケアを治療計画に組み込むことを推奨する
(Best Practice Statement)
 
社会的背景についても考えろよというような推奨もあったけど当たり前なので省略。
 
 
という感じで少しまとめてみました。
実際の治療をどうしていくか、改めてすり合わせが必要になる部分もありそうでした。