病歴/身体所見
・83歳女性
・嘔気のためクリニックを受診
◦受診時点で蜂窩織炎に対する抗菌薬治療を受けており、そちらは改善傾向であった
・40歳の時に胆石疝痛発作のエピソードが一度あった
・腹部触診では異常を認めなかった
検査
・腹部単純レントゲンでは胆嚢の石灰化を認めた
・CTでは胆石とともに、辺縁が石灰化した胆嚢を認めた
診断
磁器様胆嚢 (porcelain gallbladder)
・嘔気は抗菌薬関連と判断された
・胆嚢由来の症状がないと判断されたため手術なしに経過観察となった
・その後のフォローアップで腹部症状などを呈することなく経過した
・磁器様胆嚢は胆嚢壁の石灰化が特徴であり、慢性炎症と関連がある
・磁器様胆嚢は胆嚢癌のリスクを増大させる
◦無症候性患者における予防的胆嚢摘出術の有用性については明確ではない
◦報告によっては最大20%で胆嚢癌が生じるともされている
(Hepatogastroenterology. Jul-Aug 2004;51(58):950-3.)
まとめ
・磁器様胆嚢は胆嚢壁の石灰化が特徴的
・胆石などによる慢性炎症と関連がある
・磁器様胆嚢は胆嚢癌のリスクとされている