りんごの街の救急医

青森県弘前市の救急科専門医による日々の学習のまとめブログです!間違いなどありましたら是非ご指摘下さい。Twitterでも医療系のつぶやきをしています@MasayukiToc

症例13:右目の視力が低下した39歳男性(Ann Emerg Med. 2020 Nov;76(5):e119-e120.)

 

病歴/身体所見

・39歳男性
・特に既往歴なし
6週間持続する右目の視力低下と頭痛
・両側視力1.0であったが、右上側側方視野が失われていた
・眼底検査、眼球運動、眼圧などには異常を認めなかった
 

検査

・ベッドサイドで眼球超音波が実施された

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ドーム型の腫瘤(A)と網膜剥離(B)を認めた

 

 

診断

脈絡膜黒色腫

 

 

・全黒色腫のうち、3-5%を占める
 
成人の眼内悪性腫瘍で最もcommon
 ◦年間発生率は100万人あたり5.1例
(Ophthalmology. 2011 Sep;118(9):1881-5.)
 
・腫瘍の85%はブドウ膜(特に脈絡膜)から発生する
(Hematol Oncol Clin North Am. 2012 Dec;26(6):1169-84.)
 
・ブドウ膜黒色腫のうち、最大75%に網膜剥離を認め、視力消失の原因となる
(Hematol Oncol Clin North Am. 2012 Dec;26(6):1169-84.)
 
・超音波所見の特徴は、ドーム状/マッシュルーム様の形の内部が均一で血流豊富な固形物を認めること
(Ophthalmology. 2008 Aug;115(8):1390-7, 1397.e1-2.)
 
 
眼球超音波で網膜剥離はしばしばみられるけど、こんな腫瘤は出会ったことありませんでした。診断できる自信はないなぁ。
眼科医にすぐに泣きつくことになりそうだけどこういう腫瘍があることも知っておこう。
 

まとめ

・眼の症状には眼球超音波を当ててみよう

・眼にも悪性黒色腫ができ、主にブドウ膜から発生

・ブドウ膜黒色腫のうち、75%に網膜剥離が起き視力消失の原因となりうる