りんごの街の救急医

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症例11:右目に岩がぶつかってから目が見えない22歳男性(Ann Emerg Med. 2012 Jun;59(6):456, 468.)

病歴/身体所見

・22歳男性
・右目を岩にぶつけて15分後より霧視と眼痛が出現
結膜充血、前房の混濁、瞳孔不同/対光反射遅延を認めた
 

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・右目視力は手動弁、眼圧16mmHg
・1時間の座位の後、右前房はクリアになり、視力が0.1まで改善
 ◦眼圧に変化はなかった

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・しかし、羞明感を訴えていた

 

診断

外傷性散瞳 前房出血  

 

・鈍的眼外傷では、前房が圧迫され、強制的に瞳孔が散瞳させられる
 ◦これにより瞳孔括約筋/瞳孔散大筋/毛様体神経叢の神経が損傷
 →外傷性散瞳を発症
・外傷性散瞳では、対光反射が低下し中等度に散瞳する
 ◦視力は正常~異常までさまざま
 ◦眼圧も高値~低値までさまざま
 
前房出血を侮ってはならない
 ◦重大な眼内損傷の徴候である可能性もあり
 →眼科でのフォローアップ
・将来的に眼圧が上がってくる可能性あり
・立位や座位では二ボー形成しているが、仰臥位になることで出血が広がり一時的に視力低下することがある
 
 

まとめ

・鈍的眼外傷後では、外傷性散瞳や前房出血などの可能性を考える

・外傷性散瞳では対光反射が低下し中等度散瞳している

・前房出血は重大な眼内損傷の徴候である可能性あり

・座位にしておくことでより前房出血が鮮明になる、仰臥位で一時的に視力が低下することがある