病歴/身体所見
・55歳男性
・2日間持続する、咽頭右側の重度で鋭い疼痛
・疼痛のため嚥下ができない
・発熱//悪寒/呼吸困難/最近の歯科処置/口腔外傷歴なし
・バイタルサインに異常なし
・免疫不全の病歴なし
・舌右側の著明な腫脹と圧痛を認めた
検査
・造影CTが撮影された
◦ 舌右側に辺縁が造影される膿瘍を認める
診断
舌膿瘍
耳鼻科に入院となり、ステロイドと鎮痛薬、ABPC/SBTが投与された。
翌日には嚥下時痛は劇的に改善し、CVA/AMPCが処方され帰宅となった。
・舌膿瘍はまれだが、気道閉塞の可能性がある疾患
・マネジメントは、その膿瘍の位置により異なる
◦舌の前2/3…重症度が低く、穿刺ドレナージで済むことが多い
◦舌の後1/3…気管挿管と外科的ドレナージを要する
(AJNR Am J Neuroradiol. 1998 Mar;19(3):496-8./J Emerg Med. 2011 Nov;41(5):e107-10./J Emerg Med. 2012 Jul;43(1):e53-4.)
・起因菌は以下
◦Staphylococcus aureus
◦α-hemolytic streptococci
◦Haemophilus spp
◦Bacteroides spp
◦anaerobic cocci
(Pediatr Emerg Care. 2002 Oct;18(5):358-9.)
免疫不全でもないし、口腔内外傷もないのにこんなことになるんですね…。
咽頭痛のred flagとして以下が挙げられます。
症例では、唾液嚥下不能がありましたね。
舌膿瘍もそうですが、killer sore throatとして以下の5つをあげましょう。
・急性喉頭蓋炎
・咽後膿瘍
・扁桃周囲膿瘍
・Lemierre症候群
・Ledwig's angina
まとめ
・咽頭痛の原因として舌膿瘍を考慮して診察する
・舌膿瘍は、その位置によりマネジメントが異なる
・killer sore throatとそのred flag signを覚えておこう