めまいの患者診療においてHINTSはもはや知らない人がいないくらいに有名になっているかもしれません。
HINTSはAVS(acute vestibular syndrome)に対して行う身体所見です。
※BPPVを疑う人にやっても意味ありませんよ。
AVSとは以下を満たすめまい患者です。
・急性/突発発症の重度のめまい
・嘔気/嘔吐、歩行の不安定さ、頭位変換不能などを伴い、数時間から数週間持続する
・仰臥位で安静に寝ていても症状が持続する
安静にしていても持続するめまいがあるというところがミソです。
HINTSのすごいところは、MRIと同じかそれ以上に中枢性病変を除外可能なのではないかと言われているところです。
以下のすべてを満たせば高度に中枢性病変が否定できるという報告があります。
①HIT陽性
③Skew deviation陰性
(CMAJ. 2011 Jun 14;183(9):E571-92.)
この報告があってから、私たち救急医はこぞってAVSに対してHINTSの所見をとるようになりました。
しかし、それにちょっと待った!をかける研究も出ましたので簡単に紹介します。
Acad Emerg Med. 2020 Mar 13. doi: 10.1111/acem.13960. [Epub ahead of print]
Can Emergency Physicians Accurately Rule Out a Central Cause of Vertigo Using the HINTS Examination? A Systematic Review and Meta-analysis.
Can Emergency Physicians Accurately Rule Out a Central Cause of Vertigo Using the HINTS Examination? A Systematic Review and Meta-analysis.
救急医のHINTSって信用に足るの…?という疑問に対するmeta-analysisです。
これまで報告されてきた研究の多くが神経内科医によるものでした。
今回は5つの研究617人を対象としたmetaanalysisの結果、
AVSに対するHINTSの診断能は神経内科と救急医で異なることが判明してしまいました。
・神経内科医…感度96.7%/特異度94.8%
神経内科医すげ~。
正確な所見をとれるように日々トレーニングしていますが、
HINTSだけに頼って中枢性病変を除外までしてしまうのはちょっと専門医以外は難しいかもしれません。
以下の記事も参考にしてください。