visual diagnosisの症例提示します。
両方とも幾度か遭遇したことがありいずれも一発診断できました!
症例① 原因は?(Emerg Med J. 2019 Mar;36(3):170-196.)
・49歳男性、突然発症の胸痛/冷汗/呼吸困難
・高血圧の既往あり
・受診時は低血圧
症例② 原因は?( Emerg Med J. 2019 Mar;36(3):153-162. )
・83歳男性、右上腕の突然の疼痛と腫脹
・市中肺炎のため入院中、levofloxaxin+ ceftriaxon点滴静注で治療中
◦スタチン、吸入ステロイドなど処方されていた
症例①答え
大動脈解離
・CTでは心嚢液貯留、下行大動脈の閉塞が認められた
・mottled skinは下行大動脈の閉塞による低灌流が原因と考えられた
ちなみに、mottled skinを呈する疾患は以下が知られています。
・ショックによる低灌流
・寒冷な環境
・自己免疫性疾患
・抗リン脂質症候群
・薬剤
・急性膵炎
(N Engl J Med. 2016 Dec 1;375(22):2187.)
急性膵炎では以下の所見も見られ、mottled skinと鑑別を要しますが場所が違います。
・Grey-Turner sign…側腹部に出現
・Cullen’s sign…臍周囲に出現
国試的には急性膵炎一択だったようですが、腹壁損傷や異所性妊娠破裂でも認められる所見です!
救急外来では大動脈瘤、ショックなどの致死的な疾患を思い浮かべましょう。
症例②答え
上腕二頭筋腱断裂
・診断は臨床的に可能だが、超音波でもよくわかる
・肘関節屈曲により所見はより顕著になる…popeye sign
・上腕二頭筋腱断裂は多くの場合、近位部/長頭筋腱断裂
(Arthroscopy. 2018 Apr;34(4):1166-1170.)
・慢性肩痛のある高齢者や複数の外傷歴、伸展位からの強い屈曲位への変換(重いものを持ち上げる)などで多くみられる
(Phys Sportsmed. 2010 Jun;38(2):117-25.)
・risk factorは以下
◦糖尿病
◦fluoroquinolones
◦薬剤(スタチン、ステロイド)
◦結合組織病
◦痛風
(Mil Med. 2010 Jun;175(6):457-9.)
キノロン使用による合併症は近年いろいろと報告があります。
QT延長や大動脈解離/破裂のリスクになるため、やっぱり使用はできるだけ避けたほうが良いのでしょう。